太平洋不知火楽団、2年ぶり復活ライヴで存在感みせつける——OTOTOYドキュメント
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2012年10月より活動を休止していた太平洋不知火楽団が、正式には約2年ぶりとなる復活ライヴを行った。ほかにシークレットでの出演はあったのもの、今回復活公演として発表されていたライヴは全部で3公演。10月14日の新宿Motion、10月29日の代官山UNIT、11月1日の早稲田大学。観るものを圧倒するライヴは健在で、むしろその勢いは以前よりも増しているように感じた。
太平洋不知火楽団は、笹口聡吾(Gt、Vo)、大内貴博(Ba)、津金・ド・リョータ(Dr)による3ピース・バンド。2005年結成となっているが、前身バンドも含めるとその活動は10年以上に及ぶ。2008年には〈フジロックフェスティバル〉、2010年には〈サマーソニック〉にともにオーディション枠を勝ち取って出演。コンピレーション・アルバム『TOKYO NEW WAVE 2010』にオワリカラ、SEBASTIAN X、東京カランコロン、SuiseiNoboAz、andymoriなどそうそうたるバンドとともに参加後、2010年10月に初の全国盤となる1stアルバム『太平洋不知火楽団』、2011年3月にはシングル『サテライトからずっと』を発売した。
筆者がこのバンドと出会ったのは2010年。笹口のおとなしそうなルックスと、普段の穏やかな人柄からは想像できない壮絶な狂気を孕んだヴォーカルとギター、端正な顔立ちで民族衣装のような服をひるがえしながらひたすら暴れるようにベースを鳴らす大内、爆発的な破壊力のドラミングを観せる津金。ライヴはまさに、3人の強すぎる個性のぶつかり合いであり、とにかくただただ圧倒されたのを覚えている。それから、夢中になって彼らのライヴに足を運んだ。そして彼らは2012年7月に、同年10月1日のライヴをもってバンド活動を休止することを発表した。
彼らは、『TOKYO NEW WAVE』に参加したバンドをはじめ、同時代を駆け抜けたTHEラブ人間やSEBASTIAN X、撃鉄、ふくろうずなど、多くのミュージシャンに愛されているバンドでもあった。休止直前の9月19日の渋谷クラブクアトロ公演では、そんなミュージシャンたちが何人も思いをぶつけるように代表曲「Dancing Hell」の演奏中にクラウドサーフしていた。その日のライヴで笹口は「解散する理由、色々あります。色々あるけど言いません。察してください」「また、やりたくなったらやる感じです。バンドなんて、やりたくないのにやってもね」と語っていた。そして10月1日、彼らのホームとも言える新宿Motionで30曲弱におよぶワンマン・ライヴを行い、活動を休止した。その後、笹口はうみのてやソロ・プロジェクトの笹口騒音ハーモニカなど、大内は「大内ライダー」として大森靖子&THEピンクトカレフやDPG、科楽特奏隊など、津金はNeruQooNeluで、それぞれ活動している。
2014年、今回のリユニオンは、笹口が監督を務める映画の撮影を開始したことに起因する。正式復活第1弾となった10月14日の新宿Motionでのイベントは、その映画の撮影をかねたものでもあった。イベントでは、その映画「三億年生きた笹口」の第一部となる「女笹口篇」が上映され、映画にも出演する東京真空地帯、科楽特奏隊のライヴも行われた。太平洋のライヴは、名曲「たとえば僕が売れたら」からスタート。聴き慣れたイントロのギター・リフ、笹口の隣には目を瞑り曲に集中する大内がいて、ふたりの後方には、体を揺らしながら気合いを入れる津金の姿があった。「渚にて」では、笹口が空間を切り裂くような鋭いギター・リフを弾きつつ、にやにやとした笑みを浮かべてメガネを曇らせながら叫ぶ。この狂気こそ、自分が大好きな太平洋そのものだった。
この日の前半は「海ゾーン」、後半は「SFゾーン」というテーマのセットリスト。「SF(B級)」では、笹口と大内がステージ中央で向かい合って演奏するという、うれしいシーンも観られた。その後のMCでは、笹口が「映画という名目でやってますけど、1年に1回くらい忘れられないように、こんなバンドありますよって感じでね。誰かが本当に嫌とか、1日やるのも嫌ってなったらやらないと思います。いまのところ、昔よりはフレンドリーになっております。それぞれの畑でがんばっているので、個々の技術もあがっている気がします。また来年が楽しみです。ありがとうございました」と、今後の活動に含みをもたせる発言もあった。「よいまち」では大内がステージ上で前転、間奏では客席を駆け抜けるパフォーマンス。これもライヴでは定番だった。アンコール最後の「Dancing Hell」では、大内の変身ポーズを合図に、場内一体となってのダンス。津金の渾身のドラム、笹口のすべての感情を爆発させるようなシャウトを聴かせて、ライヴは終了した。
