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燃料電池車+LPガス+発電機で、災害に強いゼロエネルギー住宅とは

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「50年に一度」というレベルの災害がここ最近は毎年起こっているし、電力が自由化になるといってもそれで家計が助かるのかは不透明、そんななかガソリンに変わって水素で動くクルマが注目を集めている……。そんな、これからの日本に対応するというコンセプトホームが東京都葛飾区に建てられて、先日報道陣に公開された。コンセプトホームといっても、ただ未来の暮らしを見せるだけでなく、実際に販売に向けて動き出しているという。果たして近未来の暮らしに対応した家とは?
次世代の家のキーワードは“強靱”

「強靱」という言葉は、強さだけでなく、しなやかさという意味も併せもつ。強固でも頑丈でもなく、この「強靱」が使われた「国土強靱化基本法」が2013年12月に国会で成立したことを、ご存じない方も多いだろう。この法律は災害や社会的課題に対して強く、そしてしなやかに対応する国をつくることを目的に定められた。

その中では「強靱化」に「レジリエンス」という英語が当てられている。先日LIXIL住宅研究所とHondaが共同で発表した「次世代レジリエンスホーム『家+X』Powered by Honda」は、つまり“次世代の強くてしなやかな家”ということになる。

何に対して強くしなやかな家なのかと言えば、実は国土強靱化基本法と重なる部分が多い。例えば東日本大震災のような地震や昨今頻繁に起こるゲリラ豪雨などの災害、高齢化社会、空き家問題、エネルギーの自由化社会など住まいに関する災害や社会的課題に対して、強くしなやかに対応する家だとしている。

【画像1】東京都葛飾区に建てられたコンセプトホームには、開発中の7つの「X」が盛り込まれていた(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

災害や社会的課題に“レジリエンス”する力は『家+X』の「X」に隠されている。Xには「+エネルギー」「+自動車」「+テレビ」「+絆 BOCCO(ボッコ)」「+美容・健康」「+キッズデザイン」「+Dream」という具合に7項目が入ることが計画されている。

2020年の暮らしを考えたコンセプトホームゆえ、「+X」のほとんどがまだ開発中だが、今後は一度に7項目を備えた家が登場するのではなく、この中で開発過程を終えたものから順次市場に投入される計画だ。その中で先陣を切るのが「+エネルギー」の家で、2016年春以降の商品化が目指されている。災害からの復旧も早い「+エネルギー」の家

「+エネルギー」の家は、平常時には各エネルギーをそれぞれ効率よく使うことで他のゼロエネルギーハウス同様の生活が送れることはもちろんだが、災害時にはいち早く電気もガスも使えるのが大きな特徴だ。

具体的には、「ゼロエネルギー住宅+ガスエンジンコージェネレーション+LPガス」という構成になる。太陽光発電システムを備えた省エネルギー住宅に、停電時にも自立運転が可能なガスエンジンコージェネレーションシステムのエコウィルプラス(Honda製)、レモンガスが提供するLPガスという組み合わせは「HL2スーパーレジリエンスシステム」と呼ばれ、このシステムを導入した家が来春の発売を予定されている。

【画像2】平常時のエネルギーシステム。電力会社から買うエネルギーと、太陽光発電システム・ガスエンジンコージェネレーションシステムでつくる電気を、効率的に使い分ける(画像提供:LIXIL住宅研究所)

【画像3】停電や災害などで電力供給がストップしても、太陽光発電システム・ガスエンジンコージェネレーションシステムに切り替えて家庭に電力が供給される(画像提供:LIXIL住宅研究所)

なぜ災害からの復旧が早いかといえば、まず一般的にLPガスは都市ガスと比べて災害時の復旧が早いことにある。その理由は、配管網を巡らして各家庭に届けている都市ガスが同一配管網のすべての安全を確認しないと復旧できないのに対し、LPガスは家単位で安全確認をし、確認できたところから復旧できるからだ。実際、東日本大震災でLPガスの復旧の早さは注目を集めた。

加えてガスを使って電気を起こすエコウィルプラスも復旧には電気を使わず、手動で行えるため、停電になっても使える。つまり、地震で停電になってもLPガスの安全さえ確認できれば、電気もガスもすぐに使えるようになる。LPガス100kgとガスエンジンコージェネレーションシステムで、ガスと電気の供給が約1カ月可能ということだ。

また都市ガスが公共料金なのに対して、LPガスは自由料金で、販売店が価格を自由に決められる。「+エネルギー」の家に導入される「HL2スーパーレジリエンスシステム」のLPガスは地域価格連動型で、地域最安の光熱費を目指すとしている。災害だけでなく、エネルギーの自由化社会という課題に対しても取り組んだ家と言えるだろう。

【画像4】ガスエンジンコージェネレーションユニットの「エコウィルプラス」。ガスエンジンで発電機を回して電気を家庭に供給できる。発電時の熱を利用してお湯を沸かし、給湯や床暖房にも利用することでエネルギーの92%を利用できるという(画像提供:HONDA)クルマを“蓄電池”や“発電機”としても利用する

先述の通り、葛飾区にあるコンセプトホームでは他の「+X」も体感できた。例えば「+自動車」では、電気自動車を蓄電池として、また燃料電池車を発電機として利用することを想定。例えばHondaが2016年3月に自治体や企業向けにリース販売を予定している燃料電池車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」の場合、平均的な一般家庭の約7日分の電力を供給できるという。

災害時の安心感があるのはもちろんだが、“蓄電池”や“発電機”があれば平時でも効率的なエネルギーの使い方ができ、「+エネルギー」の家と組み合わせれば、さらに安心感が高まりそうだ。

【画像5】停電時に電力を供給できる燃料電池車と家を繋ぐという提案。ガスエンジンコージェネレーションシステムが復旧し、電力を供給できるようになると、どちらが効率よくエネルギーを使えるか自動で判断する(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像6】階段の踊り場下を活かした緊急時の避難場所。揺れだけでなく飛来物にも強い特殊繊維を天井と壁に織り込むことで、竜巻からの身の安全も守るとしている(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

そのほか「+テレビ」では住んでいるエリアのゲリラ豪雨の情報等をテレビに映し出して早めの非難などを支援し、「+絆 BOCCO(ボッコ)」は働いている親と帰宅した子どもが専用のロボットやスマホを通じて会話できるなど、家族の絆を深めてくれる。「+美容・健康」では照明の調度制御を活用して、美容や健康的な生活を支援し、「+キッズデザイン」は階段からの転落など子どもの家庭内事故を防ぎ、「+Dream」は家族と壁面に映し出された映像を楽しむ等々。

【画像7】居住地近くにゲリラ豪雨が近づいてくると、視聴中のテレビ画像にこのように文字情報等が割って入るという研究も進んでいる(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像8】両親が共に外出中の家に子どもが帰ってきた際に、子どもがロボットに「ただいま」と話しかけると、親のスマホに連絡が行く仕組み。声の調子で子どもの様子も分析してくれる(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像9】雨の日にも乗り降りしやすいよう屋根があって家と繋がるガレージの提案。車いすの人の乗降を考え、デッキが車いす仕様車のスロープと同じ高さになっている

くどいようだが、いずれもまだ開発中で実際にカタチとなって現れるかどうかは定かではない。しかし単なる省エネ住宅や、災害に強い家というのではなく、1つの家でさまざまな課題に“強く、しなやかに”対応する家が販売に向けて動き出しているのは確かだ。●参考
次世代レジリエンスホーム「家+X」( LIXIL住宅研究所 × HONDA)
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/11/25/101233/

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