良さがわからない…「現代アート」っていったい何?

 みなさんは「現代アート」にどのようなイメージを持たれているでしょうか。既成の便器を「泉」と題し、ひとつの作品として展覧会に出品したマルセル・デュシャンや、女優マリリン・モンローの肖像画やキャンベルスープの缶の絵などで知られるアンディ・ウォーホル。

 それ以前の絵画や彫刻に比べ、ある種の衝撃を孕んでいる現代アート作品は、とっつきにくい、どこがすごいのか判断するのが難しい、どのように解釈したらよいかわからない……等、自分にはついていけない世界だと感じている方も多いのではないでしょうか。

 しかし、よくわからないながらも何故か惹きつけられるのが現代アート。『楽園のカンヴァス』『ジヴェルニーの食卓』の著者で小説家の原田マハさんと、水戸芸術館現代美術センター主任学芸員の高橋瑞木さんの共著『すべてのドアは、入り口である。』では、キュレーターの視点も含みながら、こうした現代アート作品の魅力を伝えていきます。

 一見、現実とはかけ離れた存在のように捉えてしまいがちな現代アートですが、私たちの普段の物事への見方に対して新たな視点を投げかけたり、既存の価値を疑ったりと、鑑賞者に多くのメッセージを発しているのだそうです。

「多くの現代アート作品は、あなたに『美しさ』や『価値』『この作品の存在する意味』を一緒に考えてほしい、というメッセージが形になったものと考えることもできるでしょう。つまり、『どうして自分はこの作品を美しいと思えないんだろう』『どうしてこの作品の価値を認められないんだろう』と腑に落ちない場合が多いのも、ある意味もっともなのです」(高橋さん)

 そこで重要となってくるのは、実際の展覧会や美術館、アートイベントの会場に足を運び、「本物」を見るという体験をすることなのだといいます。

「映画も小説も、鑑賞する人、読む人がいてこそ、初めて完結、成立する、ということ。アートも、まったく同じだ。アーティストの息づかいが感じられる作品そのもの、それが展示される空間、美術館やアートスポットのロケーションも含めて、私たちが『体験する』ことこそが、アートをアートにすることができる、たったひとつの条件なのではないだろうか」(原田さん)

 国内でも、直島をはじめとする瀬戸内地方など、全国各地で出合うことのできる現代アート。難しく考えず、まずは実際に作品を体験し、それぞれに問いを持つことから始めてみてはいかがでしょうか。

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