「モンスター」を生まない正しいクレーム対応術

「モンスター」を生まない正しいクレーム対応術

企業側の対応が、クレームの悪質化を助長した結果という見方も

コンビニ店員に土下座を強要した男らが、恐喝罪に問われました。同様の土下座強要事件は昨年9月、衣料量販店においても発生しています。

謝罪の形としての土下座。これは少し前の人気テレビドラマで用いられたことから若い世代中心に注目されているようです。しかしながら土下座は、現実のビジネスシーンにおいては、やってもいけないし、やらせてもいけない行為。お互いの尊厳を冒して得るものはないからです。今回の事件は、「無理を通せば道理が引っ込む」状態を作ってしまった企業側の対応が、クレームの悪質化を助長した結果という見方もあります。

さて、日本法規情報株式会社が2014年2月に実施・発表した「クレーム・苦情に関する意識調査」によると、サービスや商品にクレームを上げた経験のある人は7割以上。その内、4割弱は「対応に満足しなかった」と答えています。この4割弱が「モンスター」化の可能性をはらんでいることを考えると、クレーム対応への満足度引上げは今や企業の優先事項と言えるでしょう。

正しいクレーム対応、3つの手順

クレーム対応では、次の手順を踏むことが基本です。

(手順1)初期対応
クレーム対応の肝。ここに時間をかけることが大切です。話をよく聞き、「何に」対しての怒りかを把握することに努めます。顧客の言葉を「聴き」、状況を「想像」し、心情に「共感」する。これにより、何に対して謝罪するかが明確になります。ここでの謝罪は、お客様の感情に対しての謝罪に留めます。

(手順2)原因説明
次に、事実を確認・検証し、原因を論理的に説明します。ここでわかった非について謝罪します。

(手順3)今後の対応
ただ謝るだけでは、クレーム対応とは言えません。クレームを上げた顧客は、「それでどうしてくれるのか」を知りたがっています。ここでクレームに対する対応策や今後の改善策について提示します。ただし、できないことはできないと拒否し、理解してもらえるまで説明することも大切です。

クレーム発生時には、顧客の「モンスター化」を防ぎ大逆転を狙う

クレーム対応の手順を通して意識すべきは、「ピンポイントの謝罪」です。「不快な思いをさせたことへの謝罪」「品質の不具合への謝罪」というように、その都度、何についての謝罪かを明言することが重要です。このことが、後々起こり得るクレームの悪質化を抑止することにつながります。さらに、クレーム対応時には「スピード」「誠意」「矜持」といったキーワードを意識すること。スピーディーに誠意を持って、プロとしての矜持を忘れずに顧客に対応するよう心がけましょう。

クレーム対応は、顧客満足(CS)と表裏一体です。企業の信用や評判を一瞬でゼロにする可能性がありますが、同様に大逆転のチャンスでもあります。雇用形態が多様化する時代、各企業においてはクレーム対応のガイドラインを標準化し、それを末端の接客従事者にまで浸透させることが急務です。専門のアドバイザーやコンサルタントの意見も視野に入れて準備することをお勧めします。

(城戸 景子/イメージコンサルタント・マナー講師)

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