『マエストロ!』中村倫也インタビュー「楽器って生き物なんだなと感じた」
松坂桃李と西田敏行が初共演、シンガーソングライターmiwaが映画出演と話題の映画『マエストロ!』。解散した名門オーケストラの再結成の報を受けた「負け組」楽団員らと突如現れた謎の指揮者が、衝突しながらも復活コンサートに向かっていく姿を描いた感動作が現在大ヒット公開中です。
本作で、一度は夢を諦めながらも再びオーケストラに加わる、熱血ティンパニ奏者を演じたのが俳優の中村倫也さん。2005年のデビュー以降、数々のドラマ、映画に出演。昨年放送された『ファーストクラス』では、“デンジャラスチキン”と呼ばれる気弱なアシスタントを印象的に演じました。
今回は中村倫也さんに『マエストロ!』について、今後の目標など色々とお話を伺ってきました。
―まず、本作の脚本を読んだ感想を教えてください。
中村:まず演奏シーンどうするのかな? と思いました。本を読んで、自分も出演者でありながらどんな仕上がりになるのかが楽しみでした。あとは、西田敏行さんとご一緒出来るという事で、撮影がはじまるのが待ち遠しかったですね。
―西田敏行さんとは現場でお話されましたか?
中村:いえいえ、もう一緒の空間にいるだけで胸いっぱいで、十分すぎるほど幸せでした。西田さんはとても紳士な方なのに、現場に入ると空気が締まる、さすがの存在感を持った方でした。
―この映画最大の魅力がオーケストラの演奏シーンですが、ティンパニ奏者役を通して学んだ事はありますか?
中村:楽器って全部生き物なんだなと思いましたね。秒単位で音が変わっていくし、さっき出ていた音がいきなり出なくなったり。もともと音楽を聞いてても、ベースやドラムの音が好きなので、今回、コントラバスと一緒にリズム隊に参加出来たのが楽しかったです。
―ラストのコンサートシーンは圧巻でしたね。
中村:コンサートシーンは本当に最後の方に撮影したので、皆の気合がギュッと濃縮されているというか。物語と同じように「この演奏にかけるぞ」という想いでした。これだけ多くの役者がそれぞれの楽器を学んで、全力で取り組むってすごい事ですよね。皆が一生懸命頑張っている姿をずっと後ろから見ていたので、完成した映画を観て、初めて正面から見る事が出来て感動して。試写室で拍手しようと思ったけど、周りは静かに観ていたのでやめました(笑)。
―思わず拍手してしまいたくなる演奏ですよね。その他、それぞれのキャラクターの個性も面白くて、中村さんが演じた丹下は特に人間らしくて共感する人が多いのでは無いかと思いました。
中村:誰しもが若い頃に経験する様な悩みと葛藤を持った、最大公約数のキャラクターだと思いましたね。自分はもっとやりたいし、もっとやれると思っているし、でもなかなかチャンスをつかみきれなくて……という。なので、才能があって冷静な主人公に反発もするし、辞めると言って出ていっしまう事もある。社会人として一皮むける手前の段階にいるヤツなんだなって思いながら演じていました。
―そうですね。丹下はこの演奏によって変わり、大きく成長してこの後さらにいいヤツになるんだろうなって想像しちゃいます。
中村:映画が終わっても、このキャラクターはこうなるんだろうなって想像してもらえると嬉しいですね。演奏シーンはもちろん、ダメダメで泥臭くも愛おしい人間達を描いているので、人間ドラマとしても映画を楽しんでいただきたいと思います。
―今日はありがとうございました!
メイク:松田陵
スタイリスト:伊藤省吾
『マエストロ!』ストーリー
不況のあおりを受けて解散した名門オーケストラに、再結成の話が持ち上がる。しかし、練習場は廃工場で、集まったのは再就職先も決まらずにいた「負け組」楽団員たちばかり。再結成を企画した張本人である謎の指揮者・天道は、指揮棒の代わりに大工道具を振り回す始末で、団員たちは不安を募らせるが、次第に天道の指揮に引き込まれていく。しかし、バイオリニストの香坂だけは、天道の隠された過去を知ってしまい、反発を強めていく。
(C)2015「マエストロ!」製作委員会 (C)さそうあきら/双葉社
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