【スウェーデンの名機】ガソリンストーブの定番OPTIMUS 123R SVEA(スベア)を使いまくる!
近年のアウトドアブームもちょっと落ち着いた感はありますが、逆に言えばすでに趣味として定着したと言っても過言ではないでしょう。一口にアウトドアと言ってもキャンプなどのレジャーから登山、ハイキング、釣りなども含まれます。
それらに「どんな価値を見出せるのか?」と言うのは実際に体験しないと理解出来ないと思いますが、そんなに深く考えないでも外(野外)に出て何かをすれば良いのです。そして人それぞれにアウトドアの目的は違うでしょうが「非日常を楽しむ」と言うのは多かれ少なかれ、皆がアウトドアを楽しむ理由のひとつでしょう。
そこで、今回はその「非日常」と言うか「特別な時間」を演出するアイテムを紹介します。それが通称「123R」や「スベア」と呼ばれるストーブです。ストーブと言うと「暖房」をイメージされるでしょうが、アウトドアで言うストーブは調理器具。いわゆる「コンロ」と理解して頂ければ間違いないです。
目的やスタイルによって「アルコール、灯油、ガソリン、ホワイトガソリン、ガス(OD缶)、ガス(CD缶)、炭等」の燃料を使うストーブが有ります。
大きく分けると液体燃料を使う「液燃」とガス系、炭や固形燃料で分かれますが、今回オススメする「123R」はホワイトガソリンを使うタイプです。
ちなみにガソリンと言ってもガソリンスタンドでは取り扱っている店舗が少ないので、入手しようと思った場合はアウトドア用品の店か工具などを売っているホームセンターなどで買う必要があります。
ここで「CD缶(カセットガスコンロ用)ならどこでも売ってるじゃん?」と思われる方もいるでしょう。確かにアウトドアでカセットコンロを使っても「調理」と言う目的は達成出来ますが、カセットコンロも持ち出して調理しても「普段の生活感」から抜ける事が出来ず「実用性」はあるけどロマンはないので却下します。
例えば、コーヒーを飲んだりカップラーメンの湯を沸かす……ただそれだけでも「場所と道具」が変われば「特別な時間」に成り得る。そこがアウトドアの醍醐味なのです。
なので、今回はあえて「ちょっと面倒くさい」と言える不便?なアイテムをイチオシするのです。
まず「スベア123R」の何が面倒かを説明すると「プレヒート」と呼ばれる予熱と言うか暖機運転のような作業が必要だからに尽きるでしょう。(写真は固形燃料でプレヒート中のスベアさん)
これはスベアの密閉された燃料タンク内のガソリンを「気化させる」為に行います。
ガソリンを燃やすと言っても液体のまま燃焼させる訳ではなく、圧力を高めて気化したガソリンを空気と混合して燃焼させるのです。文章で書くとちょっと難しいのですが……気化させたガソリンを空気と混合して燃焼させる事で火力を大きくする事が出来るって感じですかね?
こう書くと車のキャブレター並に面倒な機械を想像しますが、スベアは実にシンプルな作りで、特に面倒なメンテナンスはさほど必要ではありません。密閉された燃料タンクが加熱されて暖まり、気化したガソリンが細いノズル(バルブ)を通って火口から出る。それだけの構造なのです。
ちなみにスベアは最初に作られてから改良を加えられ「100年以上」も世界中で使われています。シンプルで故障しにくく小さいのに高火力で耐久性もあり長く使える。実用性と「ちょっとオシャレな外観」を兼ね備えているので、今でも世界中のアウトドアマンに人気があるストーブです。
そしてプレヒート作業に話を戻しますと。
燃料タンクの窪んだ箇所にガソリンを垂らして点火し「直火で温める」と言う方法が一般的です。「ガソリンの詰まったタンクを燃やす」となると危険な気がしますが、かなり無茶して長時間燃やさなければタンクは爆発しません。それにタンクにも安全弁が付いているので高圧になり過ぎると自動的に圧力が解放されるので爆発には至らないのです。もっとも解放された気体は「ホワイトガソリン」なので要注意ですけどね(火災の危険のない屋外でスベアを使いましょう)
そして十分にタンクを温めたスベアの火力調整バルブを少し開けてやります。すると「シュー」と言う気体が出る音がするので、そこへ「着火マン」などのライターで火を着けます。ガスコンロならバルブをひねればガスも出るし電子着火で一発なんですが。あえて「プレヒート」と言う手間をかける事で「道具を使ってる感」と言うかマニュアルな感じに浸れます。この面倒なマニュアル感こそが非日常への演出なのです。
