ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

ジャンクフードに税金? 笑っちゃいけない世界の肥満対策

DATE: BY:
  • ガジェット通信 GetNewsを≫
ジャンクフード税? もう笑えない世界の肥満政策

photo:Anderson Mancini
サニーヘルスの調査レポートによると、ハンガリー議会は今年7月に可決した通称“ポテトチップス税”法案を、いよいよ9月から施行したそうです。これは、同国の肥満対策として、袋入りスナック菓子、クッキー、炭酸飲料、栄養ドリンクなど「砂糖や塩分が大量に含まれる食品や飲料を対象に5~20%」課税するというもの。「ポテトチップス税」なんてちょっと笑っちゃうネーミングですが、実は肥満は今や世界的な社会問題で、ぜんぜん笑えないことになっています。

世界人口の4分の1が肥満に!?

ジャンクフード税? もう笑えない世界の肥満政策

photo:ImNotQuiteJack
肥満とは、BMI(Body Mass Index)30以上(日本では25以上)の状態。ちょっと太っていたっていいじゃないかと思うのですが、どうして肥満が社会問題化しているのでしょうか?

カンタンに言えば、低価格高カロリーなジャンクフードの世界的な普及により肥満人口が著しく増加しているのに加え、肥満に関する原因で早期死亡する人口が増えているからです。肥満は、生活習慣病をはじめとして、さまざまな疾患のリスクファクターとなるため、先進諸国では「病気の主要原因は肥満」だとさえ言われています。

WHO(世界保健機関)の調査によると、世界人口のうちBMI30以上の人口は約4分の1。肥満が増えることによって、国民の健康が危機にさらされると医療費が増大し、さらには国民人口の減少(ひいては税収が減少…)にもつながります。もはや肥満対策は、WHOが中心になり各国が真剣に取り組む重要課題ともなっています。余談ですが、先日国際赤十字社が発表した『2011年版世界災害報告』によると、「肥満人口が栄養不足人口を上まわって」おり、しかも「栄養不足による死者よりも、栄養過多による死者が多くなった」ことを明らかにしています。

大きな視野で見れば、肥満は世界の食糧問題から発生した現象のひとつとも言えるかもしれません。
 

いま世界中が“注目するジャンクフード税”

ジャンクフード税? もう笑えない世界の肥満政策

photo:deven laney
実は、“ジャンクフード税”と呼ばれる、糖分の多い飲み物やファストフードなど、肥満の原因となる食品への課税を実施したのはハンガリーが初めてではありません。2009年に台湾が世界で最初に課税方針を明らかにし、2010年にはルーマニアも課税の方向で検討中であることを明らかにしています。

アメリカでは、2010年にオバマ大統領が「肥満と炭酸飲料消費には相関関係がある」として、炭酸飲料など砂糖入り清涼飲料水に課税する“炭酸飲料税”を検討。飲料メーカーに強く反発されてしまい、いまだ成立はしていないようです。また、ニューヨーク州政府でも同様の税制導入を検討していましたが、こちらもまた実現したという話はまだ聴こえてきません。

数ある肥満対策のなかでも、ジャンクフード税が好んで検討されるのは「肥満対策」「医療費削減」「税収アップ」といういわば“一石三鳥”のメリットがあるからです。しかし、一方ではジャンクフードは収入の少ない家庭ほど多く食べられる傾向があり、生活が圧迫された彼らが安くて満足感を得られるジャンクフードをますます食べてしまう……という悪いスパイラルを招く危険性も指摘されています。

日本では、具体的にジャンクフード税にあたる税制導入はまだ話題になっていませんが、近年子どもの肥満増加が懸念されていますから、いずれ何らかの措置が講じられるかもしれません。
 

笑えない各国の肥満対策のあれこれ

ジャンクフード税? もう笑えない世界の肥満政策

photo:ken2754@Yokohama
WHOによる肥満対策としては、ジャンクフード税のように「税制を活用」するもののほか、「食品の広告制限」や「子どもへのジャンクフード販売の制限」などがあげられています。すでにブルガリアは、全国の学校食堂や売店からスナック菓子や清涼飲料水を撤去したそうです。

イギリス政府は、「対策を講じないと2050年には子どもの9割が肥満になる」という見通しを重く受け止め、人気クレイアニメ『ウォレスとグルミット』の制作チームに、子どもの肥満防止キャンペーンのためにCM制作を依頼。小さな子にもわかりやすく肥満の危険性を理解させるCMを流しています。問題認識の深刻さを思えば、CMラストのキャッチコピー「Eat well, Move more, Live together(良く食べてよく動いて一緒に生きよう)」が重たくて、すでにシャレにならない感じです。

このほか、ルーマニア『美人のための政党』が、肥満の国民に対して「標準体重を1キロ超過するごとに10ユーロ課税」という提言を行ったというジョークみたいな話もありましたが、マレーシアでは“肥満対策の一環”としてTBSのスポーツバラエティ番組『SASUKE』の制作に国費を投入したのだとか。たしかに、身体を動かすの肥満対策になりますが、『SASUKE』はちょっとハードルが高すぎですよね。

肥満への意識が高まるにつれて、太った子どもへのいじめを助長してしまう側面もあるようで、これはホントに笑えない事態です。肥満に関する政策を施行する際には、肥満対策が肥満攻撃にならないようにしてほしいものです。ちなみに、日本は先進国でも肥満人口が非常に低いとはいえ、欧米人に比べて糖尿病になりやすく肥満のリスクが高いといわれています。食欲の秋は運動の秋、食べるだけでなく身体を動かすことも忘れないようにしましょう!
 

 

Kyoko Sugimotoの記事一覧をみる ▶

記者:

京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。