米の放射線量地図 国が公表せず
今回はNHK科学文化部のブログ『NHK「かぶん」ブログ』から転載させていただきました。
米の放射線量地図 国が公表せず
東京電力福島第一原子力発電所の事故直後の去年3月、放射線量の高い地域が原発の北西方向に広がっていることを示す地図がアメリカ政府から提供されたにもかかわらず、文部科学省などが公表していなかったことが分かりました。
文部科学省は「公表はアメリカ政府がすべきと考えていた」などと説明していますが、住民の被ばくを減らすことにつながる重要なデータが放置されていたことになり、改めて国の対応が問われています。
この地図は、事故直後の去年3月17日から19日にかけて、アメリカ政府が航空機を使って上空から放射線量を測定し、作成したものです。
1時間当たり125マイクロシーベルトを超える地域が赤色で示されるなど、一目で線量の高い地域の広がりが分かるもので、文部科学省によりますと、去年3月18日と20日にアメリカ・エネルギー省から日本の外務省に提供され、すぐに文部科学省と原子力安全・保安院に伝えられたということです。
しかし、文部科学省や保安院はこの地図を公表せず、提供された事実も官邸など関係機関に伝えなかったということです。
データは3日後の去年3月23日に、アメリカ政府がホームページで公表していました。
文部科学省の科学技術・学術政策局の渡辺格次長は「公表はアメリカ政府がすべきと考えていた。当時、地上での放射線量の調査を180の地点で行い、結果を公表していた」などとして、対応に問題はなかったとしていますが、広がりが面的に分かるデータを早く公表していれば住民の被ばくを減らすことにつながった可能性があり、改めて国の対応が問われています。
保安院“情報が共有されず遺憾”
アメリカ政府の放射線量の地図の情報を文部科学省とともに受け取っていた原子力安全・保安院の山本哲也首席統括安全審査官は、「当時、外務省から保安院の国際室にメールで情報がきて、放射線班に伝わっていたが、なぜ公表しなかったかについては調査中だ。いま考えれば公開すべきだったと思う。情報が適切に共有されなかったことは誠に遺憾で、政府の事故調などの検証結果を踏まえて今後の対応に努めていきたい」と話しています。
執筆: この記事はNHK科学文化部のブログ『NHK「かぶん」ブログ』から転載させていただきました。
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