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ピストル強盗に襲われました。 南米コロンビア、ボゴタを旅する人々へ

この記事は渡辺賢太郎さんのブログ『世界八十八湯温泉道 世界一周 極楽エクスプローラーの旅』よりご寄稿いただきました。

ピストル強盗に襲われました。 南米コロンビア、ボゴタを旅する人々へ

脈略なく突然のUPになりますが、ご容赦ください。

事件のあった翌朝にこの記事を書いています。
私は現在、ボゴタ市内のCOUCH SURFINGホスト宅におります。

いまなお、事件のことを思い出すと身体が熱くなってきますし、額にできた傷や蹴られた首筋などがズキズキしてきます。

怖い、という感覚は不思議と薄いです。

あの瞬間、自分に向けられたピストルが、綺麗なシルバーであったこと、思っていたよりも小さなものだったこと。
助けに来てくれたと思った女性が、自分のウエストポーチをやたら上手に外した瞬間の、カチッという音。
地面に仰向けになって倒れている自分にむけて、赤い帽子の男がなにやら罵声を浴びせていたこと、彼の顔が幼く見えたこと。

それらの情景と感想が一コマずつ、スライドショーのように酷く冷静に思い浮かべられます。

2012年11月3日14:00過ぎ、コロンビアの首都ボゴタの中心部。

ロンプラに載っている有名なベジタリアン食堂でお昼を済ませた私は、その周辺を、いつもの如く路地裏散歩感覚でブラブラ歩いていました。

そのうち坂の上に教会が見えたので、そこまで歩いていってみようとおもい、登り始めました。
当然、いくら昼間とはいえ南米にいるわけですから、人気のない道は避けるのが常識だろう。そう考えて、人通りの多い大きな道を登っていきました。

教会にたどり着くと、その周囲にはたくさんの親子連れがいて、高台から眺めるボゴタの景色を見ながら楽しそうに笑っている様子がみられました。
その教会のすぐ裏手は見晴らしが良さそうだったので、そこまで登って景色を眺めようと思いました。

近所の人々が、物珍しそうに私の方をじっと見ています。そのうちの一人水色の服を着た女性に、オラっ!! とスペイン語で挨拶をすると、少しはにかんで返事をしてくれました。
あまりにものどかな人々の様子に、おそらく私の顔は緩んでいたに違いありません。

と、次の瞬間でした。

だれかが私の左肩をポンっと叩きました。
反射的に振り返ると、よく知っている形状の銀色のものが、その筒先を私の額にそっと近づけていました。

私がその状況を理解するのに、おそらく1秒程度の間があっただろうと思われます。
自分に向けられているのがピストルだということに気付いてからは、それを握っている男の意図もすぐに理解できました。

と同時に、背後から自分を羽交締めにしようとする別の力が加えられました。
ふたりの男が、私の背負っているリュックサックを奪いにかかりました。
自分でも驚いているのですが、この時の私は必至に銃口から顔を背けながら瞬時に、自分が所持している荷物が何で、どこにしまってあるかを把握しなおしたように思います。

アイフォンと財布、キャッシュカード、それにカメラはウエストポーチに入っている、パスポートは所持していない。

背中のリュックにはガイドブックとペットボトルの水くらいしか入っていない。

そういう事をあの瞬間、叫びながら確かに考えていました。
同時に、まだ逃げ切れる、だれかが助けてくれるとも考えていたのです。

次の瞬間、私を羽交締めにし、殴っている男たちの向こうから、先程挨拶を交わしたの水色服の女性がこちらに向かってくるのが見えました。

ほら、やっぱりだれかが助けてくれる!!

安堵を感じた瞬間、彼女は正面から私の腰に手を回し、ウエストポーチを外しにかかりました。

彼女の思惑が成功したカチッという音を聞いた時に、抵抗する気力が完全に失せてしまったあの無力感を今でも思い出します。
その後はされるがまま、身につけていた時計と服以外のすべての物を奪い取られ、地べたに転がされました。

その後、さらに何度か蹴られたように思いますが、はっきりとは覚えていません。
去り際に赤い帽子の男が、私の顔に指さして何やら叫んでいました。

黒いウエストポーチを抱え坂の上へ走って逃げていく女性の姿を力なく見つめることしかできませんでした。
私は、たった今自分が失ったものが、何であるかを冷静に捉えていて、同時に、それらを失ったことが、この旅の継続を、もはや絶対的に困難にすることを気付いていました。

どうしてこのような場所に来てしまったのか?

どうしてカメラとアイフォーンを同時に携帯してしまったのか?

どうしてもっと抵抗しなかったのか?

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