都心のマンションに殺到する「おひとりさま女性」
都心の不動産マーケットが熱気に包まれる
現在、都心においてマンションなどの不動産を求める購入希望者が増加し、不動産マーケットが熱気に包まれています。不動産経済研究所によれば、2014年の首都圏新築マンションの供給数は消費税増税の反動で前年に比べて20%(1万1565戸)減少しましたが、1戸あたりの平均価格は5,060万円(前年比2.7%アップ、2年連続の上昇)とのことで、1992年(平成4年)以来はじめて5,000万円を超えました。
深刻化している建設現場の人出不足の問題や建築資材高騰からの建設工事費上昇による、新築マンション価格の値上がり懸念が顕在化した形となりました。
一方、中古マンション市場においても、売主の「今後、もっと価格が上がるかもしれない」との思いから物件を売りに出し惜しんでいるケースも目立ちます。結果、物件は不足気味で、良いと思われる物件が市場に出ると、複数の購入希望者で取り合うような状況になっていることから、需給バランスの関係で不動産価格は上昇しています。
中古マンション価格も6カ月連続で価格上昇
中古マンション価格は、不動産データサービス会社・東京カンテイの発表(2015年2月の三大都市圏中古マンション70平方メートル換算価格推移)によれば、首都圏全体で2,924万円(前月比0.9%上昇)となり6ヵ月連続で価格上昇率が拡大しています。
地域別に見れば、東京都が4,004万円(同1.3%上昇)で8ヵ月連続で上昇し、2008年9月以来の4,000万円超となり、神奈川県は2,475万円(同0.7%上昇)、埼玉県は1,849万円(同0.2%上昇)となっています。
30代、40代を中心とした独身女性のマンション購買意欲が高まる
そんな中、都心部では30代、40代を中心としたシングル女性がマンションを購入する傾向が強まっていて、ここのところ雑誌などのメディアでも盛んに特集が組まれたりしています。なぜ、今、都心のマンション購入がシングル女性に人気なのでしょうか?
その理由は、生涯未婚率が過去に比べ増加している(国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集2013年』による)ことも原因の一つと考えられますが、「将来の年金があてにならないこれからの時代、もしもこのまま結婚しなかったら老後働けなくなっても、本当に独りで一生家賃を払い続けていけるのか?」という不安を抱いている人が増えたためと考えられます。
比較的売りやすく、貸しやすい都心エリアに人気が集中
また、「老後の安心のためにせめて住まいは確保しておきたい」という考えと、「今後、良縁に恵まれたら、場合によりその時は売ったり貸したりすればよい」という理由に基づいて購入物件を選ぶため、比較的売りやすく、貸しやすい都心エリアや交通利便性のよい人気エリアを好む傾向にあります。
今までは、どちらかといえば「独身時代に多額の住宅ローンを抱えてマンションを購入する」ことは、シングル女性にとって人生の自由度を奪われることになり敬遠されるという考え方もありました。しかし、だんだん考え方が変わってきつつあるようです。
「買ってはいけない物件」には注意が必要
私の元にも、30代~50代のシングル女性からの住宅購入相談件数が多くなりましたが、その中で思うのは、以前と違ってマンションを「消費」ではなく「資産」ととらえ、「将来のため」という理由で購入する人が増えてきたように感じます。
今は銀行などの金融機関も積極的に女性向け住宅ローン商品を取り扱っていて、融資も受けやすい環境になっていることや、低金利であることも理由の一つに上げられます。
しかし、注意点もあります。どんな物件でも買えばよいというものではありません。「買ってはいけない物件」に手を出せば、逆に人生を不幸にしてしまうこともあります。ご注意ください。
(後藤 一仁/不動産コンサルタント)
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