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第86期将棋棋聖戦スイーツスポンサーの舞台裏をブールミッシュに聞いてみた

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7月15日に全対局が終わった2015年度第86期将棋棋聖戦は、羽生棋聖が豊島七段を3勝1敗で降し、8連覇となる防衛を果たした。
今期棋聖戦ではスイーツスポンサーとして銀座に本店を置く株式会社ブールミッシュが、対局時のおやつの提供、および『棋聖戦特別パッケージ』の焼き菓子の詰め合わせの販売を通して、棋戦を大いに盛り上げた。

棋聖戦の終了にあわせて、スイーツスポンサーとしての取り組みや裏話などについて、ブールミッシュの担当下野さんにいろいろとお話をうかがった。

――将棋棋聖戦には前期(第85期・2014年)から正式にスイーツスポンサーになられましたが、スポンサーとなった経緯をお聞かせください。

下野 私が長年の将棋ファンでした。私が小さい頃二人でいつも将棋をしていた幼馴染は、将棋AIの草分けのアルゴリズムを作った、マイナビ「東大将棋」の岸本章宏(現IBM Research)です。二人ともこんな形で将棋界に携わるのは不思議な感じがします。

私自身、社会人になった1990年代の終わりぐらいから何となく将棋から離れていました。もう一度ファンとして戻ってきたのはネット中継が盛んになってからです。

ネットコンテンツとして将棋を見た時、非常に親和性が高くマッチしてました。
ご存知の通りネット中継から俄然スイーツ時間が注目、盛り上がるコンテンツとなっていました。ネット中継が始まる前はスイーツ自体取り上げられてませんでした。

それを目の当たりにしていて、スイーツ業界に仕事として携わると決まった時に、オフィシャルスポンサリングを企画として進めたいとすぐに思いました。将棋xスイーツは意外に見えるが、必然性があって将棋のファンの方々にも認めていただけるのではという思いがありました。

東京の将棋連盟に企画書を持っていったら面白いということですぐに話が進みました。発案から実施まで1年がかりでした。

もし将棋界を盛り上げる一助になっていれば、一将棋ファンとしても嬉しい限りです。

――今期から対局開催地にちなんだスイーツが特別に作られるようになりました。このような取り組みが始まった経緯や背景を教えてください。

第1局 6月2日 兵庫県洲本市『ホテルニューアワジ』 
羽生棋聖『鳴門オレンジのパウンドケーキ』 豊島七段『鳴門オレンジのゼリー』

第2局 6月16日 石川県能美市『まつさき』
羽生棋聖『能登町産ブルーベリーの包みフロマージュ』 豊島七段『石川県産百花ハチミツヴァバロアとさくらんぼのシャルロット』

第3局 7月4日 静岡県沼津市『沼津倶楽部』
羽生棋聖『ほうじ茶チーズケーキタルト』 豊島七段『ほうじ茶プリン 丹波の黒豆添え』 

第4局 7月15日 新潟県新潟市『高島屋』
羽生棋聖『キャラメルショコラ・ポワール』 豊島七段『ルレクチェのメープルロール』

(※参考 対局地と対局者に出されたスイーツ)

下野 前回は弊社で取り扱う通常商品でしたが、ファンからも「ご当地にちなんだスイーツが見たい」という声を多くいただきました。

弊社はスポンサーなので、もちろん通常品を扱った方が直接売上につながるのでいいのですが、やはり棋戦を盛り上げるには、開催地にちなんだその時だけのスイーツだろうと。
本年もやると決まった時にその企画で行こうというのは決めていました。

――対局者に提示されるメニューの種類は何種類くらいでしょうか? 注文されないまま日の目を見ないメニューもあったのでしょうか?

下野 毎局ともお出ししたメニューは午前1品、午後2品です。なので今回は4局を通して合計12品です。

前回は通常商品から1品を毎局選択してもらう形式だったので日の目を見ない商品はありましたが、今回は、午前、午後ともにこちらで決めさせていただきましたのでございません。

第4局の新潟開催が開催未定だったので、もし無かったらアイデアだけで終わったのが、『キャラメルショコラ・ポワール』『ルレクチェのメープルロール』です。

その点ではこの作品が日の目を見られてよかったです。おそらく二度と登場しなかったでしょうから。

――開催地に合わせてメニューが開発されましたが、不採用になったアイデアなどはあったのでしょうか?

