映画監督が疑問を呈する“コミュニケーションのあり方”

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映画監督が疑問を呈する“コミュニケーションのあり方”

 FacebookやTwitterといったSNSやソーシャルメディア上で友人や共通の趣味を持った人と交流をしているという人は多いだろう。パソコンやスマートフォンが欠かせないツールとなり、SNSがコミュニケーションの場となりつつある。

 しかし、本当にそれでいいのだろうか?
 ただ気分を吐き出すためだけの言葉をネット上に書き散らし、目的もなく自分のフォロワーを増やそうとする。これをコミュニケーションと言えるのか。なぜ人と繋がろうとするのか。真のコミュニケーションとは何か。『コミュニケーションは、要らない』(押井守/著、幻冬舎/刊)で、アニメーション・実写映画監督の押井守氏が疑問を呈する。

 もちろん、人間は一人では生きていけない。実生活の機能面はもちろん、より本質的には、誰かと共有したいという欲求がある。だからこそ、ネット上の動画共有サイトやSNSが、これだけのユーザーを獲得しているという現状があるのだろう。
 しかし、そこにあるのはお手軽に欲求を満たすためだけの、擬似的なコミュニケーションだと押井氏は言う。目を逸らしたい問題から自由に目を逸らすことができるという時点で、コミュニケーションの本質にはたどり着けない。どんな個人でもひとつの共同体の中だけで生きているわけではない。家庭、学校、職場、それぞれの共同体の中で孤独や孤立や様々な軋轢を味わい、家庭とは異なる共同体とコミットする術を覚える。
 それぞれの共同体にまたがったコミュニケーションをきちんと確立できているのか? 職場にいる自分と家にいる自分は別の言論空間で生きているか? 一人の人間の中にある違うレベルの言論空間を、それぞれどう折り合いをつけて生きているのか?
 本書には、コミュニケーションを切り口にした現在の日本人論が語られている。

 SNSはコミュニケーションの一つのツールとして非常に有効だ。しかし、人間関係があからさまでプライバシーがないなどの理由からFacebook疲れという現象も起きている。つまりは、使い方次第なのだ。

「もし、自分が海外で事故に遭った時、即座に飛行機に飛び乗って助けに来てくれる人間が自分のまわりに何人いるのか?」

 本書の中のこの一文を読むと、自分のツイッターのたくさんいるフォロワーを思い浮かべてドキッとしてしまう。あなたを助けてくれる人は、何人いるだろうか。
(新刊JP編集部)



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