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「ガンバ」キャラクターの名付けに「反省です」――『冒険者たち』作者・斎藤惇夫さんに聞く“子どもと読書”(2)

「ガンバ」キャラクターの名付けに「反省です」――『冒険者たち』作者・斎藤惇夫さんに聞く“子どもと読書”(2)

 現在公開中の映画『GAMBA ガンバと仲間たち』は、1972年にアリス館牧新社から出版され、現在は岩波書店から刊行されている日本の児童文学の金字塔『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』が原作だ。そして、10月21日には、オーディオブック版『冒険者たち』がオーディオブック配信サービス「FeBe」で配信開始した。ガンバたちの冒険を「音」で楽しむことができる。子どもの頃に慣れ親しんでいる「読み聞かせ」を通して、ガンバの世界を体験できる。

 当時福音館書店で児童文学の編集に携わっていた斎藤惇夫さんは“二足のわらじ”を履いて、『グリックの冒険』『冒険者たち』『ガンバとカワウソの冒険』の3作を執筆。アニメ化もされ、子どもたちから熱烈な支持を受けた。
 今回、新刊JP編集部は斎藤惇夫さんにインタビューを行い、「子どもと読書」をテーマにお話をうかがった。この中編では「ガンバ」シリーズの裏話や執筆時のエピソードを聞いている。
(金井元貴/新刊JP編集部、取材場所=コミュニケーションプラザ ドットDNP)

■「ガンバ」原作者が明かす“キャラクターの名付け”秘話

――斎藤さんにとって「ガンバ」というキャラクターはどのような存在なのでしょうか。

斎藤:ガンバはそもそも夢見るだけのような存在です。「どこか広いところ…」と偉そうに言っていますけど、本当は何にも考えていない。実は彼は、思春期から青春期の私の自画像なんです。私は新潟県長岡市の育ちですが、関東との間には三国山脈があります。当時の私は、あの山脈の向こうには一体何があるのだろうとずっと思っていました。そして、山脈の向こうはギリシャ神話の世界であり、南の国の物語であり、オリーブや柑橘類が実っていて、空は晴れていて、花々は咲いていて…と想像するわけですよね。
ガンバはそんな存在です。でも、マンプクをはじめとして、いろいろなキャラクターたちがあらわれて、自分が経験したこともない世界に進んでいく。そして大人の入り口まで辿りつく。それは思春期から青春期にかけての私自身なんですよね。
またノロイのイメージは、60年安保闘争の際に対峙したものも投影していますが、やはり思春期から青春期にかけての、魅力的な年上の女性のイメージが多分にあります。(ノロイのモチーフとなった)八丈島で出会った、木漏れ日を浴びて白く輝いたイタチは本当にきれいでした。

――15匹の仲間たちの中で、最もご自身に近いキャラクターは誰だと思いますか?

斎藤:全員ですね。それぞれが自分の心の分身です。実は最初、まともな名前をつけていたのですが、物語が進むにつれてどれがどれだか分からなくなってしまって(笑)適当な名前をつけたのですね。それで最後に書き直そうと思っていたのですが、書き直す力もなかったのでそのままで出したところ、子どもたちが好きになってくれたんです。

――特徴をつかんでいて覚えやすいです。イカサマとかヨイショとか、ガクシャとか。

斎藤:そうですね。ただ、後から振り返ったときに、ああいった名前にしたことによって、そのキャラクターが成長する物語性が薄くなってしまった。名前が特徴を表してしまっているので。キャラクターによって物語を深くできなかったことは反省です。

――『ガンバ』シリーズは編集者の仕事と両立して執筆をされたそうですが、かなり大変な作業だったのではないでしょうか。

斎藤:だいたい書く時間は決めていて、毎日夜の23時から1時までの2時間、枚数は6枚。それ以上は書きません。多少遅く帰っても、この時間ならば書けますからね。1時過ぎて執筆を続けると、翌日編集の仕事に差し支えるというところもあって、時間は堅く守りました。特に長編は調子に乗るとダメなんですよ。抑えて書く。「ああ書きたくないな」と思っているときの方が冷静なので良かったりするんですよね。

――戦いのシーンなんかは熱くなってしまいそうですが…。

斎藤:時間がきたら、いくら熱くても冷静に切っちゃう。でも、その熱はまだ残っていて、福音館書店で編集者の仕事をしていると、校正ミスをおかしてしまうわけですね(笑)

――『わたしはなぜファンタジーに向かうのか』で『エルマーのぼうけん』からの影響を告白されていますが、『ガンバ』シリーズが3部作なのも『エルマーのぼうけん』の影響なのでしょうか。

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