新世代起業家が日本経済の救世主に?
2009年を底に、新規株式上場が連続して増加
アベノミクスに、日本国民のみならず外国人投資家たちまで疑問を持ち始めました。いつまでたっても3本目の矢が放たれないことに業を煮やしているようです。大勝した先般の衆議院選挙をきっかけに、着実に日本経済の浮上を図ってほしいものです。
一方で、東証一部だけを見てみると、近年にない上場ラッシュで、2014年は72社が上場または下部市場からの鞍替えを果たしています。2009年を底に順調にSNSや人材サービスをはじめとするIPO(新規株式上場)が連続して増加している現状を見ると、日本の景気回復も一部では成果が出ているようです。
第1世代、第2世代の起業家たちとは一線を画す新世代
日本経済の活況を図るために政府も力を入れている「起業」ですが、ここのところ、その勢力図が変わり始めています。近年までは、起業といえばソフトバンクの孫社長や、楽天の三木谷社長などの名前が連なっていたものですが、実は孫氏などは旧世代の起業家に分類されているのです。
■第1世代
孫正義ソフトバンク社長(57年生まれ)
■第2世代
三木谷浩史楽天会長兼社長(65年生まれ)
熊谷正寿GMOインターネット会長兼社長(63年生まれ)
藤田晋サイバーエージェント社長(73年生まれ)
■第3世代
笠原健治ミクシィ会長(75年生まれ)
辻庸介マネーフォワード社長(76年生まれ)
第3世代以降のいわゆる新世代起業家たちの経営に対する意識が、第1世代、第2世代の起業家たちとは一線を画します。第1世代、第2世代の起業家たちが追及して止まなかった「利益」が、新世代起業家たちの経営目的の筆頭には挙がらなくなってきているのです。
お金に頓着するよりも自身の夢を叶えたい
新世代起業家の特徴として「周囲に惑わされず、自分の夢や価値観に忠実であろうと思い始めた世代」と言っているのは、マネーフォワード社の辻庸介社長です。
事実、バブルを知らない新世代起業家は、起業した会社を通して利益を追求することには無頓着で、自身が起業した会社の事業をより早く世の中に広めるためには、平気でその事業を大企業に売却したり、その傘下に入ったりしています。お金に頓着するよりも自身の夢を叶えたいというのが新世代起業家の気質ともいえます。
夢の実現に奔走する彼らこそ日本経済の救世主?
夢や価値観に忠実であろうとする新世代起業家には、大きな期待が寄せられます。自身は夢をどんどん膨らませ、次々に世の中に発信する能力を持っています。
民間企業によるベンチャー支援意欲の高まりや政府が起業家支援に多額の予算措置をする今日、起業家の夢の実現が叶いやすくなっています。利益追求型ではなく、夢の実現に奔走する彼らこそ、これからの日本経済の救世主なのかもしれません。
(山根 敏秀/税理士)
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