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玉手初美「生きててよかった」24時間路上ライブ完遂! チケット8枚しか売れてなかった初ワンマン明日開催

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玉手初美「生きててよかった」24時間路上ライブ完遂! チケット8枚しか売れてなかった初ワンマン明日開催

 怒りを爆発させるように生々しい言葉を絶叫、ギターを掻き鳴らす弱冠20歳の女性シンガーソングライター 玉手初美。初ワンマンライブのチケットが8枚しか売れていないことから、24時間路上フリーライブを敢行した。

玉手初美 衝撃の24時間路上ライブ写真一覧

<寒波が吹き荒ぶJR新宿駅東南口前、ただひとり歌い叫ぶ姿に胸打たれた者達>

 玉手初美は、12月10日 下北沢Daisy Barにて初のワンマンライブを開催する。この公演では、オータコージ(dr)とだーはら(b)との超絶3ピースバンドでのライブを繰り広げることが決まっており、先駆けて3者の鬼気迫るセッションムービー第1弾(http://youtu.be/V-W-0mFCTjk)と第2弾(https://youtu.be/iNkV3evNmhM)も公開中。こちらの映像を観れば、当日も衝撃的なライブになることは間違いないと分かる。

 しかし、そのワンマンライブのチケットが発売日から2か月経ってもたったの“8枚”しか売れておらず、この状況を打破すべく12月6日夜20時~24時間路上フリーライブを敢行した。スタートは笑えないほどの寒波が吹き荒ぶJR新宿駅東南口前。普段はストリートミュージシャンが横一線に立ち並ぶ路上ライブスポットだが、この日はあまりの寒さに他にライブをしている者はおらず、そんな状況下で彼女は鬼気迫る表情でひたすらに歌い叫んでいく。その姿に胸打たれた者たちが初ワンマンのチケットを購入。しかしこれ以上同所でのライブは身体的に危険と判断し、南口の高架下へ。ここでは路上ライブ仲間とのセッションも繰り広げられ、23時半頃からスタートした渋谷スクランブル交差点付近でのライブにもドラマーやラッパーが参加と、前代未聞のミッションに挑戦する玉手初美のもとへ次々と仲間が駆け付けた。

<24時間企画中に余儀なく飲酒! 椎名林檎「罪と罰」などカラオケ大会勃発>

 その後、終電で初ワンマンを行うDaisy Barがある下北沢へ。平日の深夜、ひらすら冷気が凶暴化していく路上に歩行者は皆無。急遽、近隣のファミレスで案を練り、玉手の知人である鈴なり横丁内にあるBarジラフのオーナーに連絡、突然の相談にも関わらず同店でライブをやらせてもらえることになった。しかしそこはディープな呑み屋である。酒も頼まずにライブだけすることが許されるような場ではなく、まさかの24時間企画の最中にスタッフ共々飲酒を余儀なくされる展開となり、中盤はオーナーやお店のお客さんとのカラオケ大会にまで発展していく。ここで玉手は各位からのリクエストに応え、椎名林檎「罪と罰」や一青窈「ハナミズキ」、尾崎豊「I LOVE YOU」などを披露。気付けば時間は朝方、普段であればオールで呑み明かした後は始発で家に帰り毛布に包まるところだが、まだ24時間路上ライブは折り返し地点にも達しておらず、酔いと眠気と戦いながら早朝の新宿西口へ。

<どんなに必死に叫んでも掻き鳴らしても誰一人足止めず「無謀だった」>

 24時間路上ライブは酒場でのインタビュー(http://bit.ly/2gHRVNs)で決まったことゆえ、途中で酒場ライブがあるのもまた一興とも思えなくなかったが、早朝の新宿西口ライブにて歌い出した玉手の声は思うように出なくなっていた。それでも彼女は自分の行動に後悔した様子もなく、愚痴を零すこともなく、ただただひらすらに目の前を行き交う出勤中の人々を見つめながら、まったくもって朝に相応しくない情念の歌を喚き散らすように響かせていく。相見えない世界。徹底された孤独。どんなに必死に歌っても叫んでも掻き鳴らしても誰一人足を止めてはくれない。本人も「無謀だった」と初めて弱音を零したが、それでも歌い続けているとひとりの女性が「凄い!」と彼女のもとへ駆け付け、1000円札を勢いよく差し出してきた。それでデモCDを2枚購入、ワンマンのチケットも売っている事を知ると、スケジュールを確認する様子もなくさらに2000円を玉手に手渡した。

 昨夜より延々と歌い叫び続け、10時間ぶりに売れた1枚。通り過ぎた歩行者たちがウン千人、ウン万人だとしたらあまりに確率の悪い、効率も悪い戦い。しかし玉手初美に出来ることは手元のギターを掻き鳴らして、どんなに喉が潰れようと必死に歌うことだけ。チケットが8枚しか売れてないと落ち込んで、どうにもならない現実の中での足掻き方として思いついたアクションは、路上で弾き語ること以外なかった。

<人生初の秋葉原での路上ライブ、そしてMC.sirafuとの強烈セッション>

 しばしの休憩後、新宿駅西口の真ん前でここまでで最もエモーショナルな歌声を響かせると、玉手の声は限界を超えた。一度のライブで歌える曲数も極端に減った。さじで龍角散を幾度となく喉に放り込んでは歌い、歌ってはまた放り込む繰り返し。そんな状態ながらも人生初の秋葉原へ上陸すると、無数の萌え系アニメのイラストが存在感を放ちまくるビルの群れの中で「姉妹ゲンカ」を熱唱。早朝の新宿以上に彼女の歌が違和感を爆発させていく。そして歌い終えた彼女は、とっくに満身創痍な状態のはずなのだが、どこか楽しげに秋葉原の街を闊歩し始め、萌え系アニメのイラストと記念撮影したり、あきば食堂でスタッフたちと定食を食べたり、束の間の休息を楽しんだ。その後、とあるセッション実現の為に移動した錦糸町の錦糸公園で、彼女はポツリこう言った。

