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話題騒然『日本で一番悪い奴ら』白石監督インタビュー「こういう映画を学校の教材にして欲しい(笑)」

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やらせ捜査が発覚し<日本警察史上の最大の不祥事>といわれる実際の事件を題材に、北海道警察・刑事の壮絶な26年間を描いた『日本で一番悪い奴ら』。綾野剛さんの体当たり演技がすごすぎる、警察の汚職事件なのに爽快感がある! と現在大ヒット上映中です。

本作を手掛けたのは、2013年に監督した『凶悪』が第37回日本アカデミー優秀監督賞・優秀脚本賞をはじめ、数々の映画賞に輝いた、白石和彌監督。『凶悪』が大傑作だっただけに、否応無しに高まる次回作への高い期待を、新しい形で越えてきた本作。「『日本で一番悪い奴ら』は警察映画でありギャング映画」と話す白石監督に色々とお話を伺って来ました。

日本で一番悪い奴ら

―作品拝見しまして、大変面白かったのですが、実際に起きた犯罪をベースにしている映画なだけに“面白い!”と思うのは不謹慎かな? とも思ったりして。でも面白いと思っていいんですよね……?

白石監督:もちろん! 全く不謹慎では無いですよ。

―こういった実録モノを、この様に面白く撮ろうと思った理由はありますか?

白石監督:この映画は北海道警察で実際に起きた事件を基にしていて、逮捕者も出ている、起ってはいけない犯罪を描いてはいるのですが、そこで行われていた事ってすごく楽しかったと思うんですよね。普通の刑事って、マル暴(※)とかやっていても、生涯に摘発する拳銃って10丁もいかないんですよ。10丁あげたら普通は凄いね、と褒められるレベルみたいで。でも、稲葉さんって(本作の主人公・諸星の基になった人物)100丁以上あげているんです。そのテンションって何なのかというと、単純に「気持ちよかった」としか思えないんですよね。摘発したって、拳銃一丁につき、数万円しか謝礼がもらえない、名誉欲といってもさほどでは無い。ひたすら面白かったんだろうとしか、僕には思えなかったんですよね。

ヤクザのS(スパイ)と一緒に拳銃摘発して、その後美味いもの食って、良い女を抱いてっていう。それは警察だから不謹慎と言われると思うけど、人間としては、すごく欲望に忠実で健全なんじゃないかなと思って。その一点で、この映画を作りました。

※編集部注:マル暴とは、暴力団対策を担当する警察内の組織や刑事の事。

―人間として欲望に忠実だからこそ、なぜか彼の事って全然憎めないんですよね。

白石監督:そう。実録警察モノだからといっても、警察はこんな悪い奴らなんですよ、って事を描きたいのではなくて、一人の男の人生を描きたかった。人との出会いがあって、チームで仕事をしていたのに、その人達全員がどんどん離れていく。これって、どんな人間にも訪れる事だと思うんです。(諸星は)警察という組織の中で、忠実に仕事に取り組んだ結果、振り返ってみると自分のいる場所が変わっていたというふうに感じました。

―実際の事件について、白石監督は当時覚えている事はありますか?

白石監督:2002年に稲葉さんが捕まって、その時はさほど大きく報道されなかったんですけど、その後に稲葉さんの元上司である原田さんが「稲葉は捕まったけど、個人でやったわけでは無くて組織でやっていたんだ」と裏金について告白したんです。それが大きくニュースになって、僕は北海道出身という事もあって印象的でした。ただ、稲葉さんがどういう経緯で拳銃100丁以上をあげて、エースと言われ、どんな汚職をしたのか、というのは知らなかったです。

―白石監督は、メジャーデビュー作の『凶悪』が大ヒットし、様々な賞を受賞しました。その後に撮る作品という事で、結構悩まれたのでは無いでしょうか。

白石監督:『凶悪』(2013)が幸いにも、皆さんのおかげで評価をいただいて、次に何を撮ろうとはずっと考えていました。それで、いろいろな方から「こんなのどうでしょう?」って持ってきていただく本や企画が、『凶悪』の様な犯罪モノ、クライム・サスペンスが多くて。でも、僕は『凶悪』で全てをやりきったとは言わないですが、罪と罰の話を今作ってもあまり見栄えはしないだろうと思いました。そんな時に、本作で脚本を書いてくださった池上さんにこの作品の原作を薦めていただきまして、これなら面白くなるんじゃないかなと思いました。これって警察映画でありながら、ギャング映画なんですよね。

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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