日常生活≒雑誌編集? 外山滋比古が綴る知的生活習慣
90歳を超えた今なお、現役で執筆活動等をはじめとする知的創造活動を続けている外山滋比古さん。一般的に見れば日常生活を送ることも困難になってくる年齢であるにも関わらず、外山さんは常に新しい発想を生み出したり、物事を考え続けています。
本書『知的生活習慣』で外山さんは、長年の人生経験を踏まえて、生活の大切さを見直すこと、知と生活をうまく融合させた生活、つまり知的な生活を発見することの必要性を説きます。そして過去のエピソードを交えながら、自身が現在行っている、知的生活を送るための数々の習慣を綴っていきます。
たとえば、25年間にも渡り雑誌編集の仕事をしていた外山さんは、あるとき、日常生活も形のない雑誌のようなものなのではないかと思ったそうです。そこで、自分が編集者になったつもりでスケジュールを作り、生活の編集をはじめたところ、充実した日々を過ごすことができるようになったといいます。
「朝はなになにをする。そのあと用事をする。一服したら、ものを調べ、報告書をつくる、ついでに人に会い、……といった具合に予定を組む。一日の生活編集である。その通りはいかなくても、かなりの仕事をこなすことができる。(中略)生活のエディターとして、整理を加えれば、人生は充実したものになる」
一日の生活を編集するという意識、一冊の雑誌を作っていくという意識を持つことの重要性。外山さんは次のように続けます。
「それをただくりかえすだけでなく、週刊雑誌をつくる。月刊雑誌、年刊雑誌というように積みかさねる。その結果が、ライフ・ワークとしての人生になるのである」
このように本書で紹介されている知的な生活を送るための習慣は、決して難しいものではなく、誰しも行うことができるもの、あるいはもうすでに行っているかもしれないものです。しかし改めてきちんと意識を持ち、それを実際に何年、何十年と続けることはなかなか難しいもの。
まして外山さんのように、長年に渡ってエネルギーを生み出し続けることをいきなり目指すのはあまりにハードルが高いことですが、まずはその言葉をヒントにしながら、自分なりの知的生活習慣を色々と実践してみてはいかがでしょうか。
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