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下がり続ける教員採用試験の競争率!教師の質は担保されるか?

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教員採用試験の競争率が下がり続ける

教員採用試験の競争率が、平成12年度をピークに15年間下がり続けています。中でも小学校教員試験は、来年度採用分の平均倍率が3.4倍という低水準にとどまったと読売新聞が報じています。1970年代前半の第2次ベビーブームに対応して大量採用された教員が60歳定年を迎えるため新規採用を増やしている一方で、景気上向きによる民間企業の積極採用の影響などで受験者数はほとんど増えていません。

そこで懸念されるのが、競争率低下による教員の質の低下です。教師という職業の魅力を高めて教員人気を回復させるには、教職の高度専門化と非教員人材・資源の積極的な活用が不可欠です。従来のように教科書の内容を口頭でわかりやすく説明して板書するだけの授業は、人工知能でもベテラン教員と同等かそれ以上の力を発揮するようになるでしょう。また、保護者対応は校長や教頭などの管理職に、いじめや校内暴力などの生活指導はカウンセラーなど専門家に任せ、報告書の作成や行事の準備などはアシスタントを雇って対処すべきです。クラブ活動の顧問も地域のボランティアや保護者など、非教員人材の応援を頼めるはずです。

教員の質を向上する策が必要

こうした民間企業では当たり前の発想である業務分担を進め、小学校も含めて教員が専門科目の指導に専念できる体制を整えれば、生徒一人ひとりの学力や性格、興味関心を理解することにより多くの時間を割くことができるようになり、教育の質も自ずと向上するはずです。教員にとっても、本来業務である学習指導に十分な時間が取れれば、元々教えることを望んで教職を選ぶ先生が多いはずですから、教員人気も回復していくでしょう。

それと同時に、教員の質を向上する策も講じていく必要があるでしょう。現在、教育界ではアクティブラーニングの導入や小学校での英語・道徳の正式教科化、ICTの活用など新たな課題が山積し、教師の役割は講義をするスピーカーから生徒の主体的な学習を促すサポーターへと変化すると言われています。こうした状況に対応して、文部科学省でも中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会が「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」と題する答申案をまとめ、教員の養成から採用、研修の各段階における改革を提言しています。

教師の学校外での経験が乏しいという矛盾

答申では「教員は学校で育つ」との考えのもと、具体的方策として大学での教員養成段階では学校インターンシップの導入や授業科目の再編、採用段階では教師塾の普及や多様な人材の確保、現職の研修段階では「チーム学校」の推進や教員研修センターの強化などが挙げられています。しかし、多くの人が指摘しているように、養成から採用、研修まで一貫して教育界内部で完結させる純血主義では、社会に出て必要な知識や智恵を子どもたちに教える立場の先生たち自身が学校外での経験が乏しいという制度矛盾を解消することはできません。

公立学校教員採用者のうち民間企業など社会人経験者の割合がわずか5%強である一方、教職経験者が過半数を占めるという偏った現状を根本的に変える必要があります。多くの教育委員会で設定している民間企業経験者など社会人の特別選考枠や教員免許を持っていない者を対象にした特別免許活用選考枠を大幅に拡充すると同時に、現職教員も民間企業への出向など教育現場外で実務経験を積めるような制度を導入して、学校外との人材交流をより積極的に進めてほしいものです。

(小松 健司/21世紀教育応援団)

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