日本の国民はスウェーデンより“高負担”、そして“低福祉”が貧困を拡大している
日本は豊かな国ではないかもしれない。豊かになれる可能性は十分にあるのに。税率を上げて国民が生きていけないような国にはして欲しくはない。今回はスクラムさんのブログからご寄稿いただきました。
日本の国民はスウェーデンより“高負担”、そして“低福祉”が貧困を拡大している
自民党の総選挙マニフェストは、近い将来の消費税率アップを含めて“中福祉・中負担”をめざす方向性を明示しています。ということは、日本の現状を“低福祉・低負担”であると自民党は認識しているわけです。
しかし、日本の現状は、“高福祉・高負担”国家と言われているスウェーデンよりも国民が“高負担”を強いられている“低福祉・高負担”国家であることを示すデータがいくつかありますので紹介します。
まず、内閣府の経済社会総合研究所による調査には次のように書かれています。
———–以下引用
スウェーデンの高福祉を支える国民負担率を日本と比較すると、両国の社会保障給付費を対GDP比で見て、スウェーデンの52%に対し、日本は27%となっており、スウェーデンは日本の約2倍である。同じく対国民所得比でみると、スウェーデンの75%に対し、日本は35%となっている。ただし、社会保障給付金等を除いた「再修正国民純負担比率」で見ると、逆転して日本のほうが高くなる(編集部注:“高負担”の例。日本が14%に対してスウェーデンが11.9%)。
図1:日本とスウェーデンの国民負担率対比表(対GDP比)(1998年)
http://ameblo.jp/kokkoippan/image-10322484639-10234684924.html
また、出産・育児等、家族政策(育児の社会負担)関連の給付の対GDP比は日本の約7倍、高齢者・障害サービス関連の給付の対GDP比は日本の約10倍、雇用政策関連の給付の対GDP比は日本の約4倍である(編集部注:“低福祉”の例)。
図2:社会保障費給付水準の2ヵ国比較
http://ameblo.jp/kokkoippan/image-10322484639-10234685261.html
———–引用ここまで
※『スウェーデン企業におけるワーク・ライフ・バランス調査』(2005年7月)「第2章第6節 スウェーデンと日本の国民負担の比較」より引用
みずほコーポレート銀行顧問・元駐スウェーデン大使の藤井威(ふじいたけし)氏による、スウェーデンを含む欧米諸国と日本を比較した調査結果でも、日本は再修正国民純負担率が14%と、比較的“高負担”国家です。
図3:日本とスウェーデンの国民負担率対比表(1998年)
http://ameblo.jp/kokkoippan/image-10322484639-10234685562.html
※経済社会総合研究所経済政策フォーラム『出生率の回復をめざして – スウェーデン等の事例と日本への含意』〈2004年6月25日〉の基調報告資料より引用
さらに、損保ジャパン総合研究所主任研究員・卯辰昇(うたつのぼる)氏の報告でも、以下の数字のように、スウェーデンと欧米先進主要国と比較して、日本の「国民負担率」がもっとも高くなっています。
日本 29.2 11.4 17.8
ドイツ 39.0 24.0 15.0
フランス 43.7 26.4 17.3
スウェーデン 51.0 37.8 13.2
イギリス 35.1 20.6 14.5
アメリカ 26.7 14.5 12.2
(※左から▼税・社会保障負担率、▼社会保障給付率、▼純負担率)
純負担率の国際比較(1992年対GDP比)
※「国民負担率概念に関する議論の整理と今後の展開」より引用
また、政府の税制調査会の報告書「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」(2007年11月)の参考資料「法人所得課税及び社会保険料の法人負担の国際比較に関する調査」(2005年度)によると、自動車製造業の法人負担は、日本30.4%、フランス41.6%、ドイツ36.9%。エレクトロニクス製造業の法人負担は、日本33.3%、フランス49.2%、ドイツ38.1%。情報サービス業の法人負担は、日本 44.2%、フランス70.1%、ドイツ55.7%。日本の企業負担は、フランス、ドイツの7~8割です。
それから、自民党は将来の消費税率アップの方向性を、総選挙マニフェストに示していますが、全国保険医団体連合会は、消費税について次のように指摘しています。
———-以下引用
消費税率5%でも、税収はEU各国と同程度
図4:各国の税収入全体に占める消費税収入の割合
http://ameblo.jp/kokkoippan/image-10322484639-10234686097.html
「日本の消費税率5%は、国際的にみれば低すぎる」、「福祉先進国のスウェーデンの5分の1、欧州各国の4分の1」とよくいわれます。しかし、国税収入に占める消費税収入の割合をみると、約22%と、まったく同程度であることがわかります。
これは、日本の消費税が「網羅的」に課税されているのに対し、欧州各国の付加価値税は、(1)医療・教育から住宅取得・不動産・金融など幅広い非課税項目があること、(2)食料品や医薬品など、生活必需品は軽減税率をとっているためです。
財界は、消費税率を10%から18%に引き上げることを要求しています。そのねらいは、企業の税・社会保障負担を軽減することです。企業負担の軽減分は、国民が負担することになります。
政府や与党のなかには、「社会保障の財源充実のために消費税増税を」という動きがあります。これ以上、消費税率を引き上げれば、国際的にみても「異常な国」となることは明らかです。
———-引用ここまで
※全国保険医団体連合会ホームページ『社会保障の財源を考えてみましょう』 より引用
http://hodanren.doc-net.or.jp/kenkou/gkhtml/gktop/gk6s/gk6s2p/gk6s2p.html
以上、見てきたように、日本社会の現状は“低福祉・高負担”国家と言えると思います。国民にとって“低福祉・高負担”となっているから、現在の貧困問題が噴出していると言えるのではないでしょうか。
執筆: この記事はすくらむ さんのブログより寄稿いただきました
文責: ガジェット通信
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