貸与と支給の違い~外国人留学生の奨学金に関するコピペを考える

貸与と支給の違い~外国人留学生の奨学金に関するコピペを考える

日本人の対中国・韓国感情は決して良いとは言えない昨今。「2ちゃんねる」や「Yahoo!知恵袋」では、以下のようなコピペを見かける。

どれだけの血税が外国人留学生(そのうち80%が中国人と韓国人)一人につぎ込まれているか? おそらく、大多数の日本人は知らないのです。

大学に留学する場合です。
①奨学金/月額142,500円(年171万円)
②授業料/国立大学は免除、公・私立大学は文部省が負担(年52万800円)
③渡航旅費/航空券支給 例)東京-北京(11万1000円)
④帰国旅費/奨学金支給期間終了後所定の期日迄に帰国する場合は航空券を支給
⑤渡日一時金/2万5000円
⑥宿舎費補助/月額9,000円または1万2000円 (年144万円)
⑦医療費補助/実費の80%

上記 ①+②+③+⑤=262万円!年に262万円ですよ。全て血税です。しかも支援・支給額です。返さなくていい。貸与の奨学金すらもらえない日本人が多いのに。中国人韓国人留学生は当たり前の支給と思っている。

要約すると「日本人の税金は多数の中国人・韓国人留学生の支援に充てられている」との内容だ。

まず、外国人留学生向けの奨学金は、大きく分けて2種類ある。日本政府(文部科学省)の奨学金とそれ以外(日本学生支援機構、地方自治体・関連国際交流団体、民間奨学団体)の奨学金だ。コピペで指摘されているのは前者、日本政府が国費を投じる奨学金である。

日本政府の奨学金の出願方法は、大使館推薦など3種類あり、大使館推薦は書類審査・筆記試験・面接などを経て、最終的には文部科学省の認可が必要となる。2009年度の国費外国人留学生は1万168人で、全体の留学生(13万2720人)の約7.7%。ちなみに、近隣のアジア諸国・地域に限定すると、中国1,941人、韓国973人、台湾0人である。

国費外国人留学生に支給される奨学金の中身は、日本学生支援機構のサイト内で紹介してある。留学の種類次第で月額の奨学金は変わる(12万3000円~25万5000円)。学費は入学検定料、入学金、授業料は徴収されず。旅費として往復航空券も与えられるようだ。コピペの②と③は該当する。

ではコピペにあるような「奨学金は返済不要」は事実なのだろうか。日本学生支援機構の奨学金に関する記述は、私たちが高校や大学で利用する奨学金と外国人留学生対象の奨学金で異なる。一般にイメージする奨学金は“貸与”とある一方、コピペで挙げられている留学生は“給付”と記されていた。つまり「返さなくていい」のである。

また、様々な条件を満たした優秀な外国人留学生には日本学生支援機構から「私費外国人留学生学習奨励費」が“支給”される(月額4万8000円~6万5000円)。これもまた「返さなくてもいい」のだ。より多額の支援が受けられる国費外国人留学生の数が少ないとはいえ、中国人・韓国人を含む外国人留学生の約1万3000人が「私費外国人留学生学習奨励費」を給付していることになる(2011年)。

画像: 日本学生支援機構のトップページのキャプチャー
http://www.jasso.go.jp

参考資料
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/12/12/1286521_4.pdf
http://www.studyjapan.go.jp/pdf/toj2013/01j.pdf
http://www.jasso.go.jp/study_j/scholarships.html

※この記事はガジェ通ウェブライターの「香椎みるめ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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