世界初の水素で走る燃料電池列車がいよいよドイツで試運転へ
2018年5月には、環境・経済にまつわる欧州有数の賞「グリーンテック・アワード」を受賞するなど、環境にやさしい次世代型列車として注目されている。
・水素と酸素の化学反応から電力を取り出し、車内設備の動力源に活用
「Coradia iLint」は、アルストムが1990年代末から展開しているディーゼル列車「Coradia LINT」をベースとし、ディーゼルエンジンの代わりに、水素と酸素を反応させて電気を取り出す燃料電池を用いているのが特徴。列車の上部に装着された燃料電池で、随時充填される水素と大気中の酸素とを化学反応させることによって発電し、そのエネルギーは、列車の底面に設置されたリチウムイオンバッテリーに一旦、貯蔵され、補助コンバーターにより、エアコンやドアシステムなどの車内設備のための動力源に活用される仕組みだ。
仕様によると、「Coradia iLint」の最速時速は140キロメートルで、水素を1回充填するごとに600キロメートルから800キロメートルを走行できる。
アルストムでは、「Coradia iLint」の開発・製造だけでなく、車両メンテナンスや水素ステーションの開設・運営までを一環して担う方針だ。
・2018年内にドイツで試運転が実施される見通し
2017年3月には、ドイツ北西部のニーダーザクセン州ザルツギッターにおいて、「Coradia iLint」のテスト運行が初めて実施され、時速80キロメートルでの走行にも成功した。
2018年内には、ドイツのブクステフーデからクックスハーフェンまでの区間において、乗客を乗せた試運転がいよいよ実施される見通しだ。(文 松岡由希子)
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