悲願の関西制覇なるか?「万代」と提携したセブン&アイの勝算

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悲願の関西制覇なるか?「万代」と提携したセブン&アイの勝算

関西に150店舗を構える万代との提携で、一気に関西制覇を狙う

セブン&アイ・ホールディングスが、大阪を基盤とする有力食品スーパー「万代」と資本・業務提携を発表し、関西地域での食品小売分野の事業基盤強化に動き出しました。両社は業務提携を通じ、食品小売分野における物流、人材開発、商品共同開発などの協力関係の構築や、両社が持つ経営ノウハウの活用により地域に根ざした店づくりを推進していくなど、さまざまな施策を実施していくとのことです。

セブン&アイの食品小売分野を担う「イトーヨーカ堂」は、関西地域には11店舗のみで、とても地域を網羅しているとは言い難い状況です。そこで、関西に150店舗を構える万代と業務提携することによって、関西地域を一気に網羅することができ、食品小売分野の基盤強化の一環として、プライベートブランド(PB)商品や電子マネー「nanaco(ナナコ)」などの金融関連サービスの普及にもつながることが見込めます。

過去に失敗も。セブン&アイにとって関西は苦い経験をした場所

一方で「セブン&アイの思惑通りに進むのか?」と懸念される点もあります。というのも、万代と同じように関西地区で店舗展開をする近畿日本鉄道の子会社である「近商ストア」と平成23年に資本・業務提携をしていましたが、相乗効果が望みにくいとして平成26年に解消しているからです。

このときも、社員を派遣するといった支援をしていたようですが、期待する効果が得られず、駅構内の売店などをセブン-イレブンに転換することを検討するも頓挫。さらに、平成25年には、近商ストアの親会社である近畿日本鉄道が、ライバルであるファミリーマートと業務提携し、近鉄の駅ナカ売店などをファミリーマートに転換するなど、セブン&アイにとって関西地域は苦い経験をした場所でもあります。

セブン&アイには地方での業務提携の成功ノウハウがある

しかし、近商ストアとの業務提携を解消してから1年も経たずに、関西地域の有力スーパー万代との業務提携を行っているのですから、少なからず勝算があるということと、セブン&アイにとって関西地域が重要なマーケットであるということがわかります。

その勝算の一つは、地方での業務提携の成功ノウハウがあるということです。セブン&アイは、店舗網が手薄な地域での食品小売分野の事業基盤強化を図るために、その地域の有力スーパーなどと提携を進めており、平成25年には北海道で食品スーパーマーケットを展開している「ダイイチ」と、岡山県・広島県で「天満屋ストア」と資本・業務提携を結んでいます。

提携内容としては物流・インフラの相互活用、人材開発、商品の共同調達などであり、今回、提携した万代との違いはさほどありません。そして業務提携後の両社の四半期報告書などを確認すると、両社共通しているのは営業利益・純利益が向上している点であり、業務提携によるコスト削減などの効果が現れていると感じられます。

そういった成功ノウハウを武器にセブン&アイは再び関西地域での地盤強化に動き出したのですから、これが上手くいけば店舗網が手薄な地域での業務提携に拍車がかかることが予測できます。関西地域での活動が再び苦い思い出になるのか?それとも見事リベンジを果たすことができるのか?今後のセブン&アイと万代の業務提携の行方に注目です。

(伊藤 伸朗/集客・顧客情報活用コンサルタント)

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