下野 担当パティシエが直前まで決まらなかったので、他パティシエが別のアイデアを考えていたということはあります。

例えば、石川だと打木赤皮甘栗かぼちゃ、沼津だとイチジク、新潟だと、メロン、桃あたりもアイデアとして上がっていました。

今回はうちのパティシエの中でもトップクラスのメンバーたちが担当したので、アイデアさえ決まればあとはまかせて安心でした。

――製造過程での苦労話などがあればお聞かせください。

下野 生ケーキというのは配送業者にとっても特別で、通常の宅配便では運ぶことが出来ません。なので今回は、ブールミッシュスタッフが毎回、当日に手持ちで、電車・車を乗り継いで現場へ持参しました。

移動時に少し傾けるとアウトで、これだけ繊細な物というのは類を見ません。

破損したら取り替えが効かず企画自体が失敗に終わるので、しかも対局現地というのは毎局非常に遠く(笑)、この運び入れは生きた心地がせず大変でした。

第2局の『能登町産ブルーベリーの包みフロマージュ』は対局時に出したそのものだと大きさの点などで商品化が難しく、実店舗販売に際しては若干変更の必要がありました。

第2局だけでなく全局を通してそうなのですが、ブールミッシュは全国店舗販売を前提に商品開発をしていますので、材料、容姿とともに限定品として開発した商品を実店舗展開するのは難しいのです。基本的に、販売数、材料、輸送可能性など多くの課題点のクリアしないと商品化出来ません。

そういった点でも、今週25、26日に店頭販売する『ルレクチェのメープルロール』はお客様にとっても貴重だと思います(笑)。

――現地大盤解説会場で『棋聖戦限定パッケージ』の焼き菓子詰め合わせセットが販売されましたが、ファンの反応はいかがでしたか?

下野 ファンの方々から概ね好評と受け取ってございます。

私自身は以前に、一ファンとして大盤解説会に行ったこともありましたが、お土産のようなものが無かったので、現地に行って観てただ帰ってしまうことに
なりました。

やはりそこに行ったという形のあるものが欲しいんですよね。

お土産の形態にもいろいろありますが、帰った後の家族サービスにもなるので、お菓子は適していると考えています。

現地で販売している時に、試みへのお褒めの言葉も頂戴する場合がございます。非常に励みになります。

――お菓子のパッケージにサインするというのは今までになく画期的な物だと思いますが、サインをする棋士の皆さんや、受け取る側の将棋ファンの皆さんの反響はいかがでしたか?

下野 現地での即席サインについては棋士の方々の純粋なご厚意で成り立っております。ですので、ご対応出来ない場合もあるのですが、先生方は全員、快くお助けいただいただいております。本当に感謝しています。

私自身も、この形は非常に画期的だと思いますが、実はもともと企画の中にはなく、前回淡路島対局の時の、現地にいらっしゃった女流棋士の村田智穂さんのアイデアがきっかけです。

パッケージには『第86期棋聖戦五番勝負』と対局者どうしの揮毫がデザインとして印字されています。
直筆サイン付きとなると本当に買うことの出来ない1品となります。本当に素晴らしいアイデアだと思います。村田さんに足を向けて眠ることが出来ません(笑)。

前年で行われた、最初のサイン会には、糸谷竜王、豊島七段、香川女流王将と、今はときめく関西の若手が現地にたまたま来ていてパッケージにサインしてくれて、ブールミッシュにとっても将棋界にとってもなにかエポックな感じがしました。当時はお三方とも駆け出しでしたから眩いこれからの若者たちという感じでした。

それから1年経過して豊島さんが挑戦者になり、対局のスポンサーになったというのが何とも感慨深いです。

あと棋士の先生方でいうと、香川愛生女流王将には去年、今年と格別にこの催しにご厚意いただいていており、感謝しております。

スイーツスポンサーとして女流棋士のご協力は欠かせません。

――『棋聖戦限定パッケージ』は平常時のギフトセットに比べて売り上げは大きく違いますか?

下野 生産に影響が出るぐらいというのは言い過ぎになりますが、明らかに売れ行きがその時だけ突出することは確かです。

業界的に、ブールミッシュはギフトとしてのブランドのイメージが強く、お土産ものブランドとしてはカテゴリが若干違います。この棋聖戦パッケージは大きさ的にお土産もののカテゴリに入ってきますが、ここの売上がこの時期、突出します。

――スイーツスポンサーになったことで、普段洋菓子などに興味・関心のない人にも知名度は上がったように感じますか?またデパートの売り場で店頭などで変化は感じますか?

