【Interview】日本発!周囲360°の視野をもつ近未来型スマートヘルメット「CrossHelmet」のこだわりとは?開発者の高いセンスに迫る
ヘルメットをかぶった状態で音楽再生をしたり、ヘルメット内の小型ディスプレイで天気、交通情報の確認をしたり、周波数をコントロールして不要な外の雑音をカットしたりと、その「デバイス」としての機能性が国内外で話題となっている。また、個人的にもヘルメットのフォルムに一目惚れをした。
このCrossHelmetについて、開発元Borderless Inc.のデザイナー&CEOこと大野 新(おおの あらた)氏に話を聞かせてもらった。
・長年進化が止まっているフルフェイスヘルメットに革新を
Q1: CrossHelmetの開発を着手したきっかけを教えてください。
もともとのアイデアの原点は、私自身がフルフェイスヘルメットに対して抱いていた長年にわたる不満からでした。10代の頃からバイクに親しんできましたが、重たく、窮屈で圧迫感のあるフルフェイスタイプのヘルメットに対して、もっと改善できるのではと考えてきました。主な目的である「頭部を守る」ということ以外に目立った機能をもたないヘルメットという製品は、高品質で信頼性の高いメーカーとして世界中で認知されている日本企業からも、新しい提案が長年の間なされないままでした。近年モバイルデバイスの普及によって、信頼性の高いバッテリーや高性能なチップが手に入りやすくなり、また2013年頃から火がつき始めたメーカーズブームのおかげで、小さな企業でもスピーディに製品開発をすることができる環境が整ってきました。ヘルメットをデジタルデバイス化し、時代にふさわしいデザインを施してパッケージングするという長年あたためてきたアイデアを実現するにはベストなタイミングと考え、2013年末頃から開発に着手しました。
Q2: CrossHelmetからは「ものづくり」のこだわりが感じられました。開発に関して特に意識した点はなんでしょうか?
開発チームのメンバーは全員ものづくりに携わってきた人間で、全員がエンジニア、もしくはデザイナーです。自然と現実的かつ理想的な製品をつくるための知恵や、アイデアを出し合って開発してきました。CrossHelmetのメインデザイナーはバイクのデザインをしてきた人間で、ライディングが趣味であり仕事でもあるので、これまでの経験やアイデア、ライディングに必要と思える機能をバランスよく実装することを心がけてきました。また、エンジニア陣もバイク乗りとして、またデバイス開発や機構設計のプロとして工夫を凝らし開発しています。我々の製品はハードウェア、デザインを全て一から開発しているので、カメラやバッテリー、LEDライトなど実装される部品が違和感なくシンプルに、美しくパッケージングされて見えるよう特に気をつけて開発しています。
・ライディング経験を快適にしつつ事故を減らす取り組み
Q3: ユーザーがスムーズにCrossHelmetのようなスマートヘルメットへシフトするための秘訣はなんだと思いますか?
これまでになかった新しい体験を提供することになるので、抵抗のある方もはじめはいらっしゃるかもしれません。ですが、ライダーの視野を広げ、ストレスを低減し、快適性を追求した製品を提供することによってライディング体験をこれまで以上に楽しいものに作り替えていきたいと思っています。事故を減らし、ライディングに必須のアイテムとして徐々に認知されていくことで、CrossHelmetを普及させていければと思います。
Q4: すでにキャンペーンでの目標金額に到達しました。今後の課題とは?
クラウドファンディングはプロトタイプを量産モデルとして実現するために始めました。目標金額には到達しましたが、より高いレベルの製品づくり、安全性の追求、製品の低価格化のためにはまだまだ多くの課題があります。次のステップとしては、情熱をもって開発に取り組める技術者、問題の解決に果敢に取り組めるチームメンバーを集めることが課題と考えています。
日本発のプロダクトであることを大切なアイデンティティとしても捉えているCrossHelmet。ちょうどKickstart日本版のローンチタイミングに合わせて登場した背景もある。
そんなCrossHelmetは、開発メンバーのライダーとしての深い経験と、デザイナーとしての高いセンスがうまく融合したからこそ生まれたプロダクトといえるだろう。我々のヘルメットがこのヘルメットに置き換わる日もそう遠くはないのかもしれない。
(取材・文:Doga)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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