究極のゴロ寝PC!? 東芝の2画面タッチパネルノートPC『libretto W100』製品レビュー
東芝が8月下旬に発売する、世界初の2画面タッチパネルを搭載したWindowsノートパソコン(PC)『libretto W100』をお借りしました。7.0型ワイド液晶を2画面搭載することで、10型ワイド画面相当の情報を閲覧でき、約699gという小型軽量化を実現したノートPC。ストレートなタブレットPCとも異なる、2画面ならではの仕掛けが詰まったこのマシンは、どんな使い心地なのでしょうか。
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・キーボードもタッチパッドもないノートPC
閉じた状態だと、一見普通のコンパクトなノートPC。ヘアライン加工を施したメタリックグレーの外装は“男のガジェット”なたたずまいです。わずか699gなので、片手でラクラク持ち運びが可能。ここまではノートPCなのですが……。
開いてみるとキーボードがありません。あると予想されるものがないと、少し驚いてしまいますが、タッチパッドやポインティングデバイスもなく、基本タッチパネルでのみ操作するマシンだということが分かります。
・最小限のシンプルな装備
タッチパネルがメインの操作インタフェースなので、ハード上のインタフェースは最小限のものが搭載されています。開いて机に置いた場合、上の画面には左側にウェブカメラと右側に電源ボタンがあるだけ。
下の画面には、左側にキーボードボタンと右側にホームボタンがあります。これらはいずれもポインティングデバイスではなく、押すためだけのボタンです。
インタフェースも最小限。右側面は電源コネクタのみ、左側面にはヘッドホン出力端子とUSBポートを装備しています。
正面にはmicroSDカードスロットを装備。その横にはSIMスロットらしきものがありますが……こちらはおそらく海外向けに用意しているものでしょう。
・基本はダッシュボード+画面で使用
基本的な使い方は、ノートPCのように机に置いて上画面をモニタ、下画面を操作に利用します。下画面でホームボタンを押すと、タッチ操作に適したダッシュボードが表示され、ファイル操作に利用可能。上画面もタッチパネルなので、タブレットPCのようにデスクトップを直接タッチ操作することもできます。ですが、7インチの画面では表示が小さく、操作には慣れが必要です。
下画面にタッチパッドを表示して操作することも可能。こちらではポインタがふとした操作で下画面に移動してしまうこともあり、操作には慣れが必要でした。お借りしたのは発売前の試作機なので、発売後の製品では改善されている可能性があります。
・ブルっと震えるソフトウェアキーボード
下画面にはソフトウェアキーボードを表示して、ノートPCのように使うことができます。このソフトウェアキーボードが『libretto W100』の特徴的なインタフェース。下画面のキーボードボタンを押すと表示されます。
複数種類のソフトウェアキーボードがあり、キーボードボタンを押すたびに切り替えが可能。通常のフルキーボードだけでなく、キーの表示を少なくして押しやすくしたシンプルキーボードを2種類用意しています。
左右の手で分かれて、本体を両手持ちしたときにも使いやすいスプリットキーボードも2種類。
表計算などで活躍するテンキー専用のソフトウェアキーボードも用意されています。
キーの打鍵感を持たせるために、液晶パネルにはタッチするとブルっと振動する機構が用意されています。これにより、キータッチを確実に感じながらキータイプができるのが特徴です。このパネルの振動は、デスクトップやダッシュボードでも動作。タッチの振動でクリックをお知らせして、長押しの振動でドラッグ可能なことをお知らせします。
ダッシュボードやタッチパッド、ソフトウェアキーボードを利用すれば、普通のノートPCと同じように使うことができます。でも、それだけだったら2画面のタッチパネルを搭載している意味がないですよね。2画面タッチパネルならではの利用法も、もちろん提案されています。
・横持ちと縦持ちで2画面を効果的に利用
『libretto W100』がストレートなタブレットPCと大きく異なるのは、2画面を効果的に使えるインタフェースを用意していること。上画面と下画面は、デスクトップとダッシュボードあるいはソフトウェアキーボードと分けて使えるだけでなく、上下で1画面のデスクトップとしても利用可能。ブラウザを表示する場合は、上下どちらか一方の画面の表示と2画面の表示を、タイトルバーにあるボタンをクリックして切り替えられます。
『libretto W100』は加速度センサを内蔵し、本体を縦持ちにしても画面表示を切り替えて利用可能。縦持ちの場合も、ブラウザでは一方の画面表示と2画面表示をタイトルバーのボタンで切り替えられます。
ウィンドウのタイトルバーをクリックすると、ウィンドウ操作用のメニューが大きく表示されます。ウィンドウを閉じる、ウィンドウサイズを変更する、ウィンドウ表示を1画面と2画面で切り替える、画面をまたがってウィンドウを移動するなどの操作が可能。初めて触ると、ウィンドウの閉じるボタンが小さくてうまくタッチでクリックできなかったのですが、この操作を覚えるとウィンドウ操作が格段にラクになります。
・ゴロ寝PCに最適?
