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“やれたかも”には人生の真実が詰まっている~『やれたかも委員会』吉田貴司インタビュー

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―― あの夜に起きた彼女との出来事。ヤれなかったあの晩、“正しい選択肢”はあったのだろうか

ネットでの流行で一気に有名になったマンガ『やれたかも委員会』は拡散を続け、2017年6月には単行本の1巻も発売された。今なお、確実に“来て”いるタイトルのひとつだ。

主題となるのは、忘れられない彼女(彼)との思い出。そこに共通するのは「あのとき、もしかしたら“やれたのかも”」という後悔に似た、淡くも強い感情だ。

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一見、下世話に聞こえるテーマだけれども、この作品の評価は総じて高い。ネットで見かける著名な人、あるいは見知らぬ人の評価であったり、友人たちからのダイレクトな感想だったり、色々あるのだけれども、いずれも好意的でそこにはやさしさに似た共感が見え隠れしているようにも感じた。こういう評価を受ける作品は、もっともっと有名になるという強い予感も感じさせる。

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実際、書店では平積みのスペースを譲ることなく、Amazonランキングでも好位をキープし続けている。

しかし『やれたかも委員会』が世に出るまでは、様々な紆余曲折があった。今回、作者である吉田貴司先生にお話を伺った。

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▲吉田先生の仕事部屋

吉田貴司インタビュー ~バズった時は「食いっぱぐれる寸前」だった

――今日はよろしくお願いします。僕『やれるかも委員会』を初めて読んだのが、『マンガonウェブ』の創刊号だったんです。

吉田貴司先生(以下吉田):そうなんですか。それは珍しいタイプですね。アレ(マンガonウェブ)は2015年の4月でしたから、めちゃめちゃ前ですよね。

――最初に『やれたかも委員会』を描かれたのはいつ頃ですか?

吉田:2013年でしたね。

―― バズったのは2016年くらいでしたっけ?

吉田:2016年、去年ですね。去年の9月です。

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―― Twitterで急に拡散されて、なんか「すごいぞ」ってのが色んな所から回ってきたのを覚えてます

吉田:確かヨッピーさんじゃなかったかなぁ。『オモコロ』関係の方々があれを「面白い!」って言ってくれたんですよ。

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▲ネームと完成原稿

―― 既に『やれたかも』を知ってた人からすると「でしょ? やっぱりそうでしょ?!」って思ってたはずです

吉田:(笑) でも、その頃はもう食いっぱぐれる寸前……いや、食いっぱぐれてましたからね、実際。スピリッツで『シェアバディ』(2015年)やってたけど、半年で終わって……。Twitterで『やれたかも』がバズったのはうれしかったんですが、一方で生活的には「もう、どうしようもないな」って状態だったんです。本当にめちゃくちゃでしたね。精神的にもかなりキツい状態でした。

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『シェアバディ』で吉田先生は原作を手掛けるものの、制作サイドで全く折り合いが付かない状態が続いていた。吉田先生曰く「2015年の年末は最悪」。「泥沼でした」と述べる、軋轢が生んだ人間関係の溝は非常に深いものだった。

通常、作品で人気が出ると互いに「〇〇先生のおかげです!」と讃えあうのだけれども、人気が出ないときはその真逆。チーム内で“押し付け合い”が起きる事もある。吉田先生の場合も例外ではなかったという。
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吉田:その時に「もうどっかに持ち込むのは無理だな」ってなりました。加えて編集者と何かやるのも「もうやめよう」って思ったんです。

今考えると、僕の年齢的にも37だし、2回連載させてもらってどっちもコケてると。で、編集者側からすると、拾うところがない、旨味がない、って見られてたんじゃないかな。だから何を企画出しても「まあ、無理だと思いますよ」って。あまりまともに話を聞いてもらえない状況になってる気がしましたね。

ネットに舵を切ったけど「スベりたおし」

―― そこからネットに方向転換を?

吉田:そうですね。もうプロはあきらめて同人でやろっかな、と。今も僕、そういう気持ちです。

原稿料って形で出版社からお金をもらうんじゃなくて、何とかお客さんから直接お金をもらうほうにシフトしていこうって、その時考えたんですよ。

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記者:

「予備校生のような出で立ち」で写真撮影、被写体(スチル・動画)、記者などできる限りなんでも、体張る系。 「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」などの特殊な性質がある。 好きなもの: 食べ物の写真、昔ゲーム(の音)、手作りアニメ、昭和、穀物

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