次に太平洋が出演した10月29日のイベントは、大内がリーダーを務めるDPGの主催イベント。大内は19日に誕生日を迎えたばかりということもあり、代官山UNITに多くの観客がつめかけた。今回のリユニオン3本のライヴのなかで、もっともキャパの大きな会場ということもあるのか、この日の笹口はより尖っている印象だった。大内はもちろんのこと、津金も気合い充分。個人的には、活動休止以前から、このくらいの規模の会場でもっとこのバンドの演奏を観たいと思っていたので、とてもうれしいライヴだった。
3本目は、11月1日の早稲田大学の学祭でのライヴ。この日は、まちぶせ、井乃頭蓄音団、THEラブ人間という、馴染みのバンドばかりのまるで2012年に戻ったような対バン。しかし、特にTHEラブ人間はほぼ新曲のみでライヴを行うなど、いまだに第一線で挑戦し続けている姿を強烈に観せつけた。太平洋は、そんなイベントのトリで出演。ライヴ会場が教室ということで、客席との距離が近く、笹口と大内はたびたび客席に乱入して演奏した。最後までなにものにも縛られず、彼らは自由だった。
太平洋は、もともとメンバーの仲がいいバンドではないと公言しており、ライヴ中にメンバー同士がアイ・コンタクトをとることもほとんどなく、演奏中は3人ともまったく違う動きをしていることが多い。それだけに、2010年の活動休止ライヴの最後で、3人がステージ中央で、ぎこちない笑顔を見せながら手を繋いで掲げている姿は感慨深かった。今回のリユニオンの最初のライヴでも、同じように手を繋ぐシーンがあったが、3人ともとても穏やかな表情をしていたのが印象的だった。笹口が話していたように、もしかしたら、来年以降も再びこのメンバーでのライヴが観られるのかもしれない。すでにリユニオンのラスト公演として、来月12月4日に下北沢DaisyBarでライヴを行うことがアナウンスされている。
今回は3公演ということで、演奏する曲も限られていた。休止直前によく演奏していた未発表曲など、まだ聴きたい曲はいっぱいある。毎回客席も熱狂的で、彼らのことを求めている人は多いはず。もはや復活などと銘打たなくても、これからもやりたいときに気軽に活動してくれたら、ファンのひとりとしてとてもうれしい。また、彼らの壮絶なグルーヴに、心をかき乱されたい。(前田将博)
太平洋不知火楽団【Dancing Hell-can’t help fallin’-】2014/10/14 新宿Motion
http://youtu.be/_2OMrUJAVl4
太平洋不知火楽団 REUNION ver.2014
http://youtu.be/qblZ4nY8Atc
2014.11.01 太平洋不知火楽団@早稲田祭
http://youtu.be/gh96iTALOD4
太平洋不知火楽団 2014リユニオン
〈 映画「三億年生きた笹口~笹ヒーロー篇~」上映&撮影&ライブ!〉
2014年10月14日(火)新宿Motion
1.たとえば僕が売れたら
2.不知火花火
3.渚にて
4.そうだ、海え帰ろう!!
5.Island Feedback
6.サテライトからずっと
7.SF(B級)
8.ピント
9.13月
10.Suicide hPa
11.よいまち
12.Dancing Hell
アンコール
13.たとえば僕が売れたら
14.Dancing Hell
〈DPGハウスショー8 ~夏の魔物 地の巻~〉
2014年10月29日(水)代官山UNIT
1.たとえば僕が売れたら
2.渚にて
3.サテライトからずっと
4.よいまち
5.Dancing Hell
早稲田祭1日目〈イヤーワーム!〉
2014年11月1日(土)早稲田大学・早稲田キャンパス7号館218教室
1.サテライトからずっと
2.SF(B級)
3.Island Feedback
4.よいまち
5.Dancing Hell
アンコール
6.たとえば僕が売れたら
7.Dancing Hell
・太平洋不知火楽団、12月4日に小山田壮平らと対バン
http://ototoy.jp/news/80489
・太平洋不知火楽団の音源はOTOTOYで配信中
http://ototoy.jp/feature/2013060701
・太平洋不知火楽団 オフィシャルサイト
http://taiheiyo-shiranui-gakudan.tumblr.com
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