縦持ちの場合、ソフトウェアキーボードを表示すると、左右の2画面に表示するスプリットキーボードが自動的に選択されます。左右の画面を両手で本のように持って、そのままキー操作が可能になるという仕組み。そこで……。
両手で縦持ちにして、ゴロ寝しながら使ってみました。これはいいかも! 本体が軽いので、長時間持っても苦になりません。自宅で対応しなければいけない面倒くさい相手のメールは、ゴロ寝しながら返信してやりましょう。寝ながらちゃんとキーボードが使えることは、タブレットPCや従来のノートPCに対して、大きな差別化になりそうです。
もちろん、縦持ちは電車の中などで立ったまま操作するのにも便利。付属の電子書籍ビューワ『Flip Viewer』とプラグイン『Flip Viewer Xpress』を使うと、本体を縦持ちにしてページをめくるように電子書籍コンテンツを楽しめます。周りの人に画面が丸見えな『iPad』より、社内でも集中して電子書籍を楽しめそうです。
・コアなファンを生みそうなマシン
モバイル派のユーザーには縦持ちが活躍しそうですが、気になるのはバッテリー駆動時間。仕様上は標準のバッテリーで2.0時間、付属の大容量バッテリーパックを使うと4.0時間となっています。貸し出し機のバッテリーがどちらかは不明ですが、かなり早くバッテリーを消費してしまう印象がありました。
振動機構のついたタッチパネル液晶を2画面も動作させるので、電力を消費することは間違いないでしょう。外出先で使うことが多いユーザーは、予備バッテリーの携帯は必須になりそうです。自宅でゴロ寝派のユーザーは、ACアダプターをつなげばバッテリーを気にせず快適に楽しめるでしょう。
個性の強いPCなので、バッテリーの心配も気にしないコアなファンが生まれそうな『libretto W100』。1台でいろいろな使い方ができ、使い込んで慣れるほど操作しやすくなるのは、確かに楽しいです。気になった方は店頭で触ってみて、自分に合った操作感かどうかを確かめてみるのをオススメします。
『libretto W100』主な仕様
プロセッサ:超低電圧版 インテル Pentium プロセッサー U5400、1.2GHz、2コア/2スレッド
ワイヤレス:インテル Centrino Advance-N+WiMAX 6250
チップセット:モバイル インテル Q557 Expressチップセット
メモリー:2GB(オンボード)
記憶装置:62GB SSD
ディスプレー:タッチパネル付き 7.0型ワイド WSVGA TFT カラー Clear SuperView LED液晶(1024×600ドット)
ビデオRAM:最大728MB(メインメモリーと共用)
キーボード:ソフトウェアキーボード
ポインティングデバイス:タッチパネル液晶
操作ボタン:キーボードボタン、ホームボタンなど
通信機能:無線LAN、WiMAX、Bluetooth
microSDカードスロット:1スロット(microSD、microSDHC)
インタフェース:USB2.0×1、ヘッドホン出力(3.5mmφステレオミニジャック)×1
ウェブカメラ:1/6.5インチプログレッシブ方式CMOSセンサー、有効画素数約102万画素
サイズ:W約202.0×D約123.0×H約25.4mm(標準バッテリーパック装着時)
重量:約699g(標準バッテリーパック装着時)
付属品:ACアダプター、電源コード、取り扱い説明書。保証書、標準バッテリーパック、大容量バッテリーパック
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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
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