ゾウが主役 敏腕コピーライター&アートディレクターによる「クリエイティブな絵本」
今年2月、童謡『ぞうさん』の作詞などで知られる詩人のまど・みちおさんが老衰のため他界されました。104歳でした。
シンプルながらも深い歌詞の世界と馴染みやすいメロディ。日本人の”ゾウ観”を一手に引き受けた不朽の名作と言えるでしょう。
一方、フランス生まれの絵本『ぞうのババール』や、ディズニーのアニメーション映画『ダンボ』、そして昨年には、やなせたかしさん原作の『それいけ!アンパンマン』シリーズの映画版『それいけ!アンパンマン とばせ! 希望のハンカチ』にも、新キャラクターとしてゾウの男の子が登場するなど、ゾウは古今東西、さまざまな作品のモチーフやキャラクターとなっています。
今回紹介する絵本『ぞうぼうしパオ』も、ゾウのキャラクターが大活躍する作品。
物語の主人公は、長すぎる鼻がコンプレックスになっている子ゾウ・パオ。立派な消防士として活躍する兄に憧れ、消防士を目指しますが、人一倍(ゾウ一倍?)長~い鼻のせいで、やることなすことうまくいかず失敗ばかり。すっかり自信を失くしてしまったパオは、ぞうぼうし(ゾウの消防士)になりたいという夢をあきらめようとしますが……。
作者のこにしとしゆき(小西利行)さんは、これまでにサントリー「ザ・プレミアムモルツ」や、サントリー「伊右衛門」の商品開発・広告を手掛けてきたクリエイティブディレクターであり、書籍『伝わっているか?』(宣伝会議刊)などの著作もある売れっ子のコピーライター。さらに作画は、NECのCM「バザールでござーる」や、絵本『バザールでござーるの小冒険』も手掛けたアートディレクター、みずぐちかつお(水口克夫)さんが担当しています。ふたりの敏腕クリエイターが描く本作は、子ゾウが勇気を出して行動し、自信をつけていくまでのプロセスを描いた成長物語となっています。
子どもに限らず、誰もが持っているコンプレックスをどうすれば夢の切符に変えられるのか、人知れず悩んでいる方も多いはず。大人もハッとさせられる示唆に富んだこの絵本、ぜひ読書の秋にご覧になってはいかがでしょうか。
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