写真家も驚いた、俳優・瑛太が語る「被写体のテンションをあげる方法」

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写真家も驚いた、俳優・瑛太が語る「被写体のテンションをあげる方法」

普通のインタビューの場合、プロ・インタビュアーであったり、媒体の編集者であったり、ライターであったりがインタビュアーを担当することが多い。

しかし、時に著名人やタレント、表現者がインタビュアーをするときもあり、たいていは「対談」という形式を取る。

しかし、インタビュー・カルチャー・マガジン『SWITCH Vol.34 No.9』(スイッチパブリッシング刊)で、俳優たちへのインタビューを試みている気鋭の写真家の若木信吾氏は、しっかりと相手の話を引き出す「インタビュアー」を務めている。

ただ、やはりカメラマンならではの質問が面白いのだ。

■「カメラマンが苦手」というオダギリジョーに写真家はどう語る?

そのコーナーのタイトルは「再会―俳優の肖像」。

ニューヨークで写真を学んだ若木氏が20代半ばに日本に戻り、雑誌を中心としたメディアで活躍をしていた頃に撮影をした俳優たちの中から、特に若木氏にインパクトをもたらした3人の男との話に花を咲かせている。

撮影をする者、される者、その当事者にしか分からない現場の雰囲気がインタビューによって掘り起こされており、訊き手と話し手というインタビューの基本構図では決して生まれない話が展開される。

例えば、「カメラマンが苦手」と話すオダギリジョーさんの言葉を受け、若木氏は自分がカメラマンとして感じた感想を率直に語っている。

――(中略)オダギリさんはカメラマンが好きになるタイプなんですよ。撮っていて画になるというのはもちろんだけど、カメラに対して何らかシャッターチャンスを発してくれるところがある。役者の方でもカメラに対してのやりとりがなくなってしまう人が案外いるんです。ただカメラの前に立って「どっち向けばいいの?」みたいな。

(『SWITCH Vol.34 No.9』p77より引用)

この若木氏の言葉は、「ファインダーの中の画」として写る自分を想像するという、オダギリさんの職業病的な一面を引き出す。それは若木氏だからこそ、引き出せた回答ではないか。

■「いつも自然体」松田龍平の、カメラマンとの向き合い方

一方で、松田龍平さんは対照的だ。

――いつも撮っていて感じるのは、龍平君が一番、カメラマンに対して「シャッターを押せ」というサインを発してこないんです。言い方を変えるとこちらがシャッターを押していることに気がついていないようにしている感じがあって。それぐらいサインを消していいて、一番自然にカメラの前にいる。それは龍平君の映画を観ていても感じることなんだけど、それがほんとうに自然なのか、実は演技なのか、わからないんです。

(『SWITCH Vol.34 No.9』p85より引用)

松田さんはこの若木氏の質問に対して、“決める”と上手くいかなかったときに嫌だから、「別にいつ撮ってもらっていいよ」という感じにしていると答える。

とはいっても、やはりカメラマンと被写体は、一対一。松田さんは「相手との信頼関係のようなところでやっているのかも」とも語っている。

■カメラマン・瑛太の「被写体のテンションをあげる方法」に驚き

また、瑛太さんへのインタビューでは、雑誌でカメラマンとなって連載をはじめたばかりの彼が、若木氏に逆質問をする場面も。

その中で、カメラマンとして被写体が撮影に飽きてきた素振りを見せたときに、どのようにオーダーするかについて、瑛太さんのやり方を聞いた若木氏が驚く場面がある。

――すごい。役者ならではの技だ。そんな方法は初めて聞いた。しかもそれは俺にはできない(笑)。でも瑛太さんがカメラマンになった時、何を撮ろうとしているか、写真を撮ることで何を得ようとしているか、というのは一番気になっているところです。

(『SWITCH Vol.34 No.9』p81より引用)

さて、瑛太さんは何をして相手のテンションを高めるのか?

「わざとすごい引きの画角で遠くから何枚も撮ったり」

「突然思いっきり大声で笑ってみたり」

若木氏の驚きは後者の「大声で笑う」に対するもの。瑛太さんによれば、自分が大声で笑うことで、相手もつられて笑ってしまうのだという。

若木氏は他にも、大先輩の写真家たちや、SMAPの木村拓哉さんへのインタビューを試みている。その一つ一つが独特な雰囲気をまとっていて、とても新鮮だ。もちろん、『SWITCH』編集長・新井敏記氏による若木氏へのインタビューも載っている。

『SWITCH Vol.34 No.9』は若木信吾という一人の写真家をさまざま角度から提示している。

(新刊JP編集部)

*記事中画像はいずれも『SWITCH Vol.34 No.9』より

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