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ガジェ通日誌「有料メルマガは魔法の道具じゃない」

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新連載「安田純平の戦場サバイバル」

安田純平さんによる新たな連載がスタートしました。
1回目は、連載開始にあたっておこなったインタビューの内容を掲載。

安田純平の戦場サバイバル~政府軍によってジャーナリストが殺害される国、シリア
http://getnews.jp/archives/245579

安田さんは戦闘の激しい海外紛争地に入って取材を続けておられる戦場ジャーナリストです。
僕も少しお話をきかせてもらいましたが、面白く興味深い話がたくさん。
安田さんは6月23日から7月30日まで激しい内戦が続くシリア市内を取材しておられましたが、連載はシリアにどうやって入ったのかというところから始まる予定です。

有料メルマガは魔法の道具じゃない

niconicoの「ブロマガ」発表からはじまったメルマガ議論たいへん興味深く読みました。メルマガ自体は枯れた道具だと思ってたので、再びこうやって議論が再燃するのを見て面白いなーと思いました。

伊藤直也さんの
「アルファブロガーとか言われてた人のメルマガって、一線退いた芸能人のその後のディナーショーみたいなもんでしょ? 嫌すぎるよねw」
という挑発はなかなか刺激的ですがそれなりに的を射ていたと思います。

今回の議論を見ていて、意外と「有料メルマガは魔法の道具」だと思っていた方が多いんだなということに気づきました。有料メルマガを出せば誰でも儲かるんじゃないか、というイメージ。しかしそれは幻想であって、現状は例えば本を出せば売れる人、もともとファンが多い人(タレント化した人)じゃないと有料メルマガをやってもそんなに儲からないのではないかと思います。

また、有料メルマガをはじめたからといって無料の方をやめるわけにもいきません。やめちゃうと、有料のメルマガの読者が増えないです。今までの活動を続けつつ、新たに定期発行物を持つというのは個人ではかなりの負担です。

そこに魔法のような方法はまだ存在せず、地道に無料メルマガ、ブログ、Twitterなどでファンを集め、それに加えて一部の人に有料メルマガを購読してもらう、という形がスタンダード。要するにディナーショーモデルですね。

ディナーショーモデルは確実な方法ですが、まぁ、未来を考えると、ちょっとこれだけだと夢がない気がします。出版の世界でいう「○○賞」のような、新人発掘して押し上げる方法が確立していないため、突然キラ星のように登場して……とうい華々しいデビューがありません。ネット有料コンテンツの世界でも、そういうルートがないと夢がないですね。

単独著者名による「ピン媒体」の先にあるもの

今はファンクラブとしての側面が強いメルマガが目立っていて、コンテンツとしてはまだ未成熟で成長の余地がある状態ですが、単独著者名によるピン媒体の先には何があるのでしょう。

【有料メルマガのこれまで(ざっくり)】

情報商材とかビジネス指南、ちょっと怪しい有料メルマガ時代

タレント化した単独著者名によるファンクラブとしてうまく機能(今ココ)

コンテンツそのものが評価され雑誌的な媒体が立ち上がる(希望)

なんで雑誌的なものが必要かというと、身も蓋もないい方をすると、書き手がすべてタレント化できるわけじゃない、ということなんですね。自分の名前を冠にした媒体で食おうと思えば、ある程度自身をタレント化できないと継続できません。タレントとしてのプロ意識も必要です。それって、誰でもできるわけじゃないですし、書きながらそこまでできる人って、むしろレアです。また、ファンとしての人に対する課金ではなくてコンテンツそのものへの課金がきちんとなされないと、コンテンツが良くなっていきません。

多くの書き手のためには作り手の名前によりかからないコンテンツの苗床のような場所が必要です。チームで媒体をつくり、スーパープレイヤーが必ずしもいなくても成立し運用されていくメディア。書き手の文章をより多くの人に読んでもらうことができ、そこから優秀な書き手が輩出されていくような場所。今そこに一番近いのはウェブマガジンだと思います。

すごい昔、メルマガやブログがあればそれぞれの著者が勝手に自分の媒体をつくって食えるようになって、将来的には雑誌や新聞のようなもの役割はなくなるんじゃないかと思っていたこともあったんですが、それは実に浅はかな考えでした。ピン媒体でそれを実現する人も出てきているけれども、それが可能なレベルの有名人になるには運の要素も必要で、誰しもそれができるわけではないということがわかりました。じゃぁどうしたらいいのか。

ガジェット通信が、最後発とも言えるタイミングであるにもかかわらずウェブマガジンに参入した理由の一部はそこにあります。メディアをつくるには書くこと以外にも実に多くの仕事があります。そのノウハウを今一度ゼロスタートで獲得して将来的には書き手がもっと書くことに集中できるような場所をつくりたい。ひとことで言えば「編集裏方」の仕事です。ガジェ通は、それ単体での成功だけを狙っているというより、後々のためにネット媒体の編集ノウハウを蓄積して将来の書き手さんたちに提供したいということを考えています。

現状、配信プラットフォームでそこまでカバーしてくれるところはありません。もし、編集部の機能までプラットフォームが吸収して書き手を助け、書き手の側に立って、書くことに集中してもらえる環境を提供できれば、そのプラットフォームが最終的に勝ち残るんじゃないかと思います。

配信や集客のプラットフォームの上に、編集部という中間層があって、その上でそれぞれの著者が活躍する。

これから「編集部」の役割が再び重要視されるのではと思っています。

個人媒体よりは大きく、新聞社よりは小さい、中間的なグループ編集による雑誌的な有料ネット媒体の成功例が今後増えてきたらもっとネットコンテンツは面白く、豊かになっていくのではないかと思います。

「文字だけじゃつらい」問題

あとこれは10年以上前から言われてるんですけど、文字だけじゃ寂しいだろう、と。
すごいファンだったら文字だけでも読みますけど、内容によっては文字だけだとわかりづらいですし、さまざまな表現手段を持ったウェブに慣れた人にとって、現状のメルマガはしんどいです。
そこがまったく進化してないですね。10年以上。

niconicoのブロマガにはそこんとこは期待しています。

生主さんへの伝言

横山緑さん

いろんなことに手を出し過ぎず、今はひとつのことに集中したほうがいいと思うよ。

力也さん

八丈島で野宿するらしいとツイートしたら、八丈島の人は優しいから誰か泊めてくれるに違いないって。

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記者:

ニュースサイト『ガジェット通信』発行人。未来検索ブラジル代表。東京産業新聞社代表。ハリウッドエンターテイメントビジネス誌『Variety Japan』Senior Editor。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラクターに興味がある。好きな食べ物はシュークリーム。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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