プレヒートに慣れないうちは予熱が不十分でガソリンが気化せず「液体のガソリンが出てスベアが火だるま」なども笑い話のひとつとなるでしょう。慣れてきて手際良く着火出来る様になると、ちょっとレベルアップしたと言う自己満に浸れるのでちょっとだけ幸せになります。
ただし「ガソリンと火」を使うので、絶対に子供に使わせたり火事の危険がある場所では使わないで下さいね。「責任と危険を背負える大人だけに許された禁断のアイテム」なので、カセットコンロと同じつもりで適当に扱うと事故に繋がります。
と、ちょっとした手間と危険を乗り越えて着火されたスベアですが。
この時点では、まだまだタンク内の圧力が低いので炎と言うか燃焼も安定しません。
「ボッボッボッ」と今にも消えそうな感じで頼りないので「ちょっと燃料バルブを開けちゃおうかな?」みたいな錯覚に陥ります。しかし・・・ここは我慢してスベアを見守り続けましょう。
真鍮製の火口からタンクへと次第に熱が伝わるので、火口が真っ赤になる頃には自然とタンクの圧力も上がり「ゴォォォォォ(爆音)」くらいの勢いで燃焼します。ちなみに「ボッボッボッ」の状態で急激にバルブを全開にするとタンクの圧力が下がり「液体のガソリンが出てスベアが火だるま」ってのもチョイチョイ有り得るので注意して下さい。
そして青い炎が轟音(燃焼音)と共に夕闇を照らし、真っ赤に焼けた火口を眺めながら湯を沸かす……。
コレ。
これがアウトドアなのです。
この瞬間を求めて「スベアが火だるま」の危険を冒しつつ、幾多の手間を人は乗り越えるのです。手間を「無駄」と言うならば「アウトドアで湯を沸かす」と言う行為自体が無駄と言えるでしょう。そして手間を楽しむには、ちょっと「慣れ」が必要な道具が最良です。湯を沸かしたり調理をする事で「やっぱ火を使ってこそ人間だよね~」みたいな原点を実感出来る。
と、言う訳で今までポットに湯を入れてコーヒーやカップラーメンを食べていた人達に強く言いたい。
「スベアで湯を沸かして喰うカップラーメンは3割マシで旨い」
やはり湯としての熱々感も段違いだしね。筆者はバイクでチョイチョイ出掛けますが、今では外で飯を作ると言うよりも「外でスベアを使って調理する」って方のウェイトが高くなってきた気がします。調理よりもスベアを使う所に意義があるってかウットリ出来ちゃう感じ。
ちなみにスベアは燃料タンクを満タンにしとけば50分~60分は調理出来るので、手早くやれば2食分は作れるかな? 火力もそこそこあるので飯盒炊爨(はんごうすいさん)も含めて一通りの調理が可能です。
そして「スノーピーク トレック900(アルミ製)」&「綿100%軍手」の組み合わせは定番中の定番。トレック900の中にスベアをビニール袋に入れてスタッキング(収納)させるのです。軍手の方は熱々になったスベアを触る時に必要。
あとはカップラーメンとミネラルウォーターをコンビニで買えば、いつでもどこでもラーメンが食べれるのです。
そんなこんなでスベア123Rですが。
ちょっと使って気に入らなかったらインテリアとして飾るもヨシ!ボロボロになるまで使い倒して実用品として寿命を全うさせるもヨシ! 真鍮を磨くのが趣味な人にも激しくオススメの一品ですので、少しでもスベアが気になった人は使ってみて下さい。プレヒートを手間と感じなくなる頃には「100年も使われ続けている道具」の魅力を感じる事になるでしょう。
(注)文中に「火だるま」と言う表現が多用されていますが筆者は炎上させた経験は有りませんので安心してお使い下さい
※この記事はガジェ通ウェブライターの「YELLOW」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
酒と料理に無駄な情熱を燃やす「駄文系」ライター。最近は「究極の肉」を手に入れる為に狩猟免許の取得を始める。業界としてはニッチな「マタギ系ライター」を目指すが、あまりにマニアック過ぎる為に需要があるかは疑問である。特技は料理とカクテルとバイク事故で骨折する事
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