メールマガジンの進化(深水英一郎)

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電子書籍が本の進化形であるとすれば、メールマガジンは雑誌の進化形ではないでしょうか。

そしてメールマガジンがさらに進化すると、
必ずしもメールを使うとは限りません。

何を介するかどこを経由するのかというのは、
もともとどうでもよいのだと思います。

いちばん大事なのは「定期的に届く」というところ。

以前メルマガプラットフォームを作る際
「メール『マガジン』」という言葉にこだわったのは、
なによりまず「定期的に継続して発行して欲しい」と思ったからなのです。
メールかどうかってとこはどうでも良かった。
使える手段が当時はメールぐらいしかなかったというだけです。

今ならウェブでもSNSでもメッセンジャーサービスでも、
定期的に情報を届ける事ができれば、
そこにメルマガ的なものをつくることはできます。
あとはサイト運営側の意識次第です。
運営がきちんと意識して、
会員に対する「検閲のない自由な出版環境」を提供できれば、
そこにメルマガ的なものは生まれます。

定期的に読者へコンテンツを届け続けることで、
著者と読者は特別な信頼関係を築けます。
それは「絆」のようなものです。

そして、定期的に継続して送り続けるという土壌ができれば
プロフェッショナルも生まれやすい。
執筆の世界のプロというのは一定のクオリティのものを
コンスタントに提供出来なければなりません。

一定のクオリティといっても、そんなに高いレベルのものじゃなくていいのです。
毎回ホームランじゃなくていい。
なにより大事なのはバットを振って塁に出続けることです。

定期的に書き続けるのは相当に大変なことです。
また、いつでも修正できるウェブとは違い、
メールなどでテキストを送ってしまうと、あとから修正できない。

これは、著者にとってはたいへんなプレッシャーです。
しかしながらこれを継続していくことで確実に書き手のレベルは上がりますし
読者の信頼も深まります。

今や当たり前のようにプロの書き手がネットで書いています。
そんな中で有料メルマガが上手くいったのは、
そもそもウェブよりメルマガの方が、
書き手にとってハードルが高かったからという点が大きいと思います。

・定期的に
・一定のクオリティのものを
・継続して執筆する
・配信ボタンを押した瞬間から修正できなくなる

こういった条件のもと執筆し続ける、
読者に届け続けるというハードルを設ける。

著者側はピリピリせざるを得ませんが、
それゆえに読者とのほどよい緊張関係が保たれ、絆も強くなるのです。

もちろん、ウェブでもこれらのことはできます。
プロのブロガーさんは上記のようなことを自らに課して
執筆を続けている方が多いように感じます。

そして工夫すれば、ツイッターでも。

たとえば、ジャーナリストの佐々木俊尚さんが
毎朝定期的にまとめてツイートをしておられます。
内容は佐々木さんが注目した記事やサイトを一言コメントを添えて、
といったものですが、メルマガ的なものの進化型だと言ってよいと思います。

メルマガ的なものの最大の特徴は「定期的に届く」ということであり、
どこを経由して届くかは関係ないのです。
相手に一斉配信でメッセージを伝えられる仕組みがあれば
工夫することによってそこに「媒体」を生み出すことができます。

そういう仕組みの上に何をのせるか。
これまでは、テキストだけでした。
しかし、そこに「ブロマガ」が現れることによって様相が変わってきています。

これまでのテキスト形式に加え、
読者が望めばブログで読んだり、
電子書籍で読むことができる。

さらに表現手法も文章表現だけではなく、
動画、写真、生放送番組を使うことができる。

執筆者以外の新たな表現者がここに集結してくる可能性がある。

そしてなによりブロマガが面白いのは、
動画や写真、電子書籍、生放送番組を
「定期的に届ける」ことができるようになったということ。
もちろん、これまでもやろうと思えばできたわけですが、
仕組みとして定期的に届けることが可能となっているのが面白い。

メルマガは仕組みとしてテキストを定期的に届けることが前提となっていました。
それと同じ事が他の表現手段でもできるわけです。

私が敬愛してやまないMEGWINさんは、毎日YouTubeで新しい動画をUPしてます。
http://www.youtube.com/user/megwin
動画の総再生回数1億6千万。
毎日更新するというノウハウはシンプルですが
積み重ねることで素晴らしい結果を生みます。
そしてこれはテキスト以外の表現手段についても有効なのです。

まだ意識したことがないという方は、
定期的にコンテンツを配信するということを意識してみて欲しいと思います。
自分でペースをつくれるというのであればそれでもいいですし、
ブロマガのような仕組みを使って、
最初から発行周期を宣言してしまうのもいいでしょう。

電子書籍が本の進化形であるとすれば、
メールマガジンは雑誌の進化における一形態なのです。

そして進化の余地はまだあります。
新たに生まれたメルマガスタンドやブロマガは、
少しずつ進化し機能追加されており、
将来的には執筆者だけでない、
多くの表現者が集まる場所となる可能性を秘めています。

メルマガというと枯れたシステムだと思われている方も多いとおもいますが、
このように創意工夫の余地がひろがってきている、面白いフィールドです。

メルマガがどう進化するか考えるということは
雑誌がどう進化していくのかを考えるということなのです。

もしあなたが何らかの表現に関わる人であるなら、
この古くて新しい表現の場に改めて取り組むことを
考えてもいい時期なんじゃないかと思います。

……というわけで、何を言いたかったかというと、
ガジェット通信でもブロマガにチャレンジする予定で、
ただいま準備中です。

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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