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官僚は震災復興の現状をどう見ているか?「IT復興円卓会議」分科会がスタート

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佐々木俊尚氏

 IT分野を中心に、東日本大震災からの復興策を議論する「IT復興円卓会議」(主催:慶應義塾大学メディアデザイン研究科)が2011年7月29日夜、東京都内で開かれ、ニコニコ生放送で中継された。6回シリーズの1回目となる今回のテーマは「行政」。混迷を極める政治状況を踏まえ、霞ケ関から見た問題点や、基盤整備や情報発信、利用促進などの復興策について、現役官僚や有識者が議論した。

 この会議は4月13日、企業、政府関係者や有識者ら50人を集めて東京・三田の慶應義塾大学で開催された「IT復興円卓会議」の月次分科会の位置付けで、同大の中村伊知哉教授がモデレーターを務める。レギュラーコメンテーターに佐々木俊尚氏(ITジャーナリスト)を迎え、「行政」、「メディア」、「通信・インフラ」、「ソーシャル」、「NPO・社会貢献」の5つのテーマについて、月に1回議論する予定。

 初回のテーマである「行政」のパネリストは、情報通信政策に詳しい池田信夫氏(上武大学教授)、現役官僚の境真良氏(経済産業省 国際戦略情報分析官)、瀬戸隆一氏(前 内閣府 被災者生活支援特別対策本部事務局)、谷脇康彦(総務省 大臣官房企画課長)。

・[ニコニコ生放送]IT復興円卓会議 ~第一回 ​行政~ – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv55466995?po=news&ref=news

■被災地の今後の課題は「雇用と高齢者の孤独死」

 前半は民主党政権の政治状況を踏まえ、霞ケ関から見た問題点について議論。佐々木氏が「行政は被災者支援など目の前の課題に取り組んでいるが、政治が先を見据えたビジョンを提示しきれていないことが一番の問題」と指摘。池田氏も「政治主導を理由に、政府が役所を邪魔している」と応じた。現在の政治状況については、現役官僚らは言葉をつまらせる場面もあった。

 被災者支援の現状については、瀬戸氏が「被災地に仕事を確保することと、高齢者の孤独死が今後の課題。仮設住宅で地域コミュニティが失われているので、コミュニケーションがとりづらい環境になっている」と指摘。境氏も「現地で職を確保することが重要。産業も行政も傷つき、混乱しているが、公と民がうまく連携しながら復興を目指すべき」と述べた。一方、谷脇氏は地震への備えについて「今回の震災は被害が広域にわたっている。地震の準備はしていたが、津波も想定の範囲を超えるものだった」と振り返った。

■「情報公開」が有用アプリ開発に繋がる

 情報公開については、谷脇氏が「情報の共有から活用という視点まで持ち、リアルタイムの情報を霞ヶ関も発信していくべきだ」と強調。境氏も「情報を持っている人がオープンにし、アプリ開発やまとめサイトなど、その間を埋める作業する人がいる状態が好ましい」と述べた。

 原発問題の情報公開について佐々木氏は「東電にどこまで行政が介入できるのかを明確にしておかなければならなかった。インフラを担う企業に対する情報公開の基盤のようなものを行政が作る必要がある」と述べ、また「平時からデータベースを公開することで、有用なアプリ開発等に繋がる可能性もある」と境氏の意見に同調した。池田氏も東電の情報公開について「あれだけ混乱した中ではきちんと情報が出なくて当たり前。今回、マスメディアは意外と冷静だったが、自称ジャーナリストの様な人が騒ぎ立てて混乱を招く情報を発信したのではないか。その部分でソーシャルメディアの悪い部分が出た」とメディアの特性と利用者のリテラシーの問題に触れた。

■「戸籍やカルテ、おくすり手帳も『クラウド化』すべき」

 後半は復興策に焦点を当て、インターネットからスマートグリット(次世代送電網)まで議論が及んだ。佐々木氏が、情報伝達において1つのメディアに依存するのではなく、複数のメディアで情報を伝える方法を確保する「伝送路の多重化」の重要性を主張。池田氏も「現在、緊急警報放送はテレビだけで行われているが、ツイッターを含めてメディアを横断して警報を出してみてはどうか」と提案した。瀬戸氏は遠隔医療の観点や、子どもたちの教科書が津波で流された事例などから、情報のクラウド化の必要性を指摘。谷脇氏も「戸籍やカルテ、おくすり手帳のクラウド化していれば、被災地でもっと早く対応が可能だった」と述べた。

 節電対策で話題になっているスマートグリットについては、谷脇氏が、今回の電力不足で、「電力消費の見える化」の有効性が判明したことを指摘。各家庭へのスマートメーター設置が進む可能性を示唆した。境氏も「今までのように、電力をあげる人、もらう人がぴたっと決まっているのではなく、各地域単位での地域発電会社のようなものに変化するのではないか」と述べた。

 復興に向けた資金ついては、池田氏が「特区を設けることには金はかからない。電波特区や著作権特区などの規制緩和を行い、産業を活性化させてはどうか」と提案した。中村氏はまとめとして、以前から滞っていた政策が、震災を機に有効性や重要性が証明され、前進する可能性があることを強調した。

 次回は「メディア」をテーマに8月18日に開催され、ニコニコ生放送でも中継される予定だ。

IT復興円卓会議 ~第ニ回 メディア~

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科・竹内愛)

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http://live.nicovideo.jp/watch/lv55466995?po=news&ref=news
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カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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