山田悠介1年ぶり新作で“家族愛”を描く
『リアル鬼ごっこ』や『その時までサヨナラ』など、中高生を中心に支持を集めている作家・山田悠介氏の新作が、1年ぶりに書下ろし文庫で登場する。
それが、『君がいる時はいつも雨』(文芸社/刊)だ。
主人公の孝広は幼い頃に両親を亡くしている。
8年前の夏休み、親子3人で水族館に出かけ、交通事故に遭ってしまう。大雨の中、対向車がスリップして孝広の乗る車に突っ込んできたのだ。当時4歳だった孝広は奇跡的に助かったが、父親と母親は即死。そして、母親のお腹の中には、もうじき生まれてくるはずだった弟がいた。
一瞬にして独りぼっちになってしまった孝広を引き取ったのが、父親の弟夫婦だった。伯父と叔母のおかげで、孝広は何不自由のない生活を送り、大好きな野球もできている。しかし、父さんと母さん、弟が生きていたらどんな毎日だったろうと、どうしても比べてしまうのだった。伯父と叔母は本当の親のように接してくれているし、大好きなのに、壁を作ってしまう。
伯父と叔母には見せないけれど、本当は寂しさを抱えて孝広は過ごしていた。夏休みは嫌いだった。叔父夫婦は共働きのため、遊ぶ友達が見つからない日はずっと独りぼっちで暇な時間を過ごさなければならないからだ。
そんな夏休みのある日、公園で孝広はクラスメイトが偶然やってくるのを期待しながら、1人で壁当てをしていたが、1時間以上たっても誰もやってこない。家に帰ろうと決めたそのとき、突然の豪雨とともに赤い傘を差した7、8歳と見える背丈の少年が孝広の前に現れる。
少年は「コドモランドから来たんだ」と言う。彼の名は「孝平」、そして「兄ちゃんの弟だよ」とも――生まれる前に死んだはずの弟と名乗る少年が、そこにいる。そして、彼は必ず雨の日に現れる。一体何者なのか? 本当の目的は何なのか? やんちゃな性格の少年に振り回されながらも、孝広は少しずつ変わってゆく。
山田悠介氏が描く“愛と絆の家族の物語”をぜひ味わってほしい。
(新刊JP編集部)
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