西日暮里にあの一杯が帰ってきた! 690円で味わう深だし中華の完成形「深だし煮干中華そば ばつぐん」

全国のラーメンを食べ歩くラーメンライター、井手隊長です。

西日暮里に突如新店がオープンした。2026年4月2日オープンの「深だし煮干中華そば ばつぐん」だ。手がけるのは、「釜玉中華そば ナポレオン軒」や「ラーメンねぎとん」など、シンプルで力強いコンセプトを的確に形にしてきた小宮一哲さんだ。

この場所はもともと「伊蔵八中華そば」として営業していたが、今回のリニューアルで掲げたのが“深だし煮干し”。ラーメン好きならピンとくる人も多いだろう。かつて平井で営業していた「深だし中華そば」は、コアなファンを掴みながらも惜しまれつつ幕を閉じた存在だ。「もう一度食べたい」という声が絶えなかった一杯が、磨き上げられて帰ってきた。まさに待望の復活と言っていい。

まず驚かされるのは価格設定だ。ベースとなる「かけ煮干し中華そば」は690円から。このご時世にあって、この価格は明らかに戦略的であり、同時に「日常食」としてのラーメンを強く意識している証でもある。余計な装飾を削ぎ落とし、純粋に出汁と麺で勝負する姿勢が伝わってくる。

今回注文したのは「深だし煮干中華そば」。その一杯は見た目以上に情報量が多い。まず目を引くのはチャーシューの構成。しっとりとしたスライスに加え、ほぐしチャーシューが添えられており、食感の変化を生んでいる。さらに背脂が面白い。大粒から細かな粒までバラバラに散らされており、これがスープにコクのグラデーションを与えている。この均一にしない設計が実に巧みで、食べ進めるごとに印象が微妙に変化していく。

薬味も一工夫ある。ネギとカイワレをあらかじめ混ぜた状態でトッピングされており、シャキッとした辛味と清涼感が一体となってスープにアクセントを加える。細かな部分だが、この一手で全体の輪郭が引き締まる。

そして主役のスープ。ひと口すすって感じるのは、濃いのにしょっぱくないという絶妙なバランスだ。煮干しはその特性上、使えば使うほど塩味も強くなりがちだが、この一杯はそこを見事にコントロールしている。旨味の密度は高いのに、塩角は立たない。じわじわと広がるコクと余韻が心地いい。

さらにユニークなのは、タレにアサリを使っている点だ。煮干し由来ではない別種のエグミをあえて重ねることで、味に奥行きを与えている。単なる足し算ではなく、風味のレイヤーを意図的にズラすことで、深みを演出する設計。ここに「深だし」というコンセプトの本質がある。麺は極太の縮れ麺。モチモチとしっかりとした主張で、スープとの相性も良い。

そして忘れてはいけないのがサイドメニューの「抜群 とろろメシ」。とろろにラーメンスープがかかったシンプルな一品だが、これが実にいい。ほんのりとした塩味と出汁の旨味がとろろに染み込み、じんわりと沁みる味わいになる。さらに卓上の深だし醤油を少したらせば、味がぐっと引き締まり、また違った表情を見せてくれる。ラーメンの余韻をそのままご飯で回収するような、完成度の高いサイドだ。

西日暮里という街に根付きながら、確実に多くの人を惹きつけていくであろう一杯。気軽に食べられて、しっかりと記憶に残る。ぜひお試しあれ。

深だし煮干中華そば ばつぐん
東京都荒川区西日暮里5丁目21-2

(執筆者: 井手隊長)

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