原発事故調・委員長、調査に手ごたえ「ヒアリングで初めて感じ取れる部分はたくさんある」

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原発事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長

 東京電力福島第一原子力発電所に関する政府の事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長(東大名誉教授)は2011年8月23日、記者会見を行い、「ヒアリングで初めて感じ取れる部分がたくさんある」と1ヶ月に及ぶ調査の手ごたえを語った。

 原発事故調査・検証委員会は5月24日の閣議決定で内閣官房に設置され、中立的な立場から事故の調査と検証を多角的に行い、被害の拡大防止および事故の再発防止に関する政策提言を行うことを目的としている。

 同委員会は8月23日までに、東京電力関係者や自治体関係者ら延べ126人から、概算で300時間におよぶヒアリングを実施した。いずれも非公開での実施で、調査に支障が出る可能性があるとして基本的に氏名は公表しない方針という。

 ただし、福島第一原発の吉田昌郎所長については、本人から了解を得たとして唯一氏名を公表。ヒアリングを行った畑村委員長は、吉田所長は「すべての質問に素直に答えてくれた」と評した。

 ヒアリング全体についても、手ごたえを感じているとのことで、「ヒアリングで初めて感じ取れる部分というのはたくさんある」と、これまでの調査による成果を強調した。

■畑村洋太郎委員長とニコニコ動画記者(七尾功)とのやりとり

七尾記者: 一部で報道されていた検証委員会の調査メモですが、例えば吉田所長の「全電源喪失時のマニュアルがなくて残念だった」などの発言を見ますと、ヒアリングの手法が通常の記者の取材の方法とは違っていて、だからこそ今まで分からなかったことが分かってきているという、私はそういう理解です。蒸し返すようですが、あくまでも個別で途中経過ということですが、手ごたえとして新しい事実、あるいはあの時報道では分からなかったけれども、「なるほど。こういうことだったのかもしれないな」というような、手ごたえみたいなものは印象としては感じられているでしょうか。

畑村事故調査・検証委員会委員長: そういうことは感じます。ああ、こういうことなのか、とかね。こういう視点でこういうところを見ていたのか、こういう視点だったのかとか。もうちょっと違うのは、誰でも当たり前に考えている考えというのは、僕らにはよくあまり分からないでいる部分が、こういうことをみんな当たり前だと思って判断したり、行動していたのかというようなことがヒアリングすると出てきます。これは非常に大事なことで、普通にどこかに書いてあるようなことと違うんです。それで、そういうことでは何がどうだって分かったっていうのと違って、ああそういう視点でこういうことを考えているのかというのは、ヒアリングして初めて感じ取れる部分というのはたくさんあります。

(七尾功)

・[ニコニコ生放送] 七尾記者の最初の質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv61205020?po=news&ref=news#14:27
・[ニコニコ生放送] 七尾記者の2度目の質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv61205020?po=news&ref=news#36:28

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