Ready to Dance? フジロックフェスティバル’17で踊らずにはいられない理由

GORILLAZ The xx Credit Alasdair McLellan ARCA_DJ_&_JESSE_KANDA_AV

フジロックフェスティバル’17のラインナップは痛快としか言いようがない。
近年のガラパゴス化の影響かフェスの乱立の影響か、あそこのフェスでもこちらのフェスでも同じ名前が並ぶというドッペルゲンガー的な現象が多く見受けられたのだが、このフジのラインナップは彼らの歴史と好きを形にしてきたものだけが持つはっきりとした輪郭、背骨がはっきりと感じられる。つまり、寄せ集めではない、芯があるということ。
お祭りの初陣をきる初日のトリはGORILLAZ。言わずと知れたデーモン・アルバーンによるカートゥーン・バンド。多様な音楽性とデーモンのまごうことなくポップセンスで縫い上げた楽曲たちはダンスからロックまで幅広い層に支持されている。
THE XX、RHYE、EDEN、ARCA DJ & JESSE KANDA AV、GALLANT、SAMPHAの布陣も見事。恍惚を誘うメロディラインと身体を揺らすビートを併せ持つアーティストたちをここまで揃えることができるのは、日本でもやはりこのフェスならではであり、このチョイスを信じてついていこうと思わせられる。

AphexTwin Avalanches_The 15_Lemon_Twigs

2日目のトリは、APHEX TWIN。鬼才リチャード・D・ジェームスによる音楽が、いまの電子音楽にどれほどの影響を与えたかは枚挙にいとまない。まさに生きるレジェンドである。APHEX TWINへ続く道を彩るのは、NYのダンスシーンを牽引してきたLCD SOUNDSYSTEM、破壊的なほどのポップセンスでシーンに衝撃を与えたTHE AVALANCHES、そしてCORNELIUS(同日に小沢健二の出演が決定していることも、フジロックならではの采配)。若きロックスターであるLEMON TWIGSやTHE RAMONA FLOWERS、キラキラとした楽曲で注目を集めるDAY WAVEやTHE MARCUS KING BAND、シベリアから踊り出て世界の寵児となったNINA KRAVIZも配置と、各ファンルのツボを抜かりなく突いてくる。

BJORK Lorde Print

最終日のオオトリは説明不要の最重要アーティスト、BJÖRK。そして2014年のフジロックでも圧巻の歌唱力を見せつけた、17歳でグラミー賞受賞のLORDE、押しも押されぬダンス界のヒットメーカーとなったDIPLOによるMAJOR LAZER、先日の来日5公演すべてが即ソールドアウトしたTHUNDERCAT、ジャンルを超えて多くのミュージシャンに支持されるBONOBO、アートと音楽の結びつきを体現するようなMAGGIE ROGERS、軽やかで美しいREAL ESTATEやSLOW DIVE、次世代を代表するヒップホップのプロデューサー、TROYBOIらが脇を固める。
全日のラインナップは、往年のファンから新しいファンへのリーチまでが配慮され、なにより音楽好きなら歓喜せずにはいられない良質な音楽が凝縮されている。
生の楽器だろうがエレクトロニックであろうが、時を超える音楽はオリジナリティを持ち、感情を動かし、深い部分にタッチしてくる。ただ踊らせるのでも歌わせるのでもなく、パーソナルに迫る感覚と体験を与えてくれる。そしてそれらの音楽を奏でることをできるミュージシャンというのは、幾多の音楽がリリースされている中でも稀少な存在である。
良質な音楽とはなにか、そしてそれらは決して消費されることなく受け継がれていくというサイクルを目にすることができるのが、このフジロックフェスティバルなのだ。まあ堅苦しいことはさておき、空気の澄んだ山の中でグッドミュージックで踊るというのは素敵な体験なので、それだけでも行く価値は充分にあり。

FUJI ROCK FESTIVAL ’17
2017年 7月28日(金)29日(土)30日(日)
会 場 新潟県 湯沢町 苗場スキー場
時 間 9:00開場 11:00開演 23:00終演予定
<総合問合せ/オフィシャルサイト>
http://www.fujirockfestival.com

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. Ready to Dance? フジロックフェスティバル’17で踊らずにはいられない理由

NeoL/ネオエル

都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。

ウェブサイト: http://www.neol.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

記事ランキング