「貧困女子」急増の背景と求められる支援策

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「貧困女子」急増の背景と求められる支援策

一人で生計を立てる女性の割合が増えている

テレビ番組で「女性の貧困」が取り上げられ、大きなニュースになりました。働く世代の単身女性の3人に1人が月の手取賃金10万円を切り、苦しい生活を強いられているという現実が明らかになったからです。30代前半までの若い貧困女子が増えている背景と、その対応策について考えてみます。

単身女性の貧困が注目されてきた背景に、「単身女性増」という現実があります。20代後半の未婚率は1980年が24%でしたが、2010年には60%まで上昇しています。配偶者の収入や夫婦の収入によって生活を成り立たせることができず、一人で生計を立てる女性の割合が増えているのです。

未婚のシングルマザーが急増

非正規社員の割合も年々高まり、15歳から24歳までの女性では50%を超えています。働いた時間分しか給与が得られず、体調不良になれば生活が苦しくなるリスクの中に身を置いているのです。

さらに、シングルマザーが増えていることも注目すべき点です。その数は2000年の86.8万人から2010年には108.2万人まで増え、特に未婚のシングルマザーが急増しています。未婚のシングルマザーは30代前半までの若い層が42%を占め、十分な教育や職業経験を積む前に親となり、出産後の再就職に苦労しているケースも多く見られます。

フリーター経験が3年を超えると、正社員での就職率が5割以下に

非正規社員の場合、研修の機会の不足や情報不足により、昇給や昇格がなく同じ条件で長年働き続けている場合も少なくありません。転職を考えても、応募書類の書き方や面接での自己PRの伝え方不足により、うまくいかずに断念していることが多いのです。逆に考えれば、それらを改善することができれば、正規社員として転職できる可能性も高まります。フリーター経験が3年を超えると、正社員としての就職率が5割以下に下がるというデータもあります。

そんな中、高校や大学では既卒者の就職支援に力を入れる学校も増えてきました。具体的には、既卒1~3年以内であれば応募できる求人を探せるなどの施策です。今後は、学校側から卒業生へ積極的に連絡を取り、支援し続けることが重要になるでしょう。

また、各都道府県には、ジョブカフェと呼ばれる10代から30代までの若者向け就職支援施設があります。無料で就職相談が受けられ、求人の紹介や就職面接会等を実施していますが、その存在を知る人は少ないというのが現状です。若者の目に留まりやすいよう、PR方法を工夫する必要があるでしょう。

ちょっとした勇気が、自分の環境を変える

シングルマザーには、各自治体の子ども支援課に相談窓口があります。生活や子育ての相談だけでなく、就職やスキルアップの相談窓口を設けている自治体もあります。また、マザーズハローワークは子連れで相談できる機関です。しかし、忙しさから相談に行く時間がない人も多いため、出張相談やイベント等によって相談を受ける側が出向いていくなどの取り組みが求められます。

貧困から脱出するためには、情報収集力とコミュニケーション力が必要です。非正規社員であっても、積極的に仕事に取り組み高い評価を得て正規社員となる例もあります。その経験を評価され、転職できることもあるのです。そのためには、「自分が何に困っている」と周囲に自分から発信することが大切です。受け身では何もかわりません。ちょっとした勇気が、自分の環境も変えていくのです。

(島谷 美奈子/キャリアカウンセラー)

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