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ある韓国人青年の兵役 ~レバノン編~

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韓国軍に兵役で入隊した青年の体験を紹介する「ある韓国人青年の兵役」。3回目の今回は、彼が国連軍に移籍し、レバノンに派兵された時のようすをお送りする(第一回~導入編~ / 第二回~軍隊生活編~)。

韓国人男性は一度は通らなければならない「兵役」という関門。配属される部隊は直前になるまで分からないというのは前回書いた通りである。だが、全く自分の希望が叶わないわけではなく、いくつか選択できる職種もあるという。李さんの場合、韓国軍の中で英語の通訳の資格を取り、通訳として働くことを希望していた。

「通訳になろうと思ったのは、ソウル市内にある米軍基地をサポートする部隊に配属されたかったためです。そこは他の部隊よりも環境が良いのです。休みも週に一回あるし、軍規も緩いので、応募者がかなりいました。試験の倍率は30倍。残念ながら一回落ちてしまいましたが、二回目の試験で合格し、通訳の資格を得ることができました」

しかし配属されたのは、米軍援助部隊ではなく、幹部養成学校だった。

「何のために今まで勉強したんだろう、と思いました。せっかく通訳の資格を取ったのに、就いたのは全然関係ない仕事。もったいないと思いました。そこで見つけたのがレバノン派兵の仕事でした。そこでなら英語も使えるし、韓国にいるよりも自分の人生にプラスになると思い、応募しました」

応募した結果、李さんは国連軍としてレバノンに派兵されることが決まった。しかしその前途は多難だったという。派兵される一か月前、現地の国連軍イタリア人部隊10人が爆破テロで死亡したのだ。

「正直、やばいと思いました。今から行って大丈夫だろうかと心配になりました」

しかし中止にするわけにはいかず、そのままレバノンへ。韓国人部隊としては第一陣だった李さんたちは、キャンプの設営と現地人との交流を任務としていた。だがここでもまた困難が待っていた。

「行ってみたら、何もないんです。フェンスも監視塔も。テロリストがきたら、文字通りされるがまま。本当に何もない状態からスタートしました。まず私たちはキャンプの建物を建てるところから始めました」

大変だったのは食料が足りなかったことだという。韓国から持ってきたのはキムチのみで、現地で手に入ったのは米と卵くらいだったそうだ。米も、日本や韓国で主流の種ではなく、タイ米のような細長いパラパラした米だったという。

「キムチをおかずにパラパラのお米を食べていましたが、キムチは先輩たちが平らげて、すぐに底を突いてしまいました。そのため、約一か月間卵かけご飯で飢えをしのぎました。でもさすがに限界がきて、上官たちが本国に支援を要求しました。本国から来た視察団が私たちの状況を見て『これはやばい』と思ったらしく、それからすぐに援助物資が届きました」

レバノンの市民と交流する李さん

レバノンの市民と交流する李さん

それからは比較的楽に任務を遂行できたという。

「私が所属していたのはCIMIC(Civil Military Cooperation)という部隊で、レバノンの一般市民と軍隊が交流することが任務でした。あとから来る韓国人部隊の任務が円滑に進むように、事前に現地人と韓国人兵士との間にフレンドシップを築くことが第一目的でした。私はその中で、英語の通訳として、現地語を話す英語の通訳と一緒に仕事をしていました。他の国の国連軍部隊とも交流を持ちました。いちばん多かったのがイタリア人部隊でした」

街を移動するときは、防弾仕様の車で移動したという。李さんは武装せずに任務に就いていたので、前後を武装した職業軍人の分隊が護衛していたそうだ。

「レバノンでは、最初の一か月は大変でしたが、二か月目からは慣れました。ご飯も良くなりましたし、時間もある程度自由に使えるようになりました。レバノンという国を知る機会にもなりましたし、とても良い経験になりました。いちばん良かったのは、そこで知り合った子どもたちと仲良くできたことですね」

テロの危険もあったレバノンだが、幸いにも李さんはテロの被害に遭うこともなく、無事現地人と交流を持つことが出来たという。韓国人部隊がお祭りのような催し物を開催して現地の人たちと交流を持ち、友達も何人もできたそうだ。苦労も多かったというレバノン派兵体験。しかし彼の中では、二年間の兵役のなかでいちばん印象に残る思い出として残っているようだ。

次回は、これまでのインタビューで触れなかったその他の事柄について触れる。

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記者:

架空紙幣作家。4歳の頃、聖徳太子の一万円札の美しさに心を奪われ、紙幣デザインフェチとなる。現在では架空紙幣創作のほか、架空新聞記事、架空広告、合成写真を用いた隣接世界訪問写真などを創作している。

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