「まったく弁解の余地もありません」佐野氏が書いた全面謝罪文~佐野眞一氏の「パクリ疑惑」に迫る(第3回)~
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■佐野眞一氏から溝口敦氏に宛てた謝罪文
ノンフィクション作家・佐野眞一氏が講談社の月刊誌「現代」(85年11月号)で盗作記事を書いていた事実を、連載第1回で詳しくお伝えした。「池田大作『野望の軌跡』」という合計32ページの記事を書くにあたり、溝口敦著『池田大作ドキュメント 堕ちた庶民の神』(三一書房、81年6月刊行)から何カ所も盗用していたという一件だ。
https://getnews.jp/archives/265781 [リンク]
この盗作事件に関連し、ガジェット通信特別取材班は驚くべき一次資料を入手した。佐野眞一氏から溝口敦氏に宛てた、3ページにわたる全面謝罪文である(85年10月14日付)。佐野氏は1947年生まれだから、38歳のときに書いた手紙ということになる。
謝罪文の全文は以下のとおりだ。
《前略 溝口敦様
先般、「月刊現代」十一月号に執筆した拙稿「“宿敵”石田次男がついに語った池田大作『野望の軌跡』」に関して、貴著『堕ちた庶民の神―池田大作ドキュメント』(三一書房)から多岐にわたって参照・引用させていただいたにもかかわらず、事前に御諒解もとらず、またその旨を文中に明記しなかったことを深くお詫びいたします。
構成、表現、分析の視点等、貴著を下敷きにしなければ書けない部分が多々あることは御指摘の通りで、まったく弁解の余地もありません。
御迷惑をおかけしたことを心より反省している次第です。打ち明けめいたことをいえば、拙稿を執筆するにあたって、貴著を十数回にわたって繰り返し読ませていただきました。池田大作と石田次男氏との関係についての文献は貴著以外にはなく、その的確な分析が頭にこびりついたままペンを走らせたことが今回のような結果となってしまいました。貴著に敬意を表するあまりという虫のいい言い訳が通らないことは十分承知しておるつもりですが、そのあたりの事情もお酌み取りいただき、御寛容して下さることを平にお願いするばかりです。
なお、当然のことではありますが、拙稿に関しては今後、流用等、一切、資料として活用することを自ら封じる所存です。何卒、この点もお含みおき下さって、御容赦下さるよう重ねてお願い申しあげます。
末筆ながら、なお一層の御健筆を祈念しております。
敬具一九八五年十月十四日 佐野真一 》
いかがであろうか。
なぜ《貴著に敬意を表するあまり》参照・引用したことを《文中に明記しなかった》のか、理解に苦しむ。
《深くお詫びいたします》
《まったく弁解の余地もありません》
《的確な分析が頭にこびりついたままペンを走らせた》
《御寛容して下さることを平にお願いするばかりです》
《御容赦下さるよう重ねてお願い申しあげます》
等々、土下座同然の謝罪をしてから1年も経たないうちに、佐野氏は講談社から新潮社に舞台を変えた。そして『新潮45』(86年9月号)において、またしても他人の原稿から盗用してしまった。連載第2回で詳述したとおりである。
https://getnews.jp/archives/266598 [リンク]
佐野氏はきっと、『新潮45』の原稿を書くときも、そしてその後の「ノンフィクション作家人生」におけるさまざまな局面でも、タネ本に対する「敬意を表するあまり」、その原稿が「頭にこびりついたまま」、自分の文章として発表し続けたのだろう。
ガジェット通信特別取材班は、「敬意を表するあまり」「頭にこびりついたまま」佐野氏が書いた盗用・剽窃の数々を、次回以降も続けてご紹介していく。
(2012年10月24日脱稿/連載第4回へ続く)
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