ある日、夫が無職に……一家の「大黒柱」になったタレント・小島慶子

ある日、夫が無職に……一家の「大黒柱」になったタレント・小島慶子

 結婚している女性に質問します。もし旦那さんが、「仕事を辞める」と言い出したらどうしますか?

「引き止める」という人もいるでしょうし、夫に何が起こったのか必死に聞く人もいるでしょう。中には、「離婚する」という人もいるかもしれません。

 元TBSアナウンサーで、現在はタレント、エッセイストとして活動する小島慶子さんは、まさにその経験をしたそうです。12月に発売された小島さんのエッセイ『大黒柱マザー』によると、彼女の夫はテレビ番組制作会社で約25年間、働いていたとのこと。しかし、2013年の初め頃、「じつは、仕事をやめようと思う」と小島さんに打ち明けました。自身がTBSを退職しフリーとなった経験から、小島さんは当初「やめてみたら」と夫を支持したものの、いざ自分の収入が一家を支える、という立場になってみると「不安とプレッシャーに押しつぶされそう」だったと振り返っています。

 普段、テレビで見る理知的な姿からは想像できませんが、小島さんは「不安を感じると、それを怒りに変換してしまう」性格で、夫にも当たり散らしてしまうことが何度もあったのだとか。また、小島さんが育った家庭が、父は一流企業のサラリーマン、母は専業主婦であったため、無意識のうちに「男は働くもの」という思い込みも持っていたそうです。

 しかし幸いだったのは、そんな小島さんに夫は強く言い返したり卑屈になったりすることなく、「君がそう言いたくなるのもわかるけど、モノにはもう少し言い方があるよね」と冷静な対応に終始した点。大人の態度を見せる夫を見て、彼は悩んだ末に会社を辞めたのだと、小島さんも理解するようになりました。しかも、子どもの教育にプラスとなり、生活も面白そうだと考え、オーストラリア・パースに移住します。ここから、小島さんが仕事のために日本とオーストラリアを往復する日々が始まりました。

 もちろん、全ての人が小島さんのように思い切った決断をできるわけではないと思います。ただ、夫の退職を受け入れオーストラリアへ行こうと決めた理由の1つには、「先のことは、いつだってわからない」「今を大事にしていこう」との思いがあったから。人生の岐路に立ったとき、どの選択をすれば正しいのかと悩んでいる人におすすめできる一冊といえそうです。

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