「新型うつ」中には“甘えてるだけの人”も

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 近年、患者数が増え続けているのが「うつ」です。
 平成24年現在、病院で「うつ」と診断された人は100万人を超えているとも言われ、職場や家庭でのメンタルケアは大きな問題となっています。
 しかし、『ドクター、「うつ」のホントの話、しちゃってもいいですか!?』(自由国民社/刊)の著者で臨床心理士の伊藤秀成さんは、この100万人全てが「うつ」なわけではなく、甘えているだけの人や、「うつ」とは別の精神疾患を抱えている人など、さまざまな人が混じっているといいます。
 そもそも「うつ病」とは気分の落ち込みを引き起こす要因の一つにすぎません。それにも関わらず、落ち込んでさえいればなんでもかんでも「うつ」と診断してしまっているのが今の状況なのです。
 では、「うつ」と診断されているものの、本当は「うつ」ではない人とは、どのような人なのでしょうか。

■社会で生きていくための考え方が甘い人
 現状で「うつ」と診察されている人の中には、本当の「うつ病」ではなく、社会に出て生きていくための考え方が甘かったり、対人スキルが低かったり、という人も混じっていると伊藤さんはいいます。
 このタイプの人が自分を「うつ」っぽく感じてしまうまでのプロセスとして多いのは、社会や人のことがわかっていないため、物事がうまくいかない。その原因もわからないため改良もできず、やがて気分が落ち込んでしまう、というもの。
 特に、いわゆる「新型うつ」は、未熟な若者に多く、薬ではなく人間としての成熟をサポートするような対応が必要とも言われています。
 もちろん、「新型うつ」のすべてが、人間的な未熟さからくるものだというわけではありません。しかし、現在「新型うつ」と診断されている人の一部にはこのような人が混じっていることも事実のようです。

■「うつ」と誤診されやすい「躁うつ」
 昨今の「うつ」をめぐるテーマの一つに挙げられるのが「うつ」と「躁うつ」の鑑別です。
 患者さんがメンタルクリニックに行く時は、たいていが「うつ」を自覚している時。逆に「躁」の時は、本人としては気分がいいため、自ら進んで病院に行くことはほとんどありません。そのため、本当は「躁うつ」なのに、診察時は「うつ」っぽく見えるということが起こり、その結果、抗うつ剤など「うつ」の薬を出してしまうという誤診が行われる可能性があるのです。

■自己愛性パーソナリティ障害と「うつ」の関係
 伊藤さんによると「うつ」と診断される人の中には、「自己愛性パーソナリティ障害」の人も含まれるそうです。
 「自己愛」とは、言い換えると自己肯定感や自尊心にあたります。
 この感情が強い人ほど、自分を他の人とは違う特別な存在だと思い、そのように扱われるのが当然だと考えます。しかし、現実はそうはならず、本人は不満を抱いたり、落ち込んだり、ということに。
 「新型うつ」と言われる人の中には、このような“自己愛の傷つきによる抑うつ”を繰り返す人が少なくない印象があると伊藤さんはいいます。

 本書で伊藤さんは「患者さんの訴え次第で「うつ」と診断される」現状に警鐘を鳴らし、正しい「うつ」の見極め方や、メンタルクリニックの選び方など、これまであまり知られてこなかった「うつ」の実態を、“医療従事者の本音”という形で明らかにしています。
 もはや人ごとではない「うつ」。
 だからこそ、まちがった情報にもとづいてまちがった対処をしないためにも、日頃から情報収集に努めたいものですね。
(新刊JP編集部)



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