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【米光×中村 ぷよぴったん対談】その2:「世界は全部ゲームになる」 “米光予言”が示唆する新しい学びの姿

【米光×中村 ぷよぴったん対談】その2:「世界は全部ゲームになる」 “米光予言”が示唆する新しい学びの姿

『ぷよぷよ』『魔導物語』『バロック』などの名作ゲームを生み出した米光一成氏と、人気ゲーム『もじぴったん』シリーズのディレクター、プロデューサーを務めた中村隆之氏。現在、米光氏は立命館大学で講義を持ち、電子書籍を対面販売する“電書部”を主宰、中村氏はバンダイナムコゲームスを退社して現在は講演を中心に活動するなど、ゲーム業界とは少し離れたフィールドにも軸足を置いて活躍しています。“国産2大パズルゲーム”を世に送り出した2人は、今何を教え、ゲームについて何を考えているのでしょうか。ガジェット通信はこの2人の対談を企画、このとき初対面という2人に「遊び」「学び」「ゲーム」「電子書籍」をキーワードに語っていただきました。第2回は『もじぴったん』の話題から、遊びを通じた学び、現状のゲーム業界に話が及び、米光氏が未来を語る“米光予言”が飛び出します。

聞き手:ガジェット通信 宮原俊介(shnsk)

※第1回「【米光×中村 ぷよぴったん対談】その1:パズルゲームクリエーターの2大巨頭が出会う」はこちら( https://getnews.jp/archives/94756 )

・「面白くない」教育系ゲーム

中村:僕は『もじぴったん』をやって凄くよかったなって思うのは、お客さんのアンケートの反応で、「日本語の勉強をしなきゃいけないと思った」と。小学校ぐらいの子どもから大人まで、もっと国語の勉強をしなきゃいけないと思ったという反応があって、それは凄い嬉しいことで。

米光:教育系のゲームって、凄く腹立つのがたくさんあって……。

中村:(笑い)

米光:おまけのようにゲームをつけている。“英単語暗記”がシューティングゲームで、とか。おもろくないから、ジャマになってる。シューティングっても、鬼の腹の的にスペルを当てるのみたいだったり。「これなら普通に単語覚えさせろよ」と。そういうものはだいぶ減ってきたし、だいぶ変わってきたけど、まだまだいっぱいあって。「ゲームなめんな」みたいに思って。

本当は『もじぴったん』とか『ポケモン』の方がよっぽど、子どもの国語力を育ててるとか、確率を知らぬ間に学べてる。目的と凄くズレてるものを単に合わせて、「ゲームお前ら好きだろ? じゃあ勉強にちょっとゲーム入れておくよ」って。混ぜずにそのまま出して、口に入れたら「マズい!」みたいなことがたくさんある中で、『もじぴったん』は、ちゃんと“ゲーム”として作ろうとしたものが、言葉のゲームだったということで。

でも“学ぶ”って、基本そういうことですよね。

中村:そうですよね。

・遊びがもたらす学び

米光:学ぶことが目的じゃなくって、自分を豊かにすることが目的だから。学ぶことそのものが目的になっちゃうとダメなんですよ。ゲームをちゃんと作ればいい、豊かになる方向に作っていればいいだけなのに。

教育系ゲームを作っている人に『もじぴったん』をやって欲しい。楽しく遊ばせようとすると、ちゃんと楽しいし、学びも入ってくる。『もじぴったん』のちゃんとした目的の持ち具合を見てほしい。

中村:そうなんですよね、純粋に『もじぴったん』って、ゲームだしエンターテインメントなんですよ。だから子どもでも自発的にやりたい、楽しそうと思ってやるし、やっているうちに学んでいくんじゃないですかね。

米光:「子どもを正しい方向に持っていきたい」とか言い出した瞬間から、つまんないゲームになって、「正しい」っていうのが大人の都合になっちゃう。それこそマンガと一緒で、「マンガは正しいマンガだけにしよう」っていう流れにしちゃうと、その「正しい」が、本当に正しいのか分からなくなっちゃう。そうじゃなくて「面白いよね」と。“面白くする”ことは“豊かになる”ことだから、その中でいろんなことが学べちゃう。結果として学ぶんですよ。

中村:ホント、すごい同感です。ナムコって“遊び”の会社なんです。今は“ゲーム”の会社になって「ちょっと違うんじゃないか」って思うんですけど、“遊び”の会社だったんですよ、もともと。で、“遊び”って何? といったときに、僕は子どもいるんですけど、子どもって放っておいたら一番最初に何するかって、遊ぶじゃないですか。だから遊ぶことって人間には凄く自然で、自然な本能として遊ぶんだから、生きるために必要で“遊ぶ”遺伝子というのがあると思っていて。僕の個人的な考えでは、遊ぶことで世の中のことを自然に学ぶことができたから、そういう遺伝子が残っているんじゃないかと思っていて。

僕らも遊びを提供するっていう意味では、“1本道”のゲームって嫌いなんですよね。解き方が1通りで決まっているものが嫌いで。自分で解き方を工夫して発見したり、制作者がまったく意図しないやり方があって……。

米光:まさにインタラクションだよね。

中村:コントローラーを逆さまに持って『マリオ』の1-1をクリアするとか、ゲームの元々のルールに飽きたらず、自分で工夫して遊ぶような。そういうことが本当は自然とできて、いろんなことをやってるうちに、いろいろ学ぶものがあるんですよね。僕もファミコンから学んだものがあるし。

・『シムシティ』から学んだこと

中村:あと、僕は『シムシティ』が凄いハマって。

米光:『シムシティ』大好きです。ゲームの可能性をひとつ広げましたよね。あれやった後、街を歩いていると「あ、ここ工業地帯だ」とか「メイン通りから1コ離れたからここは寂れている」とか思ったり。

中村:僕はあのゲームで、予算のお金を使うのがもったいないから使わないでいようと思ったら、どんどん寂れて税収が減っていくんですよ。「あ、そうか」と。ちゃんと税金を投入して公共事業をしてあげて、街を発展しないと人が集まってこないから税収が減るんだと分かって、「公共事業って、ここを活性化するために必要なんだな」と。でも学校ではそういうことは教えてくれなくて。テレビでは当時「公共事業をもっと減らせ」と言ってるので、よく分からなかったんですけど、あれで「そういうことなんだ」と。

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記者:

宮原俊介(編集長) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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