金融庁職員「義援金配布の電話、信じてくれない」

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松井正人・金融庁監督局金融会社室課長補佐

 東日本大震災で被災した自治体を支援する一環として、霞が関の中央官庁から職員が派遣されている。その霞が関から志願して現地に赴いた職員、松井正人・金融庁監督局金融会社室課長補佐が2011年5月26日、ニコニコ生放送の「ニコ生政策リポート」に出演。義援金配布の確認をする際に、情報が人々に伝わっていなかったり、携帯からの電話が怪しまれて信じてもらえなかったことなど、現地での対応の難しさや苦労を語った。

 福島第1原発から20キロ圏内にある福島県双葉郡富岡町。現在は避難勧告が出され、住民の多数は全国各地に散り散りとなって避難所生活をしている。町役場の機能も、郡山市にある「ビッグパレットふくしま」に仮役場として移っている。松井氏は4月16日から1週間、この仮役場で活動し、主に義援金配布のために富岡町の住民の連絡先を確認するという業務を行った。

 「寝食を忘れるほど忙しかった」という松井氏。多い日で一日250件ほど連絡先確認の電話したそうだ。ニコニコ動画の七尾功記者から「義援金の配布をもっと効率よくする方法はないのか」という質問を受けると、松井氏は「難しいと思う」「実際に(義援金配布のための連絡先確認を)自分でやってみて大変だった」と返答。その上で、

「とにかく連絡がつかない。どこに行ったか分からない人がたくさんいる。(被災者の方から)インターネットやFAXでも義援金の申請はできるが、できない人がたくさんいる。機械がない。申請書もダウンロードできない」

と義援金配布の効率化が難しい理由について語った。

 また松井氏によると、被災地に義援金を配るという情報を知らない人がたくさんいて、この状況で電話をしても、「誰も信じてくれない」という。さらに役場の固定電話が限られていて、携帯から電話せざるを得ないため、

「義援金をお配りしたいので、というと(電話を受けた人は)余計に怪しむ。お金のことで(しかも)携帯からの電話で・・・」

と苦労話を明かした。

(※編集部注)2011年5月27日現在、電話で確認しているのは、郵便物を送付できる住所や名前などで、まれに本人確認のために生年月日を聞くことはあるが、「銀行口座やクレジットカード番号を聞くことは絶対にありません」(松井氏)とのこと。もし不審な電話と判断したら、現在は役場などで「担当者名」「発信している携帯電話番号」を必ず把握しているので、お問い合わせください。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]七尾記者質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv50999287?ref=news#33:48

(山下真史)

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