萩尾望都原画展や大島弓子のトークイベント…名だたるクリエイターが今も愛する「24年組」とは?

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漫画好きの方ならご存知であろうが、少女漫画には大きな革新の時代があった。少女漫画といえばそれまでは可憐な少女を主人公に据えた恋愛作品に溢れていた。1970年代、その少女漫画のジャンルの幅が昭和24年生まれの女性漫画家たちによって大きく刷新された。彼女たちが築いた作品群はSFやファンタジー、少年同士の恋情とも呼べそうな深い絆を描き、それまでの常識を覆した。その表現力と芸術性は漫画の枠を超えて現代を生きるクリエイターにも多大な影響を及ぼしている。萩尾望都、竹宮惠子、大島弓子の作品は特に群を抜いており、この三方は「HOT」と称された。この春、その24年組の関連イベントが目白押しなのでまとめて紹介しておきたい。

まずは萩尾望都。2012年春には紫綬褒章を授章。現在もこんこんと澄んだ泉のように名作を生み出している少女漫画の神とも呼ばれる存在だ。2015年2月、河出書房新社より童話集『銀の船と青い海』が出版されている。これを記念して銀座の「スパンアートギャラリー」で原画展を開催。萩尾望都の原画を拝める貴重な機会だ。期間は2015年3月8日(日)~3月15日(日)。会期中は無休。時間は11:00~19:00(最終日 17:00まで)。加えて、名作『トーマの心臓』や『ポーの一族』の美麗イラストをあしらったオリジナルグッズも登場。期間中、会場のみの販売なのでファンなら是非手に入れたいところだ。

続いて、大島弓子。少年の心の機微の表現に優れた萩尾と対照的に大島は少女心理の表現に長けている。また猫に関するエッセイ漫画の刊行もあり、親しみやすさからその名を知る方も多いだろう。主な代表作は『綿の国星』。今では猫の擬人化表現は珍しくないがその草分けは大島作品にある。現代のいわゆる「猫耳」や「萌え」とは異なる、猫を少女になぞらえた詩的な擬人化描写は漫画というより文学に近い。
近年は大島弓子ファンであるクリエイターによる関連書の刊行が続いている。2014年にブックマン社から刊行された『大島弓子にあこがれて ~お茶をのんで、散歩をして、修羅場をこえて、猫とくらす』に続き、青月社より『大島弓子 fan book ピップ・パップ・ギーととなえたら』が2015年1月に刊行。これを記念して3月27日(金)、東京・下北沢B&Bにてトークイベント「拝啓 吉祥寺の大島弓子さま」が開催される。出演は嶽本野ばらとヤマダトモコ、西野木ショーンという豪華な顔ぶれ。料金は1500円(別途1ドリンク)。時間は19:30開場、20:00開演。

最後に三原順。三原は昭和27年生まれで24年組には属しないものの「遅れてきた24年組」と称されている。代表作は『はみだしっ子』や『ムーンライティング』シリーズ。三原作品はリアリティに富んだ社会問題をとりあげている点で24年組と一線を画する。もはや哲学に達するほどの人間心理の描写は鋭利で、実際的で社会的だ。
没後20年、20冊目の刊行を迎える三原の原画展「~没後20年展~ 三原順 復活祭」は2015年2月から開催中。会期は5月31日(日)まで。原画展としては異例と言えるほどの長期間だ。その間4度の展示替えが行われる点も異例と言えよう。会場は明治大学・米沢嘉博記念図書館1階展示コーナー。休館日は平日の毎週火~木曜日(祝日は開館)。特別整理日などで休館する場合もあるため、あらかじめ問い合わせが推奨されている。会期中はイベントが何度か予定されているが、特に4月4日(土)にご注目。 ヤマザキマリによるトークイベント「アンジーは私の理想の男性だった! ~ヤマザキマリ「はみだしっ子」を語る~」が行われる。時間は16:00-17:30、場所は同大学のリバティタワー 1063教室。三原は瑞々しく繊細な表現を得意とした24年組ほどの知名度はない。しかし、その構成の妙や重厚なテーマ性は確実に現代のクリエイターにも多大な影響を及ぼしている。

これらのトークイベントや原画展に共通しているのは現在にも連綿と継承されているファンの熱い思い。現代活躍する気鋭のクリエイター陣にも支えられている点だ。萩尾望都や大島弓子はもちろん、没後20年にして原画展の開催されている三原順のカリスマ性は特筆に価する。HOTの一人である竹宮惠子は2014年11月に秋の紫綬褒章を受章している。彼女たちの再評価は世間における漫画という媒体そのものへの再評価そのものであろう。原作を未読の方も、まずはイベントに参加して名作を初体験してみてはいかがだろう。

Hagio Moto Exhibition ~Silver Ship & Blue Sea~
http://www.span-art.co.jp/exhibition/201503hagiomoto.html [リンク]

拝啓 吉祥寺の大島弓子さま
http://bookandbeer.com/blog/event/20150327_oshimayumiko/[リンク]

~没後20年展~ 三原順 復活祭
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-miharajun.html [リンク]

※この記事はガジェ通ウェブライターの「小雨」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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