 「生きててよかった」

 端から見ればひたすら過酷でしかない24時間路上ライブ。いつもどこか生きづらそうにしている、生きづらいからこそ生まれるのであろう曲ばかり歌っている、マジョリティとマイノリティで言えば間違いなくマイノリティである若干二十歳のはぐれ者が何故に「生きててよかった」とつぶやいたのか? このときは分からなかった。そんな何かに気付き始めた錦糸公園での昼下がり、公園の入口からフォルムからして普通ではない、けれども優しそうなミュージシャンがひとり近づいてきた。MC.sirafu(片想い/ザ・なつやすみバンド/うつくしきひかり)である。錦糸町に詳しい彼に引率される形で錦糸町駅南口へ。本人曰く路上ライブは20年ぶり、しかも打ち合わせもリハもなしのぶっつけ本番。「緊張する」とハニカんでいたが、ドーパミン出っ放しの玉手の歌とギターを隣にすると、手元のピアニカからブルージィな音色を重ねていく。シンクロしていく2人の生き様。

<24時間路上ライブはいよいよクライマックスへ>

 もう出ないはずの声がMC.sirafuの音楽に引き出され、強烈なセッションとなった錦糸町での路上ライブ。感銘を受けたらしい歩行者のおじさまに「君はりりぃに似ている」と玉手が話しかけられている姿を横目に、MC.sirafuは笑顔で手を振って去っていった。そして24時間路上ライブは小休憩を挟んでいよいよクライマックスへ。

 再び渋谷のスクランブル交差点に降り立った彼女は、某K-POPアーティストのファンが大勢たむろっていた場所から一撃必殺、1曲勝負で魂の限りに歌い叫ぶと、CDやチラシを求める歩行者が続出。これまでで最高の手応えを得る。時間は19時をまわった。昨日の夜から続いた24時間路上ライブもいよいよラストステージ。場所はスタートと同じJR新宿駅東南口前のストリート。もはや声にならない声、しかし全身全霊を震わせて叫ばれる姿に周囲は一気に引き込まれていく。いや、正確には、第一声でその場を去った女の子たちもいた。あまりに鬼気迫るその歌や姿はどう考えても聴き手を選ぶものではあった。しかし、突き刺さる者にはもうどうしようもないほど突き刺さる。初ワンマンを共にするオータコージ(dr)は「ハードルをかなり上げられたからワンマン相当頑張らなきゃ!」と笑顔で語ってくれたが、玉手初美は完全に玉手初美を振り切ってみせた。

<ツラいんですけど……めっちゃくちゃ楽しかったんですよ>

 すべてを歌い終え、彼女は語り出す。

 「昨日の夜20時から始めて、あと3分でちょうど20時になる。そこで24時間ライブは終了になるんですけど、どうして24時間ライブを始めたのかと言うと、ワンマンライブのチケットが全く売れてなく……その目的を持って始めた24時間ライブなんですけど、なんかね、スタッフが5人になったり、1人減ったり、2人っきりになったり、そうやって減ったり増えたりする中で、渋谷とか下北も行ったし、錦糸町、あとアキバとかいろいろ巡った訳です。もうなんかね、スタッフの方には申し訳ないんですけど、もうチケットいいや(笑)。ごめんなさい。本当に申し訳ないんですけど、チケット売るのも大切なんだけど、なんだろう? ずっとこういう風にやってると……なんて言えばいいんだろうね。ツラいんですけど……めっちゃくちゃ楽しかったんですよ。

 あのー、これは、なんとも難しい、私、今、何を話してるのか分かんないんですけど、そういう風にずっと歌ってると声かけてくれる人もいるし、チケット買ってくれる人もいて。スタッフさんも眠い中、ずっと待っててくれたり、ギリギリ……ツラいんだけど「ツラい」って言わないでくれて……とりあえず、とりあえず良い24時間ライブでした。皆さんに拍手したい! 私の手じゃ足りんけど! お客さんも、スタッフさんも、寒い中ずーっと観てくれて、ありがとうございます! 次のライブは土曜日のワンマン。それまでに何とか声治します。だから次、ちゃんと来てください。チケット売ってます! 2000円です。聴いてくれてありがとうございます。玉手初美でした!」

<音楽家の生き方の答えはひとつじゃない。若干二十歳のはぐれ者の大一番>

 そして、12月7日夜20時。オータコージが差し入れに持ってきてくれた缶ビールを開け、路上でみんなと乾杯。「おつかれさまです! いただきまーす!」満面の笑みを浮かべる玉手初美。こうして長くてヘヴィでディープで「生きててよかった」とまで思えた24時間路上ライブは幕を下ろした。しかし、これはすべて明日12月10日 下北沢DaisyBarにて開催される初ワンマンライブへの伏線でしかない。明日、玉手初美はどんな光景の中でどんな歌と音楽を響かせてくれるのだろうか。音楽家の生き方の答えはひとつじゃないと、その小さな体でもって気付かせてくれた若干二十歳のはぐれ者の大一番。ぜひとも目撃してほしい。 

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada

◎ワンマンライブ
2016年12月10日(土)下北沢DaisyBar
OPEN 18:30 / START 19:00
出演:玉手初美 w/オータコージ、だーはら
チケット:発売中
料金:前売2,000円+1D ※前売り特典(ライブ当日お渡し)あり / 当日2,500円+1D
ローソンチケット http://l-tike.com Lコード:70523
イープラス http://eee.eplus.co.jp
DaisyBar店頭 問)03-3421-0847

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