下野 『ニコニコ動画』の影響も大きいですね。去年から毎局、現地に出すおやつの時間と同時に、『ニコニコ動画』中継にブールミッシュのスタッフが出演しています。

『ニコニコ動画』を楽しむ若い層や、IT業界の方からよく話をされることが多くなりました。ブールミッシュのマーケットとしてはこのあたりの若い層が弱いところですので補完出来ていると思います。

デパートの売り場でもたまに棋聖戦について声をかけられるようですが、直接的な反応としてはネット販売の事業部の方ですね。素晴らしい協賛ですねと趣旨に賛同してくれる声が寄せられます。

――来期またスポンサーになるようなご予定はありますか?またこれからもリアル車将棋のような将棋イベントや他業種とのコラボの予定はありますか?
(※注 ブールミッシュは2月に行なわれたリアル車将棋でもスイーツスポンサーを務めた)

下野 もしお声かけいただいたら是非参画させていただきたいと願っています。

リアル車将棋は今年2月、近々で申し上げると今度の8月2日東急将棋まつりでスイーツの協賛はさせていただいております。

お声かけいただいたのでありがたく協賛させていただいております。

――連盟売店でスイーツや詰め合わせ商品を常時販売するような予定はありますか?電王戦なども含め将棋界はスイーツと縁が深くなり、糸谷竜王のスイーツハンカチもグッズとして売られるようになりました。

下野 今のところ常時販売は考えてございません。時期限定がいいのかなと考えている点もありまして。

糸谷竜王については少し話させて下さい。

もともとスイーツに詳しいと一部では有名でしたが、スイーツ王子とファンから命名され、広く有名になったのは、去年の棋聖戦第1局でのブールミッシュのスイーツレポがきっかけではないでしょうか。

他のメーカーの商品もよくご存知で非常に素晴らしいものでした。そんなこと無いと否定されそうですが、もし契機の一つであるなら非常に光栄です。

すでに糸谷さんも棋界の第一人者ですからあまりいい加減なことも言えませんが。

――最後に、棋聖戦の現地で試食したプロ棋士の先生の興味深いコメントやエピソードがあればお聞かせください。

下野 午後のスイーツは、破損用に2セットだけ余分に持って行っていて、これが控室差し入れ用となります。貴重ですので取り合いになります。

第3局の時は、井道さん、木村さん、記者さんたちで一つをわけあって食べていたのが印象的です。

スイーツということで女流棋士優先で食してもらいますが、男性棋士も、特に、勝又さん、田中寅彦さんは反応がとてもよく食レポしてくれて、『Twitter』にも上げてくれてありがたかったです。
棋士の『Twitter』フォロワー数はうちの公式フォロワー数よりも遥かに多いですから(笑)。

男性女性ともに棋士の方々はスイーツが好きですね。甘いモノ苦手という方に出会ったことがありません。

カメラマンも記者も女流棋士が召し上がる記事は映えるので力を入れて絵を撮ることになります。

女流棋士が食する時は別室へ行って別撮りすることもあります。ただ糸谷竜王がいらっしゃれば当然別撮りをお願いいたすつもりでした(笑)。

――ありがとうございました。

記事中にもあるように、第4局で豊島七段に出された『ルレクチェのメープルロール』は7月25日(土)26日(日)の両日、ブールミッシュ銀座本店、池袋西武店、横浜高島屋店、恵比寿三越店で1日あたり個数限定で販売される。

『棋聖戦限定パッケージ』のお菓子の詰め合わせ(ガトー・ボワイヤージュ8個入り)は7月26日(日)まで、ブールミッシュ銀座本店、池袋西武ブールミッシュ、インターネット等で販売される。
また、パッケージに描かれている詰将棋を解いて応募すると、羽生棋聖のサイン等がもらえるプレゼントキャンペーンが行なわれている。こちらの締め切りは7月31日(金)まで。

詳しくは、ブールミッシュ棋聖戦特集サイトを参照していただきたい。

http://www.boulmich.co.jp/kiseisen.html

(※画像はブールミッシュより提供)

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
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