Nextbit Robinのクラウドストレージ連携機能「Smart Storage」の動作や有用性を検証

Nextbit 社の Android スマートフォン「Robin」には、購入者に無料で付与される 100GB のクラウドストレージと連携し、端末のデータを自動的に転送して内蔵ストレージの空き容量を開放するというこれまでのスマートフォンになかった機能を搭載しています。個人的に、こういったサーバ連動型の機能やサービスの動作などには昔から興味があるので、Robin のクラウドストレージ連携機能が実際にどのような動きをするのかを確認してみました。(参考)Nextbit Robin 開封の儀まず機能の説明から。Robin のクラウドストレージ連携機能は「Smart Storage」と呼ばれています。これは設定メニューの「Smart Storage」セクションとして実装されており、内蔵ストレージとクラウドストレージの空き容量、タイプ別のデータ保存容量を確認できるほか、アップロードの条件なども設定できます。Smart Storage が対象にしているのは、「アプリ本体」「アプリデータ」「画像」「動画」の 4 点です。アプリとアプリデータは一体なので、アプリデータだけをアップロードすることはできません。この記事では次の検証項目を設定しました。① どのタイミングでアップロードが行われるのか② クラウドストレージを効率良く利用するのか③ クラウドストレージと合算して内蔵ストレージの容量を超えるデータを持つことができるのか④ 機内モードやモバイルデータ通信の利用時にはどのように振る舞うのかです。検証 ① についてここでのテストでは、大量のアプリをインストールしたり、大量の写真や 4K 動画を撮影して内蔵ストレージ容量を超えるデータ容量を再現し、その経過を観察しました。テスト開始前の空き容量は、内蔵ストレージが 20.4GB、クラウドストレージが 99.5GB です(上図を参照)。この時点で、内蔵ストレージを 5GB 弱消費しているのにクラウドストレージは 0.5GB しか消費していない点を見ると、内蔵ストレージの余裕がある場合にはクラウドストレージはほぼ利用しないことが分かります。テストを開始します。内蔵ストレージが残り 11.9GB になった時点で、クラウドストレージの空き容量は 97.9GB でした。つまり、8.5GB の増加に対して、1.6GB がアップロードされたことになります。約 18% がアップロードされた計算です。データを追加します。内蔵ストレージが残り 5GB になった時点で、クラウドストレージの空き容量は 93.3GB でした。つまり、15.4GB の増加に対して、6.2GB がアップロードされたことになります。約 40% のデータがアップロードされた計算です。さらにデータを追加します。今度は内蔵ストレージが残り 2.1GB になった時点で、クラウドストレージの空き容量は 89GB でした。つまり、18.3GB の増加に対して、10.5GB アップロードされたことになります。約 57% のデータがアップロードされた計算です。この後もデータ追加を続けたのですが、2GB を切った時点でなんと内蔵ストレージの空き容量が増えてしまいました。予想外の展開。どうやら Robin では 2GB を内蔵ストレージの最低確保ラインとしているようです。もちろん、データの追加は継続して可能ですが、内蔵ストレージの空き容量が徐々に増えていきます。2GB 付近にまで減ると、アップロードを加速させているようです。これらのテストから ① と ② の結論が導き出せます。① についてはテストの過程をご覧になればお分かりだと思います。② については、内蔵ストレージの空き容量に余裕がある場合にはクラウドストレージはあまり活用しない。内蔵ストレージの空き容量が減るに連れてクラウドストレージの活用度が増す。内蔵ストレージの空き容量が 2GB を下回ると、クラウドストレージを積極的に活用し、内蔵ストレージの空き容量を増やす。③ の結論として、アプリなどの追加で増えた 18.5GB とクラウドストレージにアップロードされた 10.5GB の合計 28.8GB は全て Robin のデータなので、内蔵ストレージの実効容量 24.9GB よりも多くのデータを持てたことになります。④ について。クラウドストレージ上のアプリとアプリデータは Robin 上でグレースアウト表示に変わり、アイコンをタップするとインターネット経由でダウンロードしリストアします。Wi-Fi 接続時のリストア時間は RSS リーダーアプリ「Palabre」で 50 秒(アプリデータ込み 18.29MB)でした。意外と時間がかかりますが、正常にリストアされるので、問題なく利用を継続できます。次にモバイルデータ(LTE)で「SD メイド」(合計 5.61MB)をリストアしたところ、12 秒ほどで完了しました。ちなみに、アプリデータがない(一度も起動していないアプリ)はどちらの接続方法でも数秒でリストアできます。アプリを再インストールするだけだからなのでしょう。最後に、機内モードではネットに繋がらないのでリストアできません。Robin ではアプリ本体だけではなく、アプリデータをバックアップできると言っても、実際のところはアプリとそのデータはセットです。なので、アプリデータだけをクラウドストレージに退避させて空き容量を増やすことはできません。どの場合もアプリそのものがクラウドストレージのアップロードされます。問題点ある程度動きは見えてきました。その中で 2 点の問題や弊害が明らかになりました。1 点目はアップロードしたアプリはホーム画面上には残るものの、サードパーティアプリからは端末から削除されたと認識されるので、例えば ES ファイルエクスプローラーが削除されたと判断し、関連の空きフォルダの削除を提案するなど、他のアプリが妙な動きをします。削除を促すフォルダは空の状態なので削除しても問題はありませんが、この点は Nextbit 側で対処すべき点だと思います。2 点目は画像・動画の取り扱いです。クラウドストレージにアップロードされた画像や動画は、Robin 専用のギャラリーアプリ上に表示されますが、ネット接続ができない機内モードの最中にクラウドストレージ上の画像をプレビューすると、アプリが固まってしまいます。クラウド上の画像や動画のサムネイルは表示しないなどの対策が必要でしょう。結論当初、クラウドストレージ連携機能はあってもなくてもどうでもいいかな、と思っていましたが、特定の条件や使い方の場合には役立つのでそうも言ってられなくなりました。それは、例えば定期的にバックアップを取得して Micro SD カードに保存するといったレガシーなバックアップ / リストア方法を簡単にするからです。アップロードはシステムが判断して自動的に行います(ピン留め機能で自動アップロードされないように設定することも可能)、リストアはグレーアウトのアイコンをタップするだけなのです(しかし、ネット接続が必要)。アプリや画像を大量保存している場合でも、特にアプリについては、泣く泣く削除する場合もあるので、それが無くなるというのはやはりありがたい。しかし、モバイルデータでもリストアは可能なので、データ通信量の増大にはお気をつけください。

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