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ジャーマン・テクノのオリジネイター的DJ、ウエストバム自伝『夜の力』がおもしろいぞ──【OTOTOY読んだ その1】

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ジャーマン・テクノのオリジネイター的DJ、ウエストバム自伝『夜の力』がおもしろいぞ──【OTOTOY読んだ その1】

ということで不定期ですがちらりとちらりとニュースの部分を借りて、音楽にまつわる書籍(たまにそうじゃないのもあり)を紹介。新旧、音楽好きがピクリとくる書籍を紹介できればと思っとります。

第1回目はジャーマン・テクノ・シーンのオリジネイターのひとりで、トップDJ、クリエイターでもあるウェストバムの自伝『夜の力──ウエストバム自伝』。

日本では石野卓球との親交の深さもあって往年のテクノ・ファンには知られた存在です。この本にも触れられていますが、1990年代以降の爆発的なシーンのメジャー化で、ドイツでもよく知られた存在。

自伝は彼の子供時代からはじまり、ティーンエイジャーになり、パンクロックとの出会い、そしてノイエ・ドイチェ・ヴェレ・シーン(ドイツ版ニューウェイヴ)への参加、それと平行したナイト・ライフとDJとしての活動スタートと、1980年代のドイツのアンダーグラウンドなシーンの話。そして1990年代に入り、まさに狂騒曲と化した、ドイツ・テクノ・シーン、彼が主催した巨大レイヴ〈メイデイ〉の隆盛なんかを描いているわけです(まぁ、時系列に行くのでぱっきり分かれているわけではないですが)。

で、なによりもその饒舌な語り口がいいんですね。すいすいっと息を吐くようにユーモアが出てくる感じで、その口車に乗れば分厚い本ですが、さくっと読めちゃいます。

まず興味深いのは、いわゆるロンドンやニューヨークと違ってあまり日本語に訳出されていない、この本で1980年代のベルリンやその他、ドイツのクラブ・カルチャーの一旦が垣間見れること。当時のドイツのクラブでカリプソが結構人気だった、しかも「ランバダ」が結構かかってたとか、意外すぎることも目白押し。出会いと別れな青春な話もまたいいんだなぁ。ドイツで初のハウス・シングル・ヒットを生み出していたこと、DAFのガビとも一時期活動をともにしていたことなどなど。

そして1989年前のベルリンの壁崩あたりからのテクノ狂騒曲。東西ドイツの統一から産まれたベルリンのシーンのエネルギッシュな躍動感、ラヴ・パレードがみるみる巨大になっていく様(と人間模様)、スヴェン・フェイト率いるフランクフルト一派のジャーマン・トランス勢のヒット・ビフォー・アフター的な話(ウェストバムはジャーマン・トランス・ダメだったみたい)、ドラッグの話(特にジャム&スプーンのスプーンのあの話のくだりとかおもしろすぎますね)、そしてウエストバムのレイヴ〈メイデイ〉が巨大化していく様などなど、1990年代のベルリンを中心にしたテクノ・シーンに関して語られております。いや、とにかく一気に膨らむシーンの躍動感と疾走感は、そこにいなかった人でもウズウズとパーティに行きたくなる感じです。

わりとUKのシーンはさまざまな著作などで語られていることも多いのですが、ドイツのダンス・カルチャーに関して、過去の雑誌などのインタヴューをのぞいては、こと訳出されているものに関してはほとんど皆無に近いのでそのあたりとしても貴重かも。

ってか、DJの自伝、結構おもしろいのでオススメです。フランスのロラン・ガルニエの『エレクトロ・ショック』とか、ここ日本のハウス・レジェンド、高橋透の『DJバカ一代』とか、読み比べてみるとおもしろいかもしれませんぞ。
(河村)

・ウエストバム(著) / 楯岡三和+トーマス・シュレーダー(訳)『夜の力──ウエストバム自伝』
http://www.ele-king.net/books/005415/

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