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「京都」のイメージを利用したCMと、出演老舗への違和感の声(堀 孝弘のごみにまつわるエコ話)

「京都」のイメージを利用したCMと、出演老舗への違和感の声(堀 孝弘のごみにまつわるエコ話)

今回は堀 孝弘さんのブログ『堀 孝弘のごみにまつわるエコ話』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/1058289をごらんください。

「京都」のイメージを利用したCMと、出演老舗への違和感の声(堀 孝弘のごみにまつわるエコ話)

国際的な観光都市ランキングで、京都が2年連続世界1位に選出された。国内や海外からの観光客も過去最高を記録し、京都はまさに上り調子だ。そんな京都の老舗が登場するCMに違和感を抱く人たちが多くいる。

《急須で淹れたお茶と変わらぬペットボトル茶?》

大手飲料メーカーのペットボトル緑茶(A)のCMで、以下のものがあるのをご存知だろうか。「私たち日本人の味覚は世界一繊細だと思う。(中略)Aがめざした急須で淹れたような緑茶本来の“にごりのある色味”と“舌に旨みが残るふくよかな味わい”を実現した、ワンランク上の本格的な旨味を京都の料理人にたしかめてもらいました」、およそこのようなナレーションに続き、京都の老舗料理人が湯のみの茶を口にふくみ、「なるほど」とうなずく。

他にも幾つかのヴァージョンがあり、京都の料亭や老舗食品に関わる人たちが登場し、宣伝のペットボトル緑茶が、急須で淹れた茶と変わらぬ旨味を提供していることを印象づけている。

《老舗にはメリットがあったのか》

このCMによって、宣伝のペットボトル緑茶は上質なイメージを得ただろう。「そんなにおいしいのか」と思って買った人も多くいただろう。その一方、CMに登場した京都の老舗は、何かメリットを得ただろうか。CMへの露出による知名度アップ? いや、それよりマイナスの方が大きいのではないか。

6月18日、このCMへの疑問を、私のブログ「ごみにまつわるエコ話」で投稿した。題して「こういうCMに老舗が協力すると、いずれ京都は衰退する」。

「こういうCMに「老舗」が協力すると、いずれ京都は衰退する。」 2015年06月18日 『堀 孝弘のごみにまつわるエコ話』
http://hori-takahiro.sakura.ne.jp/?p=972

Facebookで紹介したところ、把握可能な範囲で100以上のシェアがなされた。実際にはそれ以上にシェアがあったことだろう。もちろん、ネット記事なので、反論も多く出たが、これだけ多くの人がシェアしたのは、このCMに対して「なんか変だと思っていた」人が多くいたことのあらわれだろう。

《CMを観た人たちの反応》

どのような「疑問」だろうか。出演した老舗に対して、「この店で出すお茶は、ペットボトル茶なの?」や、「この料理人さんは、本当に味がわかるの?」、「防腐剤(ビタミンCと表示)入りの茶と急須で淹れた茶の区別がつかないのか」、「この店に行く気がしなくなった」、「高い金を出して贔屓にしてくれた客が、こんな程度の店だったのかと思っていることだろう」などの声が返ってきた。なかには「先祖が泣いている」という投稿もあった。

ブログへの反応から、このCMを見た人のなかに、出演した老舗に対して失望感を抱いた人が多くいたことがわかる。出演した店に限らず「京都」が営々と築き上げてきた無形の財産を損なわれかねない軽々しい行動に映ったのだろう。なかには、「疑問に思っていたことを文章化してくれた」というメッセージもあった。

《京都が衰退する、は言い過ぎ?》

一方、「出演した店がイメージを下げ、客が減ったとしても、『京都が衰退する』とまで書く必要はないのでは…」という意見もあった。もっともな意見だ。たしかに「いずれ京都は衰退する」はオーバーな表現かもしれない。私がここまで書いた理由は、現在の国内外の「京都」への高い評価は、多くの人の努力によって得られたものである一方、決して盤石のものでないと感じるからだ。

少し昔を振り返ってみよう。1980年代のバブル期、京都の中心部は地上げにより、コインパーキングとペンシルビルだらけになった。投機目的の「人の住まないバブルマンション」も多く建った。「老舗」と呼ばれる店でも食品添加物だらけの食品が売られ、京都に来る旅行者は中高年が中心で、修学旅行生は減っていた。人口は神戸、札幌、福岡に抜かれ、伝統ある大学は市外に流出。京都がハイテクのまちとして勢いを得るのはもう少し後のことで、地場産業は衰退の一途。30年ほど前、京都はこのような状況だった。

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