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専門知をガン無視すれば、司書ほど素敵なショーバイはない?

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匪図書館員hatekupoの絶対国防圏

今回はもっクポさんのブログ『匪図書館員hatekupoの絶対国防圏』からご寄稿いただきました。

専門知をガン無視すれば、司書ほど素敵なショーバイはない?

“専門知を知る権利”を断るという“図書館の自由”

なぜ
“市民の図書館”から“貸出only”>“無料貸本屋”*1
という流れになってしまったか、という疑問を考えておりました。

*1:私自身は、今もってこのような表現には反対ですが、このような批判には耳を傾ける必要があると思う

最近、ある方からコメント欄でご教示やご助言をいただく機会がありました。

「大学生は専門書を求めて公共図書館へ来るな」というのが公共図書館の方々の意見でした。

この発言には、私も経験があります。

保育士さん関係の本で“育児”の本に購入リクエスト。実物は手にしていないが、保健同人社の本。お値段は2000円そこそこです。5年前だから、取り立てて高額な本と言うわけではないのですが……選定委員会の出した結論は、
「No」
でした。

理由は
「専門書だから」
なのだそうです。

当然ツッコミを入れました。

減少傾向にあるとはいえ7000万円の資料費予算をもち、1万円以上もする高額な館外貸出認可DVD・ビデオを買い、予約の多いベストセラーの複本を根本彰先生*2 に見せたくないほど買う図書館が、2000円ナニガシの“専門書”を“門前払い”するという現実。我が勤務館ながら
「情けない」*3
の一語。

*2:東京大学大学院 教育学研究科 教授。図書館情報学の権威。
*3:私は、“司書”に見切りをつけたのではなく、勤務館に愛想が尽きたことに、ようやく気がついた!

そりゃそうだろう。ビデオはもとより音楽CD一枚の値段の本。あの『五体不満足』複本12冊を10冊にすれば買えるのですから……。

選書の基準は“ウケ”

情けないことに、我が館の資料選定基準において
「高度な専門書、利用が望めない図書は、購入をなるべく避ける」
となっておりまして、それが“適用”された模様です。

お役所的にもっともらしく読めば、スルーしてしまうような表現ですが、逆説的にいえば、
「低レベルであっても、利用が望めるなら買う」
ということでしょうし、事実、そのような例は枚挙にいとまがないように思えました。

“資料提供”は図書館員の官能

「このままじゃ、よくないな」
そう思う司書は少数派でした。

以前、どっかのエントリで

社会教育施設に携わる職員は、住民から感謝される事業ばかり取り組んでいるので、さも自分たちが住民にとってよい事業ばかりを行っているという、自己満足、自己暗示に陥りがちである

という説が流布されていると書きました。おそらく、自分も含め“貸出数のばし”に躍起になったのは、“貸出数のばし”をゲームとして楽しんでいたこともありますが、市民・利用者に「さも良いことをしている」との思い込みもあったと思います。で、貸出が伸びればますます“自己満足”に拍車がかかるというワケで、どんどん、めくるめく、官能の世界へと進みます。

今日いう“貸出重視”スタイルは、こうした“自己満足”“官能”も大きな要素であったはずです。

“反省”を“反対”する“化石”

だいぶ、前から積み重なってきた問題が氷解していくのを感じていますが、貸出一辺倒への傾倒には、もうひとつワケがあります。

公共図書館の母体としていたのは“地方自治体”であって、働くのはトーゼン“公務員”です。
言わずもがなですが、当然“前例踏襲”“年功序列”“職務職階制度”が特徴です。

もし、かつての私のように
「(図書館は)このままでよいのだろうか?」
と、思ってもたちまち総スカンを食らうのがオチです。

これはアカデミーの世界でも同様でして、前々回紹介した、
「みんなの図書館2011年9月号が出ました」2011年08月18日『ともんけんウィークリー』
http://tomonken-weekly.seesaa.net/article/221023733.html
にある「「貸出猶予のお願い」と図書館の自己規制、および根本彰氏の主張への反論」の中で、広島女学院大学 田井郁久雄氏は、

『市民の図書館』は「公共図書館の基本的機能は。資料を求めるあらゆる人々に、資料を提供することである」という言葉で書き始められているが、いま図書館界は話題になることや目立つことばかりを追い求め、基本としての資料提供に対する図書館員の意識は希薄になるばかり……

とのお言葉。若い人の進取の精神を妨害するのは“老害”といってもいいでしょう。

執筆: この記事はもっクポさんのブログ『匪図書館員hatekupoの絶対国防圏』からご寄稿いただきました。

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