誰がウソをつかせたのか
※本稿は衆議院議員河野太郎さんのブログよりご寄稿いただいたものです
東京にある外資系企業の経営者の集まる会で、講演した。その後の質疑応答で、現在、新聞、テレビが報道しているような荒唐無稽な東電救済案を政府が間違って提出するようなことは起きないだろうね、と質問が飛んだ。
いや、政府はまじめにそうした案を考えているようだ、と答えると、日本は資本主義なのか、いやその前に法治国家なのかと反発された。
東電株を持っている高齢者がかわいそうではないのかなどという質問が大手メディアから来るぐらいだから、我が国の資本主義のルールはどこへ行ってしまったのか。
年金で東電株を買った高齢者は、東電は安全だ、東電株は国債みたいなものだと思って買っていたんだ、株式のリスクのことなんか知るはずがないではないか、知っていたらこんな株買っていなかったんだから、減資しろというのは乱暴ではないか、という質問すらするメディアがある。
高利回りのジャンクボンドを国債みたいなものだと思って買ってみたらどうなんだろう。
政府は、国民負担を小さくする等という文言を東電救済プランに入れてお茶を濁すみたいだが、国民負担を小さくするためには、
一、賠償金をせっせと値切る
二、株主の責任を追及する
三、金融機関の責任を追及する
四、広告宣伝費等不要なコストを削減し利益を出して賠償に回す
五、東電の資産を丸ごと売却する
しかないではないか。依然として東電はテレビでお詫びCMを流している。二、三、四、五をやらないなら、賠償金を値切るのだろうか。
いやいや、他の電力会社にも負担させるのですというかもしれないが、それは東電以外の値上げにつながり、やっぱり国民負担になる。
この事態になって、まだ役員の責任すら追及しないのだろうか。
東電が原子力損害賠償紛争審査会に賠償限度への配慮や算定基準の明確化などを求める要望書を提出した件で、記者から要望書の公開を求められた東電は、紛争審査会事務局との合意で、要望書は公開しないことになっていると答えた。しかし、そのような合意は存在しなかったと文科省は明確に否定している。
東電はウソをついたのだ。東電の誰がそうしたウソをつかせたのか、メディアは追及していない。震災直後のCNNのインタビューで、東電は官僚的な体質で情報公開が遅いが、彼らはウソはついていないと思うと、僕は答えた。今や、それは間違いだったことがはっきりした。東電は、ウソをつく体質なのだ。そして、日本の大手メディアはそれを知っている。
日本の大手メディアは、東電の誰が指揮をして、ウソをつかせたのかをきちんと追及する責任がある。
いや、中央のキー局はいいんですけどね、地方のネット局にとっては電力会社はまだ大手のスポンサーなんですよ。だから、ネット局のことを考えると、つい、二の足を踏んじゃうんですよね、などと言っている場合ではない!!
※本稿は衆議院議員河野太郎さんのブログよりご寄稿いただいたものです
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