何をやっても「面白くない」のは何故か?

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2009.09.29 14:00 記者 : カテゴリー : ガジェ通 タグ :

lylyco
自分の衝動を信じて、何を生み出すか分からないものに全力で取り組むことは、思いがけない宝物を生むことがあります。損得ばかり考えていたらつまらない。今回はlylycoさんのブログ『ボクノタメニ泣イテクレ』からご寄稿いただきました。

何をやっても「面白くない」のは何故か?
それはたぶん、最初から「面白そうなこと」しかやらないせいだろう。

或(ある)いは「(有形無形の)成果が得られると予想できること」といい換えてもいい。目的をもって行動し結果を得ることばかりにぼくたちは慣れ過ぎてしまったんだと思う。それは要するに先が見えていることしかやらないということだ。もっというなら、行き着く先に「報酬」やそれに類するものが分かりやすい形でなければ動かない。無駄を嫌う。「泣ける」映画を観に行ったり、「儲(もう)かる」仕事を探したり、「モテる」ファッションに身を包んだり、「面白そう」という言葉の向こう側にだれにも分かりやすい形の見返りを期待している。だから、それらが得られないと「面白くない」。

それだけじゃない。期待したものがそれなりに得られても、それほど面白くはないだろう。当然だ。何かが得られることを想定して行動しても、成果が当初の期待を超えることはまずない。良くて期待通り。実際には、それすら稀(まれ)だろう。つまり、先が見えている段階で面白さは頭打ちなのである。「本当に面白いこと」は予想できないものだし、予想できないからこそ面白いのである。そして、本当に何かを楽しんでいるとき、人はその先にある「成果」を目的とはしていない。「成果」は楽しんだ結果、ついてきたりこなかったりする。「面白さ」と「成果」に強い相関はない。

とはいえ、人は「ご褒美」に弱い。いい成績をとったら親に褒められた。あまつさえ、お小遣いまでもらった。すると、今度は褒められるために、お金のために勉強をするようになる。もちろん勉強の「面白さ」はご褒美にあるわけではない。それは、知る前と後で世界が違って見えてくる快感であり、よりよく生きるために積み上げられていく哲学であり、一所懸命にやったという経験がもたらす充実である。けれども、それら迂遠(うえん)な喜びはご褒美の端的な分かりやすさの前に簡単にかき消されてしまう。といって、ご褒美に満足することもまた難しい。無限の不満だけが燻(くすぶ)り続ける。

「何のためになるのか」も、そこから「何を得られるのか」もよく分からない。たぶん、そういうものの中にこそ「本当の面白さ」はある。何も難しいことじゃない。ご褒美を忘れてすべてのものを見直してみればいい。ファッションの楽しみが「モテ」だけである必要はないし、仕事の楽しみが「お金」だけである必要もない。ぼくたちは「価値があるのかないのかよく分からないこと」として色々なことを一所懸命にやってみればいいんじゃないかと思う。何かのためではなく、それ自体を一所懸命にやる。原理的に「本当に面白いこと」が予測できない以上、そうするしかない。

お金や他人の評価みたいなものは、一所懸命にやっても適当にやっても達成した「成果」が同じなら原則として同じだけのものを得られる。けれども、自分がよりよく、より面白く生きるための糧という意味では、おそらくまるで得るものが違ってくる。それは誰(だれ)にも評価なんてできないし、分かりやすい価値に置き換えることもできない。いずれ、「本当に面白いこと」は「何をやるか」ではなく「どれだけ一所懸命にやるか」の問題なんだろう。陳腐な結論にも真理はある。いわく「面白くないから一所懸命になれないのではない。一所懸命にならないから面白くないのである」。

ちなみに「面白くない」の部分は「意味がない」や「価値がない」にも置換可能だ。

執筆: この記事はlylycoさんのブログ『ボクノタメニ泣イテクレ』より寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信

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