削除依頼の方法がバラバラの警察――家宅捜索された掲示板管理者さんの告発

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次々と明らかになる、削除依頼にまつわる「不都合な真実」

警察からCGM型メディアへ対して出される削除依頼に関する情報が集まってきています。今回の掲示板管理者さんも家宅捜索を受けたそうです。結局のところ警察からの削除依頼の方法はバラバラで、統一されていないということがこれでわかります。さらにこの管理者さんは「捜査関係事項照会書が削除依頼にもなる」と言われたそうです。そんなことがあるのでしょうか。

掲示板管理者さんの告発

私は掲示板を管理していて家宅捜索されました。
昨年の夏ごろに会社が家宅捜索をされまして書類送検、処分はすでに終わっております。

大変、申し訳ございませんが、警察を強く恐れていますので、掲示板名、名前等は伏せさせてください。しかし、ガジェット通信様には真偽のために掲示板名などは伝えております。

警察の削除要請について公表したいことを下記に詳しく書かせていただきます。

警察からの要請には主に2つあります。
捜査関係事項照会書と削除要請です。

捜査関係事項照会書とは警察が捜査をするときに必要な
ログなどの個人情報を提供をしてくださいという公的書面です。
勘違いしていただきたくないのですが、この書面は公的ではありますが任意提出であり裁判所からの令状ではありません。

捜査関係事項照会書が来た場合は、捜査を既に行なっているという観点より削除をするなという要請もございますのでこの場合は、全ての警察においてログを保全した上でそのままにしておきます。弊社にてログ等を提出した後、削除要請を待ちます。

警察からの削除要請に関しては削除をします。
こちらも勘違いしていただきたくないのですが、あくまで任意の削除要請です。

上記2つが主に警察からの要請となりますが私は管理をしていましたのでわかりますが、弊社で削除要請などには答えていましたが強制捜査をされ書類送検が行なわれました。

強制捜査時には管理責任の追及と警察は言っておりましたが弊社では削除依頼による管理を確実にしておりました。

その上で話を良く聞くと捜査関係事項照会書が削除依頼にもなる認識しているだろうという話にすりかわっていました。

捜査関係事項照会書とはその名前の通り捜査をするために情報を開示してくださいという書類ですが、この書類が削除依頼にもなっているというのがその警察の見解です。

しかしながら弊社では捜査関係事項照会書の送付後にログを取得した上で投稿を削除して他の県警より捜査中なので削除や関係者への連絡、全てしないで下さいといわれたことがあります。

そのあたりを詳しく説明して納得したのかわかりませんが、逮捕までは行きませんでしたが家宅捜索、送検をされたことは気持ちのよいものではないですね。

マスコミや識者は色々書きますが、実務をしている私から言わせてもらうと削除依頼/捜査関係事項照会書などのフォーマットや送付するまでの一連のやり取りは各都道府県警、場合によっては同一都道府県でも所轄署によってバラバラです。

よって、捜査関係事項照会書を送付すると同時にそれは削除要請とおっしゃる警察署もありますし、投稿者・犯人にバレてしまうから消さないでくださいという警察署もあるので、一律したフォーマットが存在しないことが問題なのではないかと思っています。

さらに最近の報道を見て思った ことを書かせていただきますと、インターネットホットラインセンターなどからの依頼を
2ちゃんねる側が無視している事が問題になっているということですね。

実務を行なっている掲示板管理者側の意見としてはインターネットホットラインセンター側がメール以外ではやり取りを一切しないということも大きな問題ではないかと思います。

先日、あるプロバイダ回線の提供を行っている会社社長のブログを拝見しましたが、インターネットホットラインセンターのメールだけは見逃さないようにしなければと書いてありました。

当然ではありますが、管理者も人間ですので重要なメールも見逃しますし忙しくて忘れてしまうこともあります、受信でき ないこともあります。

私ならメールが来なかったら他の方法で連絡を取る方法を考えます。

特に見逃してしまったら幇助などの容疑で家宅捜索や逮捕の可能性まであるような管理者側の人権を著しく阻害する可能性のある重要な情報をメールのみで受信や返信の確認もなく送りつづける事が正しい事だとは思えないのです。

警察において削除依頼などの放置で管理側まで責任を負わされるレベルなら警察やIHC側も削除要請のプロセスを一括化すると同時に削除要請をメール以外も使い段階化すべきだと思います。

そして削除要請とは何なのかを明確化すべきです。

マスコミでは2ちゃんねるが大量の削除要請を無視して家宅捜索されたと報道をされ ておりますが、私が知っているだけで何社かの掲示板会社が家宅捜索されています。そしてそのほとんどが運営を停止しています。
よって、この問題は2ちゃんねるの問題ではなくCGM型メディア全体の問題であると認識しています。

最近の一連の動きがあまりに恣意的なので、恐縮ながらも連絡させていただきました。

(以上)

ひきつづき情報提供お待ちしております

「消えた削除依頼」取材班は、ひきつづきインターネット・ホットラインセンター(IHC)、財団法人インターネット協会(IAJ)、警察関連、その他関連する情報についての情報提供をお待ちしております。情報提供者の秘密は守ります。また、諸般の事情により書きたいことはあるが書く場所のないメディア関係者さんからの寄稿も歓迎です。

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※写真: Motorcycle cop looks on / Ed-meister http://www.flickr.com/photos/edwinylee/2189908906/

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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