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“観察映画”シリーズ想田和弘監督インタビュー 映画『牡蠣工場』で我々が“発見”するものとは

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ニューヨーク在住の映画作家・想田和弘監督の最新作であり、台本やナレーションを使わないドキュメンタリーの手法“観察映画”シリーズの第6弾となる映画『牡蠣工場(かきこうば)』が、2月20日(土)よりシアター・イメージフォーラム他で順次公開となる。

これまで選挙活動、精神科クリニック、劇団など、カメラのレンズを通して様々な人間模様を見つめてきた想田監督だが、このたび撮影のテーマに選んだのは、瀬戸内海に面した岡山県牛窓(うしまど)の牡蠣工場だ。

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日本有数の牡蠣の産地である牛窓は、かつて20軒ほどあった牡蠣工場も今では6軒ほどに減り、牡蠣の殻を取り除く“むき子”の仕事も担い手が減る一方である。東北から牛窓に移住してきた漁師や、日本語が不得手な中国人労働者などを通じ、想田監督は今作で何を映し出そうとしたのか。来日していた想田監督にインタビューを行った。

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―― “観察映画”の定義について、改めて監督の言葉で教えていただけるでしょうか。

想田監督:“観察”という言葉には二つの意味を込めていて、ひとつは観察者である僕自身が目の前の現実をよく見て、よく聞いて、そこで得られた発見をもとに映画を作るということ。その時に先入観や予定調和的な要素をなるべく排除することを大切にしています。もうひとつは、観客にもよく見て、よく聞いてもらって、自分なりの解釈をしてもらうということです。そのために、リサーチを行わない、打ち合わせを行わない、台本は書かない、カメラは原則として僕ひとりで回す、ナレーション・説明テロップ・音楽を原則として使わない、などの自分で決めた十戒を守っています。

――裏を返すと、世の中にあるドキュメンタリー作品の多くは、台本に則ったゴールを見据えてカメラを構えているということですよね。

想田監督:僕自身も以前はテレビのドキュメンタリー番組を製作していて、その頃は必ず事前のリサーチを行い、台本を書いて、その通りに撮影していくというのが当たり前でした。効率よく仕事をこなす人間こそが優れたディレクターとされていたんです。

――企画を通さないと撮影がスタートできないですからね。

想田監督:でもその方法だと台本にエンディングまで書かれていて、それと違う内容を撮影して帰るとプロデューサーから怒られることもある。ドキュメンタリーとして変ですよね。組織で仕事をする上では仕方がないことですが、飼いならすことができないのがドキュメンタリーだと思います。ドキュメンタリーは先の見えない冒険だから。それに、ナレーションですべてを説明し、悲しい場面では悲しげな音楽を流して、離乳食のようにすべてをかみ砕いて消化しやすい映像なんて、歯ごたえがあるわけないじゃないですか。観察映画はそういったものに対する反発心から生まれているんです。

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――そんな観察映画の第6弾として、今回はなぜ牡蠣工場を題材に決めたのでしょうか。

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よしだたつき

